濃厚100%マッツ汁をイッキ飲み!
このマッツ汁100%の濃厚なマッツ映画、マッツ信奉者の皆さんは既にご覧になっていると思うが、一応ざっくりとストーリーを説明しておこう。今回マッツが扮するのは、裏の世界で“史上最強”と謳われた暗殺者ブラック・カイザーことダンカン・ヴィズラ。裏稼業からの引退を数週間後に控えたダンカンだったが、高額の年金支払いを渋った雇い主の差金によって、自分が殺しのターゲットになってしまう……。
ブラック・カイザーという中学生レベルのネーミングセンスは最高だが、やはりというか同名のスペイン産コミックが原作。ただし「シン・シティ」っぽいモノトーン劇画風のコミックに反して映画のほうは、変態かつ小物感漂う敵のボスや異様にポップな暗殺集団など、ファッションも立ち居振る舞いも過剰にビビッドだ。
今作のマッツに一番近いのはデューク東郷
マッツ主演の殺し屋映画と聞くと、『ジョン・ウィック』や『イコライザー』シリーズのように寡黙な暗殺者が黙々と正義を執行して……みたいな作品を想像してしまうだろう。しかし、この『ポーラー~』はどちらかというと「ゴルゴ13」に近い。ダンカン自身は寡黙なもののデューク東郷ばりに性欲旺盛で、エロい女性とあらば敵であっても全力で抱きにいく下半身脳の持ち主でもある。
しかもダンカンは引退間近ということで、健康診断したり会計士に年金の相談をしたりと終活にも余念がない。ストーリーに大きく関わってくるシーンではないが、真顔で直腸検査されるマッツというのもなかなかオツである。なお、劇中ではこの他にも何度かマッツの美尻を拝めるチャンスがあるのでお見逃しなく。
さらに引退後のことを考えてか、子犬を飼うダンカン。これは『ジョン・ウィック』みたいな犬ラブ展開か!? と思いきや、過去の殺しの記憶に苛まれるダンカンの心理を説明しつつ、すさまじいブラックジョークをかましてくる。これは「犬が殺されたからって大量殺人なんてするかよ!」という当てつけなのか……?
吹き替えでの鑑賞もオススメ
クールなはずのダンカンがやけに気にする地味なお隣さんを演じるのは、ヴァネッサ・ハジェンズ。過去のトラウマに悩み常にビクビクしてるカミール役は、若い頃からブリブリな役柄を演じてきたハジェンズの新境地と言えるだろう。なお先輩殺し屋(?)役でリチャード・ドレイファスがカメオ的に出演しているが、ドラえもんみたいな丸っこさなので最近のドレイファスを知らないと気づかないかも。
また、ダンカンが色々あって拷問されてしまうシーンは、なぜかこれみよがしにじ~っくり描写。監督のヨナス・アカーランドは変態なのかな? と思ったら、『SPUN』(2002年)とか『ホースメン』(2008年)の監督だったので、やっぱりちょっと変態なのかもしれない。ともあれ、マッツが主演したドラマ版『ハンニバル』を意識しているかのようなシーンもあって、吹き替えも同じく井上和彦氏だし(ありがとうございます最高です)、近年のマッツ出演作を観ている人ならばニヤつき必至だ。
ちなみにダンカンが流暢なロシア語を披露するシーンもあるのだが、マッツの実兄ラースもドラマ『ハウス・オブ・カード』でロシアの大統領を演じてたことを思い出したりして、間接的な兄弟萌えも嬉しい。というかマッツは5ヶ国語くらい喋れるらしくて、なんかもうチート級のカッコよさ……。
どこを見てもマッツ! 清々しいまでのマッツ映画
マッツが殺し、マッツがセックスし、マッツが拷問され、マッツが復讐する……。この『ポーラー 狙われた暗殺者』は、とにかくマッツが映らないシーンを探すほうが難しいという、清々しいくらいのマッツ映画である。もちろんマッツに興味がなくても十分楽しめる、エロもグロも適度に散りばめられた素敵なバイオレンスアクション映画なので、とりあえず今すぐ観て!
『ポーラー 狙われた暗殺者』は2019年1月25日よりNetflixにて配信中。
『ポーラー 狙われた暗殺者』
殺し屋稼業からの引退を目前にして、穏やかな生活を送っていた凄腕暗殺者を狙う非情は若手刺客軍団。強欲なボスの仕業だと知り、男は決死の反撃に出る。
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |