トム・ベレンジャー演じるベテランの狙撃兵トーマス・ベケットの活躍を描くご長寿シリーズ『山猫は眠らない』。シリーズ最新作『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』に、なんと日本から秋元才加さんが準主演ポジションで出演! 本作でハリウッドデビューとなる秋元さんに、トム・ベレンジャーら大御所たちとの共演エピソードや英語セリフで演じた印象を伺った。
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「トム・ベレンジャーさんは優しくて朗らかな感じのイメージだったので『プラトーン』を観てビックリしました(笑)」
―主演のチャド・マイケル・コリンズさんとのアクションシーンの撮影はいかがでしたか?
チャドさんはすごくジェントルな方でした。私がそんなに英語が流暢ではないので、撮影の時に英語で専門用語とかを話されるとわからなかったりするんですけど、それをわかりやすく話してくれたり、アクションのときも私がやりたいこと、上手く言葉で説明できないことを汲み取ってくださって。そんなにたくさんお話はできなかったんですけど、アクションシーンはお互い息を合わせて、という感じで。逆にチャドさんはやりにくかったんじゃないかなって心配になりました。
アクション監督のブレッドさんがフィリピン出身の方で、私もフィリピンのミックスなので、それはすごくうれしくて。ブレッドさんが私たち2人がよく見えるようにカット割りとかも全部ディレクションしてくれたので、こういうカッコいいアクションの撮り方があるんだって、すごく感激しました。日本だとあまりカメラが動くイメージがないんですけど、チャドさんと2人でアクションをやっていて、ちょっと失敗したかもっていうときも、カットの割り方とかカメラの動き方ですごくカッコよくパンチが当たっているように見えたり。自分のやることをやっていれば、あとはみんながカッコよくしてくれるっていう安心感はありました。
―トム・ベレンジャーさんの印象はいかがでしたか?
撮影のときはもうすっかりお父さんで、そんなにしゃべらないけど本当に優しく包み込んでくれる感じでした。実は最初にお会いしたのは撮影前だったんです。同じホテルのエレベーターで偶然お会いして、あまりに普通に新聞紙とコーヒーを持って立ってたんです(笑)。本来、俳優とか役者ってスイッチのオンオフがこうあるべきなんだなっていうのを見て感激しましたね。ついこのあいだ『プラトーン』(1986年)を観たんですけど、私のなかのトム・べレンジャーさんって優しくて朗らかな感じのイメージだったのでビックリしました(笑)。別人なんじゃないかって思うぐらい、こんなお芝居もする方なんだって。
―本作では主人公親子の絆が大きなテーマにもなっていますが、撮影現場でのお2人の印象はいかがでしたか?
本当に親子みたいでしたね。すごくコミュニケーションを取っているわけでもなくて、人に寄るかもしれないんですが、本当の家族って逆にあんまりしゃべらないけど近くにいるみたいな。空気感だと思うんですけど、それがすごく親子っぽかったのかな。阿吽の呼吸みたいなのが存在している感じでしたね。言葉じゃなかなか難しいんですけど、スタートって言った瞬間に親子の空気感みたいなものが醸し出されて、「これがお芝居なんだ」って感じました。海外の役者さんたちってみんな、だいたい学校で学んでるっていうのを友人から聞いていたので、本当に“技”を観てるっていう感じだったかもしれないです。
演じるのはCIAでロシアの傭兵、そしてヤクザの訓練を受けた暗殺者!
―本作で秋元さんはCIAでロシアの傭兵、そしてヤクザの訓練を受けた暗殺者という、かなりハードな役を演じられたのですが、どのように役作りされましたか?
役作りもなにも、規模が大きすぎて(笑)。CIAで傭兵でヤクザ!? みたいな(笑)。多分、海外の方が日本人に対して持っているイメージとか、こうであってほしいっていう願望を凝縮した役なんだろうなと。なので、日本人が思うヤクザのイメージとは違うんだろうなって思っていたので、監督とそういった部分のすり合わせが出来たらいいなと思ってカナダに行きました。
撮影に参加する前に、外国人が求める日本人のイメージって何だろうって思って、いくつか日本の作品も観ました。梶芽衣子さんの『修羅雪姫』(1973年)は海外でもファンの多い作品だと聞いたので観たんですが、やっぱり梶さんもキリッとしているので、私の中でさらに役柄のイメージが湧くかもしれないと思って観ましたね。
―すり合わせのなかで、秋元さんの意見が作品に反映された部分もあるのでしょうか?
ディスカッションする機会が多めにあって、撮影の前に「君はどういう風にこの役をとらえているんだ?」って聞かれたんですね。作品によってだとは思うんですけど、日本だとなかなかそういった時間がなくて、だいたい監督にこういう役ですって提案をいただいて、そこから肉付けしていくことが多かったので、「君は何がやりたくて、何がやりたくない?」っていうのをはっきり聞かれたときに、けっこう戸惑いました。
私はこの役を、昔ながらの日本じゃないですけど、動作も軽く動くんじゃなくて、しっかり一つ一つが重いというか、武道みたいな感じで動きたいって思っていて。監督も主演のチャド(・マイケル・コリンズ)さんがチャカチャカ動くから、そこと対比を付けたいとおっしゃっていたので。そういった点で、あんまり動かないとか重心をブラさないとか、本当にちっちゃいことなんですけど、そういう余計な動きをなるべく排除してお芝居しようっていうのは決めていました。
―秋元さんの鋭い視線が印象的でしたが、意識はされましたか?
撮影中も、もっと強く、もっと鋭くって言われました。日本だと私のこの強い目が場合によっては余計だったりいらないっていうことがあったりするので、ここ数年はなるべく優しく見えるように、強く見えないようにって意識して仕事をしてたので、久しぶりにもっと強くって言われて戸惑いました(笑)。
「物騒なセリフを練習しながらバンクーバーの街を歩いていたら大勢に振り向かれました(笑)」
―アクションシーンも素晴らしかったのですが、撮影前からトレーニングされたんでしょうか?
日本では、撮影までにそんなに時間がなかったんです。普段からトレーニングはしてるんですけど、ちょっと動ける筋肉をつけようと思って、負荷をちょっと高めにしたいつもと違うトレーニングに変えたりだとか、たくさん食べて少しだけ体重を増やしましたね。本当はもっと身体を大きくしたかったんですけど、カナダに行って撮影と並行してアクションシーンの練習をしてたら、動きが激しくてどんどん痩せていっちゃって、食べるのが追いつかなかったんです(笑)。
Three words: High. Octane. Action. Experience it with #SniperAssassinsEnd - on Digital & Blu-ray Tuesday! #SniperFilms pic.twitter.com/kfo22C4rzV
— Sniper: G.R.I.T. (@SniperFilms) June 13, 2020
アクションの練習は3日間ぐらい時間を取ってくださって、基礎の練習だったり、アクションの手数を覚えました。ハリウッドからしたら少ない日数だと思うんですけど、日本の作品だと結構バタバタになってしまって、当日に覚えて当日やるみたいなことが多かったりするので、そういった点では自分のなかで落とし込んで撮影に臨むことができたかなって思います。
―英語のセリフはどうでしたか?
これまでの海外作品のイメージで、流暢にしゃべらないといけないのかなって悩んだんですけど、「無理に流暢にしゃべろうとしないで、日本の訛りが欲しい」って言われたんです。そういうことは気にせずに、一言ずつはっきりしゃべってくれたほうが誰が観てもわかる英語になるから、ゆっくりはっきりしゃべってくれって。なので、今回はそれを意識してセリフを言いました。はじめての経験だったので、自分のなかでは良くできたのかどうかをまだジャッジできていないんですけど、そこは意識してやりましたね。
街中でもずっと歩きながらセリフを練習してたんですけど、「私はこいつを殺した代償を払わなくてはいけない」とか、けっこう物騒なセリフが多かったんです。それをブツブツしゃべりながらバンクーバーを歩いてたらいろんな人に振り向かれて、「あ、これ言っちゃいけない言葉なんだ」って(笑)。
「アメコミ好きとしては、次はマーベルなどアメコミのキャラクターを演じてみたいですね」
―次はどのような作品に参加してみたいですか?ハリウッドに関してはどの役をやりたいとかはいまのところなくて、もう何でもいいからチャンスがあるんだったら出たいです。そうやっていろんなことを学んで、また日本でも同時に活動していきたいっていう気持ちが強いですね。ただ強いて言うなら、アメコミ好きとしてはマーベル作品とかにアジア人のキャラクターがけっこういるので、強い女性やレズビアンの女性、FTM(Female to Male)などの役に挑戦してみたいです。海外でやるんだったら、やっぱりアメコミのキャラクターを演じてみたいですね。
個人的には「これやりたい」とか「あれやりたい」とか、あるようでなかったりするんですけど、よきタイミングで「これをやらせたほうがいいんじゃない?」ってピックアップしてくれる方と出会うことが多いんです。今回もまさか最終的に目に赤いラインを入れて、ミュータント・タートルズみたいになるとは思っていなかったし(笑)。知らず知らずのうちに幅が広がっていったらいいなって思います。(海外で)ああいう役をやって、日本でも違った印象の作品に出演して、ギャップがどんどん広がって、面白くなっていけばいいなって感じていますね。
―最後に、本作を楽しみにされている皆さんにメッセージをお願いします。
ガンアクションやアクションがすごく魅力的な作品です。前作ともまったく違うし、『山猫』ってちょっとずつ毛色を変えてどんどんリニューアルしている印象なんですね。「まだ山猫眠ってないのかよ!」「そろそろ眠らせてやれよ!」って方も多かったんですけど(笑)。今回は本当に新しい挑戦だと思います。監督はもともとアメコミを書いているアーティストの方なので、それを踏まえて観ていただくと「だからこういう作品になったのか」っていうことも分かっていただけると思うんです。いままでの『山猫は眠らない』とはまた違った作品になっていると思うので、そういったところの魅力も観ていただきたいし、ワンショット・ワンキルの爽快感を味わっていただけたら。この機会に女性が観て「強い女性ってカッコいいかも」とか、「アクションって面白いかも」って思って、『1』から振り返ってこのシリーズのファンになって下さったらうれしいですね。
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『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』は2020年8月14日(金)より公開
最新作の公開に合わせてCS映画専門チャンネル ムービプラスでは『山猫は眠らない』シリーズ過去7作品を一挙放送
『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』
外交官が何者かに暗殺された事件。狙撃兵ブランドン・ベケット(チャド・マイケル・コリンズ)は容疑者として疑われてしまう。CIAと、彼の命を狙う集団から追われる身となったブランドン。逃げまどい向かった先は、狙撃兵を引退した父・トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)が生活する山小屋。ブランドンはトーマスにこれまでの顛末を打ち明けて、事件解決のため協力を求めるが、そこに謎の暗殺者(秋元才加)が現れて……。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
出演: |
2020年8月14日(金)より公開