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クールな“普段着ファッション”に注目!『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の“明日から真似できる”朴訥コーディネート

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ライター:#BANGER!!! 編集部
クールな“普段着ファッション”に注目!『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』の“明日から真似できる”朴訥コーディネート
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

A24×プランBの注目作『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』絶賛上映中!

いま最も注目を集める映画製作スタジオ<A24>と、ブラッド・ピットらが設立した<プランB>が、 第89回アカデミー賞作品賞受賞作『ムーンライト』(2016年)以来となるタッグを組んだ最新作『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が、2020年10月9日(金)より全国公開中だ。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

第35回サンダンス映画祭で監督賞と審査員特別賞のW受賞を果たした本作は、監督のジョー・タルボットと主人公を実名で演じたジミー・フェイルズの実体験がベースになっているという。ジェントリフィケーション(地域の高級化)が進む現代の米サンフランシスコを舞台に、まるでショーウィンドウのトランペットか初恋の人を眺める少年のように“かつて暮らしたヴィクトリア様式の豪邸”に固執するジミーと、そんな豪邸よりも広い心持つ親友モント(ジョナサン・メジャース)の友情を軸に、制作陣の“地元”でもあるサンフランシスコへの切実な愛と葛藤を描いた物語だ。

ジミー・フェイルズ、ジョー・タルボット監督

いますぐ真似したい! 登場人物たちの個性的で等身大なファッションを要チェック

本作はジミーの祖父が建てた豪邸を始めとするサンフランシスコの象徴的な“家並み”が主人公とも言える映画だが、ここではあえてジミーやモントの“日常ファッション”に注目したい。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

「サンフランシスコの気候は変わりやすくて、晴れていても霧は発生すると急に寒くなったりするから、レイヤーを着るようにしている。だからフランネルシャツとビーニーは手放せないね。昔から着ている服装なんだ」

そうフェイルズが語るように、主人公ジミーは常に赤いフランネルシャツにカーキのパンツと赤い靴下を合わせ、ビーニー(ニットキャップ)を目深にかぶり、アディダスのスケシュー(おそらくブセニッツ?)を履いてシスコの坂道をスケボーで移動する。ほとんどホームレス状態の彼の持ち物の少なさを印象づけるシンプルなコーディネートで、サイジングも完璧。フェイルズいわく“自分のいつもの格好”なのだから、リアルさもひとしおである。

https://www.instagram.com/p/BztVJlqBpXh/

一方、親友のモントは製作チーム全体で話し合いキャラクター像を作り上げたという。ヨレヨレのシャツにいなたいジャケットを羽織り、靴下にレザーサンダルというチープシックなファッションは、ジョー監督いわく「あの組み合わせはジョナサンしか着こなせないよ!」という彼の個性を物語らせる。また、劇中で演劇の脚本を書いたりスケッチを描いたりしているモントが常に赤いノートを持ち歩いているのは共同脚本のロブ・リチャートがモデルとのことで、こちらも制作陣の気の置けない関係性が伝わってくるエピソードだ。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

生まれ住んだ街への愛情と憎しみ、家への固執と厳しい現実――人生で本当に大切なものとは?

主人公2人の旧友コフィーを演じるジャマル・トゥルーラブ(殺人の冤罪で6年も投獄された過去を持つタフガイ)ら不良グループの、いわゆる2010年代ヒップホップ的なイケイケファッションも作中で絶妙に浮いていて秀逸。彼らとのやり取りの中で「ザ・シンプソンズ」というワードが出てくるが、たしかにジミーたちはこのアニメのように毎日同じ服を着ているし、さらに劇中ではもう一つ意外な共通点も描写されるので要注目だ。

そして、文字通り“一糸まとわぬ”個性的な紳士もナチュラルに登場。しかし彼は飛び道具的なキャラというわけではなく、富裕層の“侵略”によって生きづらくなってしまった街の象徴として思いのほかしんみりさせてくれる。

https://www.instagram.com/p/B0PIjkdBraX/

親友の家に居候し家族とも疎遠な“持たざる者”であるジミーが唯一固執する、形のある財産としての豪邸。アースカラーを基調とした美術や衣装は“地元”への郷愁を誘い、それは国や人種を超えて多くの観客の心を打つはずだ。日々変わっていく街に愛着と憎しみを募らせるジミーの姿にも、世界一人口密度の高い都市である東京をはじめ、大都市に暮らす我々が抱える息苦しさとの共通点を見出だせるだろう。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

超現実的なテーマを寓話的な演出で描き、愛情と憎悪、支配と従属、有形と無形といった相反する要素を巧みに盛り込んでみせた『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』。一度目の鑑賞で衝撃を受け、二度目以降の鑑賞で細部が染みわたってくるタイプの作品だと思うので、メインビジュアルや予告編にピンときたら、ぜひお気に入りの街の劇場で何度も鑑賞してほしい。

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』は2020年10月9日(金)より新宿シネマカリテ、シネクイントほか全国公開

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『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

サンフランシスコで生まれ育ったジミーは、祖父が建て、かつて家族と暮らした思い出の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛していた。変わりゆく街の中にあって、地区の景観とともに観光名所になっていたその家は、ある日現在の家主が手放すことになり売りに出される。

再びこの家を手に入れたいと願い奔走するジミーは、叔母に預けていた家具を取り戻し、いまはあまり良い関係にあるとは言えない父を訪ねて思いを語る。そんなジミーの切実な思いを、友人モントは、いつも静かに支えていた。

いまや都市開発・産業発展によって、“最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、彼は失くしたものを、自分の心の在りどころであるこの家を取り戻すことができるのだろうか。

制作年: 2019
監督:
出演: