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ランボーの怒りと哀しみを勇壮な音楽で描き出す! シリーズ最新作『ランボー ラスト・ブラッド』

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ライター:#森本康治
ランボーの怒りと哀しみを勇壮な音楽で描き出す! シリーズ最新作『ランボー ラスト・ブラッド』
『ランボー ラスト・ブラッド』© 2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

心に傷を負ったベトナム帰還兵の悲壮な戦いを描き、人々の共感を呼んだ名作アクション映画『ランボー』(1982年)。悲劇性の強い内容から一転、ド派手なバイオレンス・アクション巨編へと変化を遂げた『ランボー/怒りの脱出』(1985年)と『ランボー3/怒りのアフガン』(1988年)を経て、20年ぶりに製作されたシリーズ第4作『ランボー 最後の戦場』(2008年)で、ランボー・サーガは完結したかに思えた。しかし11年の歳月を経て、ランボーの“その後”を描いたシリーズ最新作にして最終章『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年)が遂に日本公開となる。

牧場で静かに暮らすランボー……しかしある事件が引き金となり凄絶な私闘に発展!

前作のラストでアメリカに帰ってきたジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)。現在は故郷アリゾナで牧場を営み、古い友人のマリア(アドリアナ・バラーサ)と、その孫娘ガブリエラ(イヴェット・モンレアル)の3人で静かに暮らしている。トレードマークの長髪を切り、馬の世話をしながら、遭難者探索のボランティアにも従事するランボーの姿は、かつて拒絶された“社会”に受け入れられたようにも見えて、感慨深いものがある。

『ランボー ラスト・ブラッド』© 2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

しかし心の拠り所でもあるガブリエラを、メキシコの人身売買カルテルに奪われたことから状況は一変。シリーズ史上最も激しい怒りを見せるランボーの凄絶な私闘が繰り広げられる。ベトナム軍やソ連軍、ミャンマー軍に比べると、今回の悪役はスケール的に若干見劣りするものの、「(奴らに)死が迫っていることを思い知らせたい」と宣言し、牧場の巨大地下壕に凶悪なトラップを仕掛け、あらゆる武器で悪党どもを次々と始末するランボーの戦いは、これまでのシリーズに勝るとも劣らない迫力である。

『ランボー ラスト・ブラッド』© 2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

本作の監督を務めたエイドリアン・グランバーグは「シリーズ第1作への回帰を目指した」と語っており、ゲリラ戦術を駆使したランボーの戦い方には、確かにその雰囲気が感じられる。そして「悪意のある者から不当な暴力を受け、ベトナム戦争のトラウマと抑制されていた怒りが爆発する」というシリーズ第1作を彷彿とさせるストーリー展開は、復讐の鬼と化したランボーの渾身の“仕置”で、観る者に強烈なインパクトを与えるはずだ。

『ランボー ラスト・ブラッド』© 2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

映画音楽界の伝説的巨匠からシリーズを引き継いだブライアン・タイラーの音楽が熱い!

『ランボー』シリーズの音楽は、第1作から第3作までは『猿の惑星』(1968年)、『スター・トレック』(1979年)、『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)などで知られる映画音楽界の巨匠、ジェリー・ゴールドスミスが担当していた。

勇ましさの中に男の悲哀を漂わせた『ランボー』のメインテーマは、第1作でダン・ヒルによってエンディングテーマ「It’s A Long Road」としても歌われている(『怒りの脱出』でフランク・スタローンが歌った「Peace in Our Life」にもテーマ曲のフレーズが使われている)。

『ランボー/怒りの脱出』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
発売・販売元:Rambling RECORDS Inc.
品番:RBCP-2812

しかしゴールドスミスは2004年に亡くなったため、スタローンは『最後の戦場』で新たな作曲家を探さなくてはならなくなった。そこで彼の目に留まったのが、当時売り出し中の俊英作曲家ブライアン・タイラーだった。現在タイラーは『ワイルド・スピード』シリーズ(※)や『アイアンマン3』(2013年)、『エクスペンダブルズ』シリーズ(2010、2012、2014年)などのヒット作/話題作の音楽を担当する売れっ子となっており、10年以上前に彼の才能を見出したスタローンの目は確かだったということになる。

※『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)を除く『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)以降のシリーズの音楽を担当。

『ランボー』シリーズの音楽を引き継いだタイラーは、前作『最後の戦場』で自身が新たに書き下ろしたテーマ曲を中心に、要所でゴールドスミスの「ランボーのテーマ(Rambo: First Blood Theme)」を用いたスコアを作曲した。この楽曲構成は本作でも踏襲されている。

https://www.youtube.com/watch?v=KfpgXuFeVNI

タイラーが作曲したテーマ曲は、ゴールドスミスの「ランボーのテーマ」との親和性も高く、両者のメロディがスコアの中で違和感なく馴染んでいる。『ランボー ラスト・ブラッド』は勇壮なフルオーケストラ音楽でランボーの激しさを表現する一方、エモーショナルな旋律で彼の家族への思いと喪失を描き、ランボーの内面描写にも重点を置いたものとなっている。タイラーとスタローンの揺るがぬ信頼関係によって生み出された、シリーズのファンの胸を熱くする音楽と言えるだろう。

『ランボー ラスト・ブラッド』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ブライアン・タイラー
発売・販売元:Rambling RECORDS Inc.
品番:RBCP-3368

文:森本康治

『ランボー 最後の戦場』はCS映画専門チャンネル ムービープラス2020年6~7月放送

『ランボー ラスト・ブラッド』は2020年6月26日(金)より公開

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『ランボー ラスト・ブラッド』

いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれる元グリーンベレー、ジョン・ランボー。孤独な戦いを経て、祖国アメリカへと戻ったランボーは、故郷アリゾナの牧場で古い友人のマリアとその孫娘ガブリエラと共に、“家族”として穏やかな生活を送っていた。しかしガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致され、事態は急転する。愛する“娘”を救出するため、ランボーは元グリーンベレーのスキルを総動員し、想像を絶する戦闘準備を始めるのだった――。

制作年: 2019
監督:
出演: