夏フェス不足は涼しい映画館で解消! 本格ジャズが骨の髄まで染み渡る
映画『真夏の夜のジャズ』は、1958年の夏、4日間にわたって開催された「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」の模様を捉えた音楽ドキュメンタリー。第20回ヴェネチア国際映画祭(1959年)で初披露されるや大反響を巻き起こした同作が、色鮮やかなデジタルリマスター4K版で2020年8月21日(金)より公開60周年記念リバイバル上映中だ。音楽イベントが軒並み延期・中止となっている今こそ、超豪華ミュージシャンの競演を臨場感あふれるビビッドな演出で記録した本作を観て、溜まりに溜まったライブ欲を発散していただきたい。
本作に登場するのは、ルイ・アームストロング、セロニアス・モンク、チャック・ベリー、アニタ・オデイら錚々たる面々。ジャズなんてほとんど聴いたことない! という人でも、音楽史に燦然と輝く彼らの名は聞いたことがあるはず。そんな豪華アーティストたちが共演するステージの様子はもちろん、思い思いに楽しむファッショナブルな観客たち、水面きらめく避暑地ニューポートの風景、同時期に開催されていたヨットレースの模様などが挿入され、まるで南仏バカンスのような開放感すら味わえてしまうのも本作の大きな魅力だ。
偉大な写真家が独自のセンスで切り取った真夏の饗宴を4K映像で堪能!
監督を務めたのは、亡くなる数ヶ月前のマリリン・モンローを撮影したことでも知られる写真家バート・スターン。同フェスで圧巻のパフォーマンスを披露したルイ・アームストロングの写真も監督スターンが撮影したものだ。
2013年にこの世を去った偉大な写真家は「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」をどう切り取ったのか? 写真家ならではのセンスで表現される映像の数々は、音楽ファンはもちろん映画~写真愛好家、そして当時のアメリカ文化に興味がある人にとっても、その一端を知ることができる貴重な作品と言えるだろう。
人種も世代も超えた文化的饗宴の記録は1999年、半永久的に保存すべき作品として『ローマの休日』(1953年)などと並んでアメリカ国立フィルム登録簿に登録されたというから、その内容はお墨付き。4Kの美麗なライブ映像を巨大なスクリーンで楽しめる、この貴重なチャンスをお見逃しなく。
『真夏の夜のジャズ 4K』は2020年8月21日(金)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか上映中
『真夏の夜のジャズ 4K』
1958年7月3日から7月6日まで開催された「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」を中心に撮影が行われ、それを1日の夏の夜の出来事としてわずか83分の作品にまとめたドキュメンタリー映画。音楽と直接関係のないイメージを作品の随所に使用、観客にフォーカスしたシーン(映画全体の半分ほど)やアメリカズカップのヨットシーンなど、まるでビデオクリップのような映像は50年代のアメリカ文化を鮮烈に伝える、単なる音楽ドキュメンタリーにはとどまらない魅力に溢れている。
制作年: | 1959 |
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2020年8月21日(金)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか上映中