股裂きアクションスター、ヴァン・ダムついに還暦!
映画界を代表するアクションスターの1人、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの誕生日は10月18日である。1960年生まれ、ということは2020年で60歳だ。
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『サイボーグ』『キックボクサー』(共に1989年)の頃は“還暦のヴァン・ダム”なんて想像もしていなかったが、当然ながらそういう時も来る。というより、60までアクションスターとして映画に出続けていることがまず凄いわけだ。
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フィルモグラフィーを見てもらうと分かるが、タイトルだけでは内容が掴めない、なんだかザックリした感じの映画が多い。と言って「どれ見ても一緒でしょ」というわけでもないのが面白いところだ。
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2008年の『その男 ヴァン・ダム』はセルフパロディだった。“落ち目になってトラブル続きのヴァン・ダム”を演じ、しかも自ら製作総指揮。それだけ自身のキャリアに自覚的ということだろう。2019年の『ネバー・ダイ 決意の弾丸』も、ズシリと重い犯罪ドラマだった。シルベスター・スタローンやジャッキー・チェンがそうであるように、ヴァン・ダムも“若くない自分”と向き合った映画作りをしている。
老いてますます盛ん! 酸いも甘いも噛み締めたヴァン・ダムの近作を一挙放送
いろいろあった『ユニバーサル・ソルジャー』シリーズ(1992年~)の最新作『ユニバーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録』(2012年)では、シリーズの主人公デュブローの“晩年”を演じる。特殊兵士ユニバーサル・ソルジャーの軍団を束ね、彼らを作り出した政府への反乱を企てるのだ。
かつての宿敵スコット(ドルフ・ラングレン)もデュブローをサポートする。スキンヘッドで“謎の軍団”を率いるヴァン・ダムの姿は『地獄の黙示録』(1979年)のカーツ大佐ばり。ではウィラード=謎を追う事実上の主人公は誰かと言うと、スコット・アドキンス演じるジョンである。物語は彼の闘いを通して描かれ、ヴァン・ダムの存在は謎多きボスキャラ。だからヴァン・ダム主演映画だと思って見ると「え?」となるわけだが、だからこそ意外性たっぷりだ。「そうくるのか」というやつである。
『ハード・ソルジャー 炎の奪還』(2012年)では少年少女の誘拐と人身売買に立ち向かう。ここでのヴァン・ダムは凄腕だがトラウマを背負い、酒浸りの毎日。10代の少女が異国で誘拐されるという展開も含めかなりダークだ。ここでもやはり“とにかくヴァン・ダムが暴れまくって爽快”という一般的イメージとは一味違う内容が待っている。
そんな変化球もあったかと思うと、2017年の『スティール・サンダー』ではまたもラングレンと共演し、正攻法なアクションを展開。陰謀にはめられたエージェントが、極秘収容所として使用されている潜水艦からの脱出を試みる。潜水艦、つまり狭い空間で蹴り技を封じられたヴァン・ダムがどう闘うかにも注目だ。
正攻法も変則もあり。ヴァン・ダムのキャリアは思いのほか意欲的だ。60代を迎えてどんな歳の取り方をするのか。ここで新たな代表作が生まれる可能性も、十分にあるだろう。
文:橋本宗洋
『ユニバーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録』『ハード・ソルジャー 炎の奪還』『スティール・サンダー』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:炎の男 ヴァン・ダム!」で2020年10月放送
『ユニバーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録』『ハード・ソルジャー 炎の奪還』『スティール・サンダー』
CS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:炎の男 ヴァン・ダム!」で2020年10月放送