チョモランマは立ちはだかる“敵”であり愛と崇拝の対象!
事実をもとにした山岳アクションである。1960年、中国の登山隊が北陵からのチョモランマ登頂に成功。しかしその途中、仲間を守るためにカメラを手放し、登頂を証明する映像がなかった。
国際的には登頂が認められず、しだいに自国民からも嘘つき呼ばわりされる元登山隊の面々。屈辱の日々を送る中、15年後に再登頂のチャンスが訪れる。
ツイ・ハークがプロデュースした『クライマーズ』は、つまりストレートな雪辱の物語だ。仲間のためにあえて手放した栄光を取り戻すための闘い。立ちはだかる“敵”であり愛と崇拝の対象にもなるのがチョモランマだ。これは燃える。
熱血アクション中国代表:ウー・ジン! 可憐&芯の強さ中国代表:チャン・ツィイー!
いやあまりにストレートだと思われるかもしれないが、主演はウー・ジン。『ドラゴン×マッハ!』(2015年)や『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(2017年)で知られる熱血アクション中国代表なわけで、醒めた目線などまったく寄せ付けない。気持ちよく、その熱さに乗ればいい。
ウー・ジン演じる登山隊長ファン・ウージョウの恋人シェイ・イン役には『初恋のきた道』(1999年)、『グリーン・デスティニー』(2000年)のチャン・ツィイー。こちらは“可憐で芯が強い役・中国代表”のような存在。
この2人が登山のドラマの陰で一大メロドラマを繰り広げる。あふれる思い。しかし、それを伝えられないもどかしさ。こちらのドラマも古典的といえば古典的で、だからこそグッとくるしスター共演のパワーを感じもする。
対チョモランマな格闘アクション!? ジャッキーのエモい役どころにも注目
もちろん最大の魅力は登山アクション。登山と言いつつ、ジェットコースター的でもある。とにかく危機の連続。吹雪に雪崩に落石、身体を蝕む寒さ。命を落とす者もいる。
活劇の肝は“踏みとどまる”だけでなく“滑り落ちる”、さらに“飛ぶ”だ。CGプラス伝統のワイヤーアクションのエッセンス、そしてウー・ジンの体技。そういう意味ではチョモランマとの“格闘アクション”とさえ言ってもいいかもしれない。
愛国的な演出がちょっと鬱陶しい部分もあるものの、ストレートに燃える映画なのは間違いない。そのパワーに、素直に圧倒されてほしい。ちなみに友情出演のジャッキー・チェンがまたエモい役どころ。これは(公式サイトには載っているけど)あえて書かないようにしよう。「ここで出てくるのかジャッキー!」と、ちょっと目頭が熱くなった。うーん、最後まで熱い。
文:橋本宗洋
『クライマーズ』は2020年9月25日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
『クライマーズ』
1960年、ファン・ウージョウ率いるたった3人の中国登山隊は、世界で初めて北稜からのチョモランマ登頂に成功する。しかし、隊員のソンリンが雪崩による滑落の危機にあう。命を優先した隊はカメラという証拠を失い、その偉業は国際的に認められることはなかった。
――15年後、身をやつしボイラー室で働いていたファンに朗報が入る。 チョモランマ登頂を目指す第二次登山隊が結成されるというのだ。ファンは、婚約者である気象学者インや、カメラマンのリー、測量士のヤンたち新しい仲間とともに、愛と名誉をかけチョモランマ登頂に再び挑む。
制作年: | 2019 |
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出演: |
2020年9月25日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開