世の中には言葉では説明できない不思議なことがある
2020年10月9日(金)にPart1が、10月30日(金)にPart2が公開される『UFO真相検証ファイル』。この映画を見ると、「世の中には言葉では説明できない不思議なことがあるものだ」という強烈な感情に支配される。もちろん、UFO実在の有無のことではない。この「UFOの真相を巡る」というアンビリーバボー的なテレビスペシャル感を醸し出しまくる映像が、前後編で3時間もある映画として、全国のイオンシネマを中心に結構な規模でロードショーされるということが、である。
新型コロナウイルスの影響で中止や延期が続く映画界の混乱に乗じて、この映画がひっそりと公開される事実こそが、そもそも宇宙人の陰謀なのではないかと勘繰ってしまう。配給会社の担当者さんが誘拐(アブダクト)され、何かを埋め込まれて操られているのではないか? その真相を検証するドキュメンタリーを作ってほしいとすら思う。それほどに、この映画は現代の日本において特異だ。
映画館の大画面と大音響で本作を見ることができるという、二度とないかもしれない体験
Part1『戦慄!宇宙人拉致事件の真実』では、宇宙人にアブダクトされたアブダクターたちの事例がインタビューと共に紹介される。実際に記録された音声などは迫力があり、その手の世界が好きな人には興味深いはずだ。
だがそれ以上に、これ見よがしに何度も映し出されるウィキペディアの引用や、Amazonの商品ページ(!)、そしてUFOを題材にした映画のワンシーン(もちろん静止画)、そして甘めに見ても20年前レベルのチープなCG素材などなど、ビジュアル面の手薄さの方に気を取られてしまう人も多いだろう。映画館で見るなら『アベンジャーズ』(2012年)のような大作洋画だと思っている人は卒倒するかもしれない。おそらく『アベンジャーズ』の1秒分くらいの予算しかかかっていない。
https://www.youtube.com/watch?v=Q5AgTiBzNq0&feature=emb_title
Part2『衝撃!カメラに映った宇宙人たち』はメキシコのUFO番組の第一人者、ハイメ・マウサンが紹介するUFOや宇宙人との遭遇を記録した映像を見ることができ、これはこれで色々な意味で楽しい。一部の映像は「それ、宇宙人じゃなくて幽霊じゃないか?」と思うのだが、メキシコ軍が撮影したという編隊で飛ぶUFOの映像などは一見の価値あり。
しかし、その内容以上に、頑張ればYouTubeで見られそうな映像の数々や、ブラウザのURLバーやアイコンまで映っているウィキペディアの引用を、大画面と大音響を有する映画館で見ることができるということ自体が、この作品を特別なものに押し上げている。二度とないかもしれない体験が、そこにあるのだ。お金のムダ? そんなことを考える人は、そもそもこの映画を観に行かないだろう。もはやそういう次元の話ではない。
https://www.youtube.com/watch?v=UE_gUzdTFcQ&feature=emb_title
この存在を認識できた者だけが、人類がとっくに失ったはずのロマンに遭遇することができる
かつて、海外で買いつけたテキトーな映画にテキトーな邦題をつけて売りさばいていた時代があった。SNSの発展によってハッタリやロマンも形を変え、いまや小ぢんまりとしてしまっている。宇宙人たちの実在の有無に関わらず、彼らの入り込める“隙間”がこの星からは減ってしまったようだ。
そんな中、ここ日本の各地に点在するイオンシネマに突如として現出した、その“隙間”。あまりにも唐突なので、人類はその存在を認識できていない。覗き見た者だけが、人類がとっくに失ったはずのロマンに遭遇することができる。
この映画を劇場で見る時、我々は歴史の中の特異点に立っているのかもしれない。もし、万が一この映画がランキング入りするようなことがあったら、その時こそ本当に宇宙人たちが姿を現すアセンションの時だろう。
文:タカハシヒョウリ
『UFO真相検証ファイル』Part1『戦慄!宇宙人拉致事件の真実』は2020年10月9日(金)、Part2『衝撃!カメラに映った宇宙人たち』は10月30日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほか全国公開