『メイキング・オブ・モータウン』は、主に60年代から70年代にかけてアメリカのポップスを先導し、ヒットソングを量産しまくったデトロイトの音楽レーベル<モータウン>が、いかにそのようなミュージックファクトリーに成長したのかを描くドキュメンタリー映画。創業者のベリー・ゴーディと、マルチプレーヤーであり副社長のスモーキー・ロビンソンとの会話を軸に、天才集団モータウンの軌跡をだどります。
「最初の10秒で人の心を掴め!」かっこいい先人たちから学ぶ
『メイキング・オブ・モータウン』で語られるのは、50~60年前くらいの出来事です。モータウンの曲を一曲も知らない! という若者がいても全く不思議じゃないけど、月並みですがそんな方こそ是非。編集がとても上手なので、最初からグッとノレるはず。オーナーのベリーは曲作りの際に「最初の10秒で人の心を掴め!」が口癖だったと劇中で語られますが、その教えをこの映画も守ったと言えるかも。始まったら最後まで、いい曲に出会えるチャンスがたくさん転がってます。
画的には「おじさんが喋ってる」カットが多いです。昔の思い出を語っているわけだけど、それが全くしみったれていなくてイイ。この映画の一番の魅力はここ。おじさんにはかっこよく、そして面白くいてもらわないと困ります。なぜなら、みんな等しく歳をとって、若い人たちもそのうち必ずおじさんとかおばさんとかになるから、いい見本が必要。
でも、最近の日本のおじさんはかっこよくない人たちが悪目立ちしてる。いかん。かっこいいおじさんを見とかないと、かっこいいおじさんになれません。だから、こういう映画を見よう。
NiziUもモータウンの影響下にあり!? 大衆の心を掴むものをどう作り、どう売るか
先にも書きましたが「ミュージックファクトリーとしてどう優れていたのか」がよく分かる映画です。モータウンを描いた映画は今までも、バックバンドに光を当てた『永遠のモータウン』(2002年)や、シュプリームスとダイアナ・ロスが元ネタであろう『ドリームガールズ』(2006年)などがありますが、今回はどれもとも違います。どんな会社で、どんなやつがいて、どんな曲ができたのかって話です。
モータウンの成功の後、いろんな人が彼らのやり方を参考にしました。最近、日本人オンリーのK-POPアイドルNiziUがすごい人気ですが、彼女たちの所属しているJYPエンターテイメントの創立者(J.Y. Park)のスピーチなんかをYouTubeで見ても、やっぱり元祖はモータウンかもな、と思うほどです。大衆の心を掴むものをどう作り、どう売るのか。音楽に関わって生きていこうという意思のある若者にもおすすめです。コロナで大変だけどね!
『メイキング・オブ・モータウン』は2020年9月18日(金)より全国順次公開
『メイキング・オブ・モータウン』
2019年、引退した創設者ベリー・ゴーディが初めて許可した最初で最後の密着ドキュメンタリー。デトロイトの片隅の一軒家から、彼らはいかにして世界の音楽を変えたのか?“伝説を生むノウハウ”が初めて明かされる。
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2020年9月18日(金)より全国順次公開