出し惜しみなし! 開始1分強でシックスヘッド・ジョーズ登場
舞台は1984年、メキシコのバハマ半島沖にあるらしいコラゾン島。「カリフォルニア大学 生物学部 海洋研究ラボ」という設定には無理がありすぎる、ハリボテの浮島みたいなところから物語は始まる。
ここに多頭サメの秘密が隠されているのかな? なんて考えていると、さっそく“シックスヘッド・ジョーズ”が登場。何も考えず黙って観てろ! と言わんばかりの性急な展開で、映画ファンらしく深読みしようとすると恥ずかしいので気をつけよう。
タイトルの時点でネタバレしているようなものでもったいぶる必要もないのだが、とにかくバハマ沖にヤバいモンスターがいるという説明は開始3分くらいで完了した。あとはサメがバンバン人を襲うのを楽しむだけだ! と思いきや、数十年が経過し舞台は現代へ。あんまり昔の話にするとセットとか衣装とか用意するの大変だしね。
死亡フラグが頭上に見える! 個性的な被害者予備軍の皆さん
どアタマでがっつり登場しておきながら、その後あらためて魚影からじわじわアピールする健気なサメ。その魚影を上から見ると頭が多すぎて「¥」マークみたいになっているのだが、これはちょっと怖い。サメじゃなくて、こんなデザインのサメで映画化にGOを出した関係者の脳内が。
さて、現代文明から隔絶されたコラゾン島の大自然の中では、マンネリ気味のカップルたちが関係を修復させるべく怪しいキャンプセラピーに参加している。やがてサメの餌食となるであろう複数ペアの男女を、いかにも必然っぽく僻地にスタンバイさせるという意味ではなかなかコスパの良い設定だ。
このセラピーの主催者であるウィリアムが本作の主人公。彼の私生活もだいぶ複雑なようだが、物語とは特に関係ないし本筋にも特に影響しないので、そのへんは割愛する。ちなみにセラピー参加者は、ヒッピー系スピリチュアルカップル、オタク系黒人カップル、アウトロー系不良カップル、冷めきった年の差カップルという4組で、一応キャラ分けはできている。安っぽいジャレッド・レトみたいなイケメンもいるぞ!
もはやサメじゃない! シックスヘッド・ジョーズの超特殊能力
一人、また一人とサメの餌食となっていく登場人物たち。船に戻ったり陸に上がったりと忙しく逃げ回っているうちに、やがて大規模な嵐が発生! このままじゃ洪水に飲み込まれる! という『シャークネード』シリーズに目配せしたような展開もあるが、先ほども言ったように深読みは禁物だ。ここから期待されるような展開は一切ない!
主人公がオリジナルな武器を持ち出すシーンでは、血糊を盛大に浴びすぎて目が開かず苦しんでいる様子をスローで楽しむことができる。登場人物の心境も全部セリフで説明してくれるという、キャラクターの心情をおもんぱかる必要がない省エネ設定もうれしいところだ。
なお、今回のサメには頭を切断されても再生するという前作から引き継いだような設定があり、一応「冷戦時代の生物実験によって生み出された」みたいなセリフもある。あと、6つも頭があるので側面に生えてる左右4つの頭を……と、まあ他にも色々な(あり得ない)特殊能力を持っているので、そちらは観てのお楽しみ。
ここまで4作がんばってきた多頭サメシリーズだが、さすがに5作目は厳しいだろう。だって、これ以上頭が増えたら“サメ手裏剣”みたいなルックスになっちゃ……あ、次回作はきっとそれだ!