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続編だからってスルーしてない?『パシフィック・リム:アップライジング』は往年の巨大ロボアニメ好き必見!

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ライター:#杉山すぴ豊
続編だからってスルーしてない?『パシフィック・リム:アップライジング』は往年の巨大ロボアニメ好き必見!
『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

KAIJU大好きデル・トロ監督の意匠を引き継いだ続編!

『パシフィック・リム:アップライジング』(2018年)は、2013年に公開された『パシフィック・リム』の5年ぶりの続編。前作『パシフィック・リム』を手掛けたのは、後に『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)でアカデミー賞を獲るギレルモ・デル・トロ監督です。

パシフィック・リムとは“環太平洋地域”という意味で、本シリーズは太平洋の海底からやってきた人類の脅威と戦う環太平洋防衛軍(PPDC=Pan Pacific Defense Corps)の活躍を描きます。その脅威とは? なんと、異次元から地球へとやってきた巨大怪獣たちなのです!

怪獣たちは、異次元に棲む“プリカーサー”という種族が地球侵略のために送った生物兵器! 人類は英知を結集して人型巨大兵器(要は巨大ロボ)イェーガー軍団を作り、敵を迎え撃ちます。そう、この映画シリーズは“巨大怪獣vs巨大ロボット”という、まさに日本の特撮ものやロボット・アニメのような物語をハリウッドが巨額の製作費で実写映画化した、オタク少年にとって夢のような映画!

公開時は“ゴジラ×トランスフォーマー”と評されました。なによりも監督のデル・トロが日本のこうした文化が好きだから、怪獣たちも「MONSTER」ではなく「KAIJU」と呼ばれるのです。

イェーガーを操縦するには、パイロットが乗り込み、機械とパイロットの神経を接続させる<ドリフト>という手法をとります。こうすることで、パイロットがパンチをすればイェーガーもパンチするというように、動きをシンクロさせることができるのです。

しかし、人間一人では脳に負担をかけるため、2人(マシンによっては3人)のパイロットが必要になります。そのためには、パイロット同士の脳をシンクロさせる<ブレイン・ハンドシェイク>が必要。2人の相性等が悪いと<ブレイン・ハンドシェイク>がうまくいかず、イェーガーも力を発揮できません。この設定があるから『パシフィック・リム』シリーズは、パイロット同士のバディものであるわけですね。

ジョン・ボイエガ&イーストウッド息子ら新世代キャストが巨大ロボを操る!

前作『パシフィック・リム』では、環太平洋防衛軍の伝説の長官ペントコスト(演じるのはイドリス・エルバ!)と、彼の養女で幼いころKAIJUに家族を殺された日本人のマコ(菊地凛子)が多大な犠牲を払って、海底にある次元の裂け目を閉じるまでを描きます。

続編となる『パシフィック・リム:アップライジング』は前作から10年後という設定で、まだ戦いの傷跡は残るものの、人類は復興の真っ最中。そして、いつまた次元の裂け目が開きKAIJUたちが攻めてくるとも限らないので、PPDCはその日に備えて準備しています。

さらに、イェーガーは搭乗パイロットに多大な負担と犠牲を強いるため、その代わりとなるよう中央からの遠隔操作で動かす無人のイェーガー配置計画が進められます。そんな時、謎のイェーガーが現れ、なんと人類を襲う! 一体何が起ころうとしているのか?

『パシフィック・リム:アップライジング』
NBCユニバーサル・エンターテイメント
価格:DVD 1,429円+税/Blu-ray 1,886円+税
© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

この謎めいたストーリーに、前作で死んだペントコストの息子ジェイクたち若い世代が挑む、というストーリーです。このジェイクを演じるのが『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)以降の重要なキャラであるフィン役のジョン・ボイエガ。彼の親友でPPDCの若きエリート、ネイト役はクリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドです。

『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

ほとんど新キャストですが、前作で死んだKAIJUの脳と<ブレイン・ハンドシェイク>し、KAIJUの秘密や黒幕の異次元人、次元の裂け目の存在をつきとめた科学者2人組が再登場します。実は彼らが今回の物語のカギとなります。

イェーガーもスリムになって動きが派手になったし、また前半の見せ場が、“イェーガーvs怪獣”ではなく、“イェーガーvsイェーガー”であることからもわかるように、怪獣色は後退し巨大ロボットものとしての魅力が立っています。

『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

一番の違いは、前作は夜の戦いがほとんどでしたが、本作は白昼のバトル。実は本作はデル・トロが監督を降板し、ドラマの『スパルタカス』シリーズ(2010~2013年)や『Marvel デアデビル』(シーズン1:2015年)を担当するスティーヴン・S・デナイトがメガホンをとっています。だからイェーガーたちのアクションが剣闘士やアクション・ヒーローっぽいんですね。前作よりも派手で、エンタテインメント色もアクションの見せ場も増しました。

『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

いつか「ゴジラvsパシ・リム」が観たい! 往年の巨大ロボアニメが好きな人にもオススメ

若いファンは素直に楽しめると思いますが、昔からのオタクにとっては、その人のバックボーンによって「前作と本作、どっちが好きか」評価が分かれるかもしれません。というのも、前作は『ジャイアントロボ』(1967~1968年)や『ジャンボーグA』(1973年)、『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)等の実写特撮ものに近い楽しさがありました。従ってイェーガーも重量感があります。

『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

ところが『アップライジング』は、ロボット・アニメ的なのです。従ってアクションもスピーディなんですね。大雑把な言い方をすると、60年代の特撮もののファンは『パシフィック・リム』、70年代の巨大ロボ・アニメ路線を愛する人は『アップライジング』を気に入ると思います。

『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

とはいえ日本のお家芸みたいな物語を、100憶円以上の製作費をかけて映画化できることをうらやましく思います。なお『パシフィック・リム』シリーズを作った<レジェンダリー・ピクチャーズ>は、最新作でキングコングと戦うことが決定したハリウッド・ゴジラ・シリーズや、『ジュラシック・ワールド』シリーズ(2015年~)、万里の長城を描いた歴史ものと思いきや怪獣映画だった『グレートウォール』(2016年)、さらに映画『名探偵ピカチュウ』(2019年)まで手掛ける、ハリウッドきっての怪獣映画製作会社です。

『パシフィック・リム:アップライジング』© 2018 LEGENDARY AND UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

そしてファンの間では、いつの日か「ゴジラvsパシフィック・リム」をやって欲しいと願っているのです(笑)。

文:杉山すぴ豊

『パシフィック・リム:アップライジング』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年10月放送

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『パシフィック・リム:アップライジング』

“KAIJU”群と巨大兵器イェーガーの戦争から10年、世界は混沌としながらも、平和を取り戻そうとしていた。ある日、PPDC(環太平洋防衛軍)の会議が開催されようとしているところに、正体不明のイェーガーが襲撃をかける。それが新たなる戦いの始まりだった。環太平洋防衛軍は正体不明のイェーガーや“KAIJU”群との戦いの中で、人類が滅亡の危機にあることを知る。滅亡のカギは富士山にあり、そこに襲撃をかけようとする“KAIJU”群。そして防衛線が張られた東京で最後の戦いが始まる!

制作年: 2018
監督:
出演: