何百、何千年と生きてきた不死の戦士たちによる孤独な戦い
Netflixオリジナル作品『オールド・ガード』は“フュリオサ大隊長”ことシャーリーズ・セロンの主演最新作である。
本作で彼女が演じるアンドロマケは“不死”の存在。撃たれても斬られても傷はすぐに治る。それどころか、命を失っても短時間で蘇生する。つまり無敵の戦士だ。
しかし、もちろん強ければそれでいいということにはならない。自分は若いままなのに家族や恋人は年老いて死んでいく。そのことを愛する者に責められてしまうことすらある。数百年どころか千年単位で続く孤独だ。だから、同じ“不死”の仲間と行動をともにするしかない。“普通の人間”とは一緒にいられない。
アンドロマケ率いる不死の戦士たちは、はるかな昔から戦争をはじめ“世界史”に残るさまざまな場面で力を発揮してきた。世界を少しでもよくするための闘いだ。だが千年単位で生きた実感として、世界はよくなっていない。ではどうする?
彼らの存在に気づき、狙う者たちも現れる。本作の敵は不死の秘密を独占しようとする製薬会社だ。戦士たちは苦境を迎え、そこに新たに不死の体となった女性兵士ナイルが絡む。
カッコよさに性別は関係なし! 不死ならではの独自ファイトスタイルも秀逸
グラフィック・ノベルを原作とする『オールド・ガード』はスリリングで情感に満ち、なおかつスケールが大きい。なにしろ背景が“世界史全体”なのである。魅力的な役柄と舞台を得てセロンのカッコよさも全開。孤独をたたえた横顔など抜群である。かつては男が独占していたタイプの魅力をフル装備というのか、カッコよさに男も女もないというのがよく分かる。“男女”の恋愛が出てこないのも現代的と言っていいだろう。
もちろんアクションも現代的だ。撃たれてもいったん死んでも(痛みはあるが)、闘い続けることができるという特性を活かした独自の“ファイトスタイル”である。
また、銃のない時代から闘い続けてきたアンドロマケだけに、剣の扱いも一級品。右手にピストル、左手に剣を握ってのバトルシーンも見せてくれる。仲間が見せる柔道技の“殺人的”な使いっぷりもインパクト充分だ。
主人公チームが魅力的なだけに、過去の活躍なども見てみたいところ。どうやら続編も作られそうということで、期待して待ちたい。いや、まずは見ていない人は本作を。
文:橋本宗洋
『オールド・ガード』はNetflixで独占配信中
『オールド・ガード』
何世紀もの間、ひそかに人類を守ってきた4人の不死身の兵士たち。だが、その特殊能力を知った謎の組織が、私利私欲のために彼らを狙い始める。
制作年: | 2020 |
---|---|
監督: | |
出演: |