90年代の名作ファンタジーがロック様主演でパワフルに生まれ変わった!
肩が凝らないエンターテインメントを提供してくれる俳優/プロデューサーとして、ロック様ことドウェイン・ジョンソンは現代最高の映画人の1人ではないか。
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『ワイルド・スピード』シリーズ(※2011年の『ワイルド・スピード MEGA MAX』から参加)に『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018年)、『スカイスクレイパー』(2018年)も期待以上の面白さ。声優として参加した『モアナと伝説の海』(2016年)は傑作だった。
2019年末に続編『ジュマンジ/ネクスト・レベル』が公開された『ジュマンジ』シリーズも、彼の代表作の一つと言っていい。ロック様による続編の1作目(※ベースは1995年製作の『ジュマンジ』)『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)で演じるのは、ゲームキャラクターのスモルダー・ブレイブストーン博士である。
※1作目は1995年製作の『ジュマンジ』
見た目と身体能力はロック様! しかし中身は気弱なオタク!?
本作のドラマ的な主人公は、ゲーム好きなオタク高校生。彼とその同級生(個性も立場もすべて違う)が謎のビデオゲーム「ジュマンジ」の中に閉じ込められてしまう。現実世界に戻るためには、ジャングルでの冒険を生き延びてゲームをクリアするしかない。
このオタク高校生スペンサーのアバター(ゲーム内キャラ)がブレイブストーン。屈強な肉体と勇気の持ち主であり、つまりはロック様そのものなわけだが、しかしその“中の人”は優しいけれど気の弱いオタクなのである。そのギャップが楽しい。
何しろ見た目がロック様であり、抜群の運動能力を誇り、キャラクターとしてのスキルの一つに「キメ顔」があるくらいなのに、そこかしこで「弱気なオタク高校生」が顔を出す。ロック様はその両面を見事に演じてみせた。なお、スマホ中毒のギャルが選んでしまったアバターはジャック・ブラック。こちらのコメディ演技もさすがで、「ファミリー映画」の中にしっかりとしたプロの技を感じることができる。
ロック様をナメたらあかん! ファミリー向けなんて言っていられない好シリーズ
ゲームの中で闘いながら、高校生4人組は今までと違う自分になり、そして、そのことで自分が本来持っていた長所に気づくことにもなる。オタクもギャルも体育会系も、それぞれが自分と違う世界にいると思っていた人間の魅力を知ることになる。現実離れしたゲームの世界だからこそ、それが可能になった。
定番といえば定番、とはいえきっちりツボを押さえた青春映画としても『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は楽しい。続編『~ネクスト・レベル』で見られる彼らの“その後”も興味深いので、ぜひ併せてどうぞ。
笑わせて、ハラハラさせて、グッとくる場面もあり、見終わって胃にもたれない。いい大人な我々としても「ま、ファミリー向けでしょ」と言ってられない出来栄えなのだ、このシリーズは。
文:橋本宗洋
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年3月放送