もしウィル・ポールターという名前を聞いたことのない映画ファンがいたら、急いで出演作品をチェックしてほしい。ポールターは、子役時代のイタズラ小僧っぽいルックスをまんまキープしながら、ここ数年でメキメキ実力派俳優へと成長している若手のホープ(27歳:2020年3月時点)。2008年にデビューしたポールターは、そのキャリアの初期からコメディー~ファンタジーまで多様な作品に出演してきた。
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レオナルド・ディカプリオに初のアカデミー主演男優賞をもたらしたアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年)や、実際に起った白人警官による黒人青年たちの拷問・殺傷事件を描いた『デトロイト』(2017年)、そして世界中で社会現象レベルの大ヒットを飛ばしているお祭りスリラー『ミッドサマー』(2019年)などなど、錚々たる出演作を振り返れば「ああ、あの愛嬌のある顔の兄ちゃんか!」と思い出す人もいるのではないだろうか。
ということで、そんな活躍目覚ましいポールターの代表作から厳選した3作品を紹介したい。
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顔、変わってねー! DIYな悪ガキを演じたデビュー作『リトル・ランボーズ』
まずはポールターのデビュー作にして英仏合作の傑作ハートフル・コメディ『リトル・ランボーズ』(2007年)から。物語の舞台は80年代初頭のイギリス。家では厳しいしきたりに縛られ学校ではイジメられている少年ウィルが札付きの悪ガキと出会い、一緒にDIYで映画『ランボー』(1982年)をリメイクすることになる。性格も家庭環境も正反対の二人だったが、撮影を通して次第に友情を育んでいき……というお話だ。
イタズラや盗みは朝メシ前の悪ガキを演じたポールターは、撮影当時13~14歳。主演の子役と比べてもやけに喋り方が大人びていて、荒んだ家庭環境で育ったリー少年のやさぐれ感を見事に表現している。リーは映画館でタバコをふかしながら『ランボー』を隠し撮りしているようなメチャクチャな子どもなのだが、そのふてぶてしさの合間に見せるあどけない表情が胸を締め付ける。単なる子どもの友情物語を超えた、号泣しながらも笑える感動的なクライマックスは必見だ。
超ド級の下ネタと童貞フェイスで映画史に名を刻んだ『なんちゃって家族』
『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』(2010年)完成後、身体的にグングン成長したポールターは、思春期真っ只中のタイミングにバッチリな映画『なんちゃって家族』(2013年)に出演。
本作はジェイソン・サダイキス演じるチンケな売人が、ミスの穴埋めのために行きずりの男女を巻き込んで繰り広げる、ムチャクチャな疑似家族のハチャメチャな珍道中を描くコメディ。そして、父:麻薬密売人、母:ストリッパー、娘:ホームレスというインパクト大な家族に対し、ポールター演じる息子ケニーの肩書は“ただの童貞”である。哀しい!
家族旅行のフリをしてメキシコから大量の大麻を密輸するというムチャなミッションの道中、ケニーが○○を毒グモに噛まれてパニック&卒倒するシーンの面白さは、間違いなくコメディ映画の殿堂入りクラス。また、先述の通り『ミッドサマー』(2019年)にも出演しているポールターは、スチャダラANI氏も「何に出てても“おっ! あの童貞の少年がんばっとるな”という風に思ってしまいます」と評しているように、後のイメージに若干影響を与えるほどの素晴らしい童貞ぶりを披露している。
最後にはそんなケニーにもカッコいい見せ場が用意されていて、落ちこぼれ男女のダサダサ青春映画としても楽しめる『なんちゃって家族』。ポールターが熱唱するTLC「ウォーターフォールズ」や、共演のジェニファー・アニストンの見事なストリップ、黙っていても面白いニック・オファーマンの顔などなど、爆笑シーンの連続なので今すぐ鑑賞してほしい。
いじめっ子役は十八番! 青春群像サバイバル・アクション『メイズ・ランナー』
『トワイライト』シリーズ(2008~2012年)や『ハンガー・ゲーム』シリーズ(2012~2015年)などと同じくヤングアダルト小説原作のティーン映画が『メイズ・ランナー』シリーズ(2014~2018年)。
同シリーズは、謎の巨大迷宮に送り込まれた記憶喪失の少年少女たちが、昆虫型モンスターや殺人ギミック満載の迷路<メイズ>攻略を目指して戦う、壮大なサバイバル・アクションだ。世界中で大ヒットを飛ばした同シリーズの1作目でポールターが演じるのは、メイズ攻略の鍵となる主人公をイジメる保守派のリーダー、ギャリー。厳しいルールを設け仲間の行動を制限することで集団を支配する、控えめに言っても超イヤな奴である。
そんなギャリーは1作目で絶命したように見えたが、シリーズ完結編(3作目)でまさかの復活。かつての自分を恥じ、主人公たちをサポートし大活躍する。個性的なルックスを活かしてクソ野郎を演じることも少なくないポールターだが、実はプライベートではいじめ防止キャンペーンに参加するなど、慈善活動に熱心なことでも知られている。
彼の活動を知ってから同シリーズを観ると、いじめっ子が改心して復活するという展開はいっそう胸アツだ。
ちなみにポールター、過去に『トイ・ストーリー』(1995年)に登場するいじめっ子、シドの仮装も披露している。これは「いじめ反対を訴える団体のアンバサダーとしてみんなの関心をひくため」とのことだが、あまりにも高すぎるクオリティも話題になった1枚である。
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ウィル・ポールターが出演する『デトロイト』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年3~4月放送
『デトロイト』
1967年夏、デトロイトで暴動が発生。その2日目の夜、ミシガン州兵隊の集結地付近で銃声の通報があり、捜索押収のため大勢の警官と州兵たちが、若い黒人客で賑わうアルジェ・モーテルの別館に乗り込んできた。そこで何人かの警官が、宿泊客に暴力的な強制尋問を始め……。
制作年: | 2017 |
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監督: | |
出演: |
CS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年3~4月放送