ニコ活、してますか!? 親子共演も胸アツな“めっけもん”ニコケイ映画!!
みんな大好きニコラス・ケイジ活動、いわゆる“ニコ活”の課題作品『コード211』(2018年)をご紹介! 本作は久しぶりの“ニコラス・刑事”作品(正確には警官だが)であり、かつてゴス・キッズ(を通り越してブラックメタラー)みたいな風貌だった愛息、ウェストン・ケイジも出演しているという、いろんな意味で絶対に見逃せないシロモノだ。
まず仰々しい音楽をバックに、コンピューター上で何やら数字がチャカチャカ動くオープニングのシークエンスから、90年代のサスペンス映画っぽくて妙に安心する本作。
その数十秒後にはドカン! とド派手な爆発シーン&銃撃戦も始まり、いわゆるツカミはOKという流れ。冒頭から悲惨な死に様を見せつける展開に期待が高まるが、どうやら大金が絡むゴタゴタが本作の軸になるようだ。
……とかなんとか予想したくなるが、実は本作は“全米史上最悪の銀行強盗事件”と言われているノースハリウッド銀行強盗事件を描いた、まさかの実話ベース映画なのである!
枯れた老警官が意地を見せる! ニコケイがブチキレる作品にハズレなし!!
舞台はアフガニスタンから米マサチューセッツ州に移り、ニコケイ演じる引退を間近に控えた初老の警察官、マイクが登場する。引退間近だけあって枯れっ枯れのマイクだが、妻を病で亡くし一人娘とも疎遠になっている切ない男。
ある日マイクは、いじめっ子に反撃したところを教師に見られてしまった高校生のケニーを、更生を目的とした支援活動の一環でパトカーに乗車させることに。ちなみに息子ケイジの役どころは、銀行強盗グループのメンバー! ……そう、お察しの通り高校生を乗車させている最悪のタイミングで、まさにいま強盗したてホヤホヤの現場に遭遇してしまうのだ。
マイクは進行中の強盗事件を表すコード「#211」を発動し応援を呼ぶが、なにしろ後部座席には高校生がちょこんの状況。はたして彼を守りつつ、人質を無事に救い出すことはできるのか!?
決して“ニコケイありき”じゃない! 監督は元スノーボーダーという異色キャリア
ニコケイ以外に有名どころは出演していない低予算作品だが期待以上のテンポの良さで、まったく飽きさせないどころか最初から最後まで緊張感をしっかりキープ。ケニーは超フツーの心やさしい高校生だし、マイクの相棒であり娘婿のスティーブは撃たれて死にそうだし、さらにケニーの母は看護師として負傷者の治療にあたるなど、メイン登場人物にどしどし感情移入させてくるのだ。
しかも、犯人たちは特殊部隊あがりということでスナイパー(演:息子ケイジ)まで揃えていてかなり手強く、犯行現場はまさに修羅場。ごく普通の警官と善良な一般市民が巻き込まれてしまい……という展開自体はベタだが、地味ながらも実話ベースならではの切迫感があって非常にスリリング。また、事件と同時進行でインターポールの捜査官が別ルートで動いていて、(結果はどうあれ)本筋にどう絡んでくるのか? というところでも興味を惹起してくるという、なかなか見事な脚本なのである。なにより“ニコケイありき”ではないところが好印象だし、ニコ活の一環としてはもちろん、ファンでなくともぜひ鑑賞していただきたい快作だ。
なお監督のヨーク・アレック・シャクルトンについて調べてみると、若い頃はプロのスノーボーダーとしてバリバリ活躍していたという変わりダネ。映像の世界に転向後は、なんと福島第一原発事故を追ったドキュメンタリー『The Fukushima 50(原題)』(2012年:あの邦画とは関係なし)を撮っていたりする、なにかと不思議なキャリアの人であった。ちなみにニコケイは本作の撮影現場(ブルガリアのスタジオ!)で足を骨折したらしい……。
『コード211』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年5月放送
https://www.youtube.com/watch?v=rD3LZ5w2oNg
『コード211』
引退間近の警官マイクは、いじめられっ子の高校生ケニーを同乗させてパトロールしている最中に銀行強盗に遭遇。進行中の強盗を表すコード「#211」を発動したものの、完全武装した強盗団によって現場に取り残されてしまう。マイクはケニーを守りながら人質の救出を目指すが……。
制作年: | 2018 |
---|---|
監督: | |
出演: |
CS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年5月放送