予告に偽りなし! すべてPC画面の中で起こる斬新サスペンス
「この映画は100%すべてPC画面の中で展開する」――『search/サーチ』(2018年)の予告でこの言葉を目にした時は『アンフレンデッド』(2015年)みたいな映画かな? くらいにしか考えてなかったんですが、実際に観たらぶっ飛びました! 上映時間102分、本当にすべての出来事がPCの中で起こる!!
正直に言うと、開始から5分の時点では「この映像でずっといくの、しんどいなぁ」と思ってました。けれど、そんなしんどさを一切感じさせません。細かいディティールすべてを映像化しているわけではないのに、見えない所をスムーズに理解させる編集、Googleマップやスカイプ、写真などPC上でできることを活用しまくって展開するので、全く飽きないんです。気がついたら映画に入り込んでしまってますよ!
「誰もが日常的に目にするものばかりを映像に取り入れた」と監督が言う通り、それほどPCに詳しくない僕でも、いま何をどうしているのかが簡単に理解できました。監督は若干27歳(当時)のアニーシュ・チャガンティ。若い! 主演のジョン・チョーを中心にアジア系の俳優が配されてはいるものの、僕が知ってる俳優やスター俳優などは出ていません。過去のハリウッド映画では考えられない配役で、しかも異例の大ヒット作になるなんて、これまでの映画の歴史を考えると痛快! 人種関係なく、良い演技ができる人が評価されるのは当然ですね。
SNSを開いてびっくり! 父親が知らなかった娘の“裏の顔”とは……?
ある日、シングルファーザーのデビッド(ジョン・チョー)の16歳になる娘マーゴットが突然、姿を消す。行方不明事件として捜査が行われるが、家出なのか誘拐なのか分からないまま時間だけが過ぎていく。娘の生存を信じるデビッドは、マーゴットのパソコンからSNSにログイン。そこで彼が見たものは、自分が知らない娘の一面だった……。
“秘密”は誰にでもある。ネットを使って自分を偽ったりもする。多くの人の秘密や偽りが、PCやスマホに入っていると思います。ましてやティーン世代であれば、親に秘密にしたいことは1つや2つじゃないはず。僕も“お年頃”だった当時、ベッドの下に“とある本“を隠していていて、あるとき学校から帰ってきたら机の上に積まれていた……なんてことがあったなぁ! と、ベタですが本当の話。
隠し事がない人なんていない! 他人のPC覗いちゃダメ、ゼッタイ
監督の「隠れた情報こそ、真の姿を表す」という言葉通り、デビッドが娘の情報を集めていると、彼女の秘密どころか自分の兄弟や友人の秘密まで探る必要が出てきて、どんどん知らなかった事実を知ることになる。その巧みに張られた伏線が回収される時、物語はクライマックスを迎え、観客をドキドキハラハラから感動へと誘います。
個人的に、PC画面で展開する映画だからってPCで見るのはオススメしません! 現実との区別がつかなくなりそうだから(笑)。そして最後に言いたいのは、デビッドみたいな緊急時以外、誰かのPCを触ったらダメだよ! ってこと。本作では偶然SNSのパスワードが判明したから物語が進んだけど、それはそれとして「自分のSNSのパスワード、もっと強化しよう……」と心に誓ったのでした。
文:ゾニー(KING BROTHERS)
『search/サーチ』
忽然と姿を消した16歳の女子高生マーゴット。行方不明事件として捜査が始まる。家出なのか、誘拐なのかわからないまま37時間が経過。娘の無事を信じる父デビッドは、彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター……。そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿だった……。
制作年: | 2018 |
---|---|
監督: | |
出演: |