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EXOのD.O.が見事なタップダンスを披露!『サニー 永遠の仲間たち』の監督が贈る戦争映画『スウィング・キッズ』

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ライター:#松㟢翔平
EXOのD.O.が見事なタップダンスを披露!『サニー 永遠の仲間たち』の監督が贈る戦争映画『スウィング・キッズ』
『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

EXOのD.O.がタップダンスで魅せる戦時下の青春物語!

カン・ヒョンチョル監督によるダンス映画『スウィング・キッズ』(2018年)が2020年2月21日(金)より公開される。カン監督は、日本でもリメイクされた大ヒット作『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)で知られる韓国のヒットメーカーだ。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

『スウィング・キッズ』は、朝鮮戦争時のアメリカ軍の捕虜キャンプで、元ブロードウェイ・ダンサーのジャクソン士官(ジャレッド・グライムズ)が、捕虜と共にタップダンス・チームを結成するという“任務”を預かるところから始まる。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

チームのメンバーは4人。兄が北朝鮮軍の英雄で、捕虜キャンプのなかでも“反抗分子”としての態度をやめないロ・ギス(D.O.)。家族を養う金を稼ぐため勝手に収容所に入り込み、ジャクソンの通訳士を名乗り出たヤン・パンネ(パク・ヘス)、生き別れた妻を見つけるために有名人になりたいカン・ビョンサム(オ・ジョンセ)、天才的なダンサーだが狭心症と栄養失調のせいで長く踊れないおデブの人民解放軍兵士シャオパン(キム・ミノ)。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

そんな様々な事情を抱えたチームがクリスマスパーティーに向けてダンスの練習を始めるのだが、捕虜キャンプ内で渦巻くイデオロギー闘争や政略、基地外で繰り広げられている戦争の影は、彼らのダンスにも忍び寄り……というお話だ。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

イデオロギーをステップが支配し、ダンスはイデオロギーを凌駕する

“ダンス映画”って難しい。なぜなら、ダンスはライブで観る方が素晴らしいから。それを映像に収めるというのは、サッカーを映画にするのと同じくらい難しいだろう。サッカーもダンスも、どこか一か所にフォーカスを当ててしまうと、その途端に本来の形を失ってしまう。もちろん実際にダンスやサッカーを観るときだって、観客は各々の判断で視点を動かしていくわけだけど、その視線の動きはカメラより滑らかで、より能動的だ。

だから僕は、映画におけるダンスは何らかの装置とか象徴にしかならないと思っている。そして、それはそれで良いのではとも思っている。本当のダンスを観たければライブ会場に行けばいい。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

冒頭で書いた通り、映画『スウィング・キッズ』のダンスはジャクソン士官の“任務”として始まる。捕虜キャンプの対外的な評価を高めると共に、“アカの兵士”たちに資本主義の素晴らしさをプレゼンするためのプロバガンダとして、ダンスチームが結成されるのである。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

しかし、イデオロギーによって踊らされていた身体を次第にステップが支配し始め、ダンスはイデオロギーを凌駕する。そのステップは、戦争のために痩せこけた5人の身体をイデオロギーから、立場や状況から解放していく。そして自由になった身体が立つのは戦地ではなく、美しいダンス・ステージに変わっていく(ような気がする)。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

最後のクリスマスパーティーのダンス・ステージで、ジャクソンがコールするダンスの題名は「Fuck Ideology!!」。自分たちを縛り付ける資本主義にも共産主義にも「NO」を突きつけるのだ。『スウィング・キッズ』では徹底して、対イデオロギーとしてのダンスが描かれる。けれども僕は、ダンス/ステップがひとつのイデオロギーになっていく過程を描いた映画なのではないか、とも思った。

『スウィング・キッズ』© 2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS.

文:松㟢翔平

『スウィング・キッズ』は2020年2月21日(金)よりロードショー

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『スウィング・キッズ』

1951年。朝鮮戦争当時、最大規模の巨済(コジェ)捕虜収容所。新しく赴任した所長は収容所の対外的なイメージメイキングのために、戦争捕虜たちによるダンスチーム結成プロジェクトを計画する。収容所で一番のトラブルメーカー、ロ・ギス、4か国語も話せる無認可の通訳士ヤン・パンネ、生き別れた妻を捜すために有名になることを望み愛に生きる男、カン・ビョンサム、見た目からは想像できないダンスの実力を持った栄養失調の踊り手シャオパン、そして彼らのリーダーであり元ブロードウェイのタップダンサー、ジャクソンまで、紆余曲折の末、一堂に会した彼らの名前はスウィング・キッズ! それぞれ異なる事情を抱えてダンスを踊ることになり、デビュー公演が目前に迫っていた。国籍、言葉、イデオロギー、ダンスの実力、全てがちぐはぐな寄せ集めダンスチームは前途多難でしかないが……。

制作年: 2018
監督:
出演: