イタリア北東部で行われる「第22回ウディネ・ファーイースト映画祭」(以下、FEFF22)が、2020年6月26日~7月4日にオンラインで開催される。コロナ禍の影響で各映画祭は軒並みオンライン開催へと切り替えているが、劇場公開を控えた新作がラインナップに挙がっていなかったり、日本からはアクセスできなかったりと問題点も多々浮かび上がってきた。それでも探せばあるのだ、お宝作品や日本公開前の作品をいち早く鑑賞するチャンスが! そんな「FEFF 22」のラインナップから、日本で視聴可能な主な作品をピックアップする。
注目映画を日本公開前に観られるチャンス!
同映画祭は、イタリアではなかなか見る機会のない極東地域の一般大衆が楽しんでいる映画を紹介しようと、アジア映画好きが1999年に始めた祭典。同映画祭で海外初上映された滝田洋二郎監督『おくりびと』(2008年)が米アカデミー賞外国語映画賞に輝き、同じく上田慎一郎監督『カメラを止めるな!』(2018年)が世界中で旋風を巻き起こしたこともあり、国内外での注目度が高まっている。
今年は46作品を上映。オープニングを飾るイ・ビョンホン&ハ・ジョンウ共演の災害パニック映画『白頭山(原題)』(英題『Ashfall』:2019年)は、残念ながら欧州のみの配信で、日本公開までお預け。しかし、同映画祭に第1回から参加している香港アクション映画の雄ジョニー・トー監督は、中国で11月に公開された『我的拳王男友(原題)』(英題『Chasing Dream』:2019年)を今年も出品し、全世界で視聴可に。
アクションスターのジャッキー・ヒョン演じるキックボクサーと、『芳華-Youth–』(2017年)で注目された若手女優ワン・クールー演じる歌手の卵とのラブストーリーだ。
▶ 『芳華-Youth-』文化大革命と共に、若者たちの青春があった
https://www.youtube.com/watch?v=DIDg6lr4w98
中国で大ヒットしたアンドリュー・ラウ監督『フライト・キャプテン 1万メートル、奇跡の実話』(2019年)も、2020年10月2日(金)の日本公開に先駆けて全世界配信。中国版”ハドソン川の奇跡”と称される2018年に起こった四川航空8633便不時着事故の舞台裏を描いている。
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督ファン必見なのが、初期作品『風が踊る』(1981年)の修復版だ。同作はプロデューサーの彼と、偶然出会った目の不自由な男性との間で心揺れるCFカメラマンの恋物語で、侯監督の長編2作目。台湾フィルムインスティチュートの依頼により、日本のIMAGICA Lab.が修復作業を行なったもので、昨年の金馬奇幻影展で初披露された。今回が海外初上映となる。
日本映画も多数参加! イタリアとの時差に負けず制覇できるか!?
日本作品では松居大吾監督『#ハンド全力』(2020年7月24日熊本先行公開。7月31日全国公開)、濱田岳&水川あさみが夫婦役を演じる『喜劇 愛妻物語』(2020年9月11日公開)、二ノ宮隆太郎 監督『お嬢ちゃん』(2018年)が視聴可能。
さらには特集が組まれている渡辺紘文監督『地球はお祭り騒ぎ』(2017年)、『普通は走り出す』(2018年)、『叫び声』(2019年)、最新作『わたしは元気』の4作品も上映。故郷の栃木県大田原市を活動拠点としている渡辺監督が一気に世界へと飛び出していく。
ただ、注意点が一つ。外国作品は英語字幕かイタリア語字幕のみ。また各作品とも上映日時も決まっているため、日本から視聴するには時差との闘いとなりそうだが、オンラインでの舞台挨拶やトークイベントも行われる予定で、同映画祭の雰囲気を味わう良い機会となりそうだ。
文:中山治美
第22回ウディネ・ファーイースト映画祭は2020年6月26日(金)から7月4日(土)までオンライン開催