世界中で長年愛され続けているミュージカル『キャッツ』が、ついに実写映画化!映画版『キャッツ』でジェニファー・ハドソン演じるグリザベラの日本語吹替を務めたのは音楽業界最注目の高橋あず美さん。高橋さんは音楽専門学校卒業後すぐの2008年、DREAMS COME TRUE、YUKI、Charaなどの数々のアーティストのバックコーラスに抜擢された実力派シンガー。『キャッツ』日本語吹き替え版の音楽プロデューサーを務める蔦谷好位置さんが、ニューヨークの地下鉄でビヨンセの「Listen」を熱唱する動画をTwitterでみて、 高橋さんをグリザベラ役に推薦したという。
そして2019年にはスティーヴィー・ワンダーやジャクソン5など、世界的スターを輩出してきたN.Y.アポロ・シアターの名物企画「アマチュアナイト(※観客の拍手で順位が決まるプロへの登竜門イベント。毎週開催し、勝ち抜くことで年間チャンピオンが決まる)」でなんと日本人シンガーとして初優勝し、年間チャンピオンになりました。力強い歌声が認められ、『キャッツ』の重要な役どころに大抜擢された高橋さんが吹替初挑戦の手ごたえや名曲「メモリー」に込めた想いを語ってくれた。
「ジェニファー・ハドソンさんを研究してきたことが発揮できる最高の機会」
―『キャッツ』のオファーを受けたときどう思いましたか?
予想していない出来事だったので驚きました。ミュージカルの「キャッツ」が映画化されることはニュースで知っていて、好きな作品だったので観に行こうと思っていました(笑)。私自身が、ミュージカルやミュージカル映画が大好きなので、それに携われることが嬉しいし、今ある自分の力を全て注ごうと思った。
―グリザベラ役を演じたジェニファー・ハドソンが歌う「メモリー」を聴いて、この曲にどうアプローチしようと思いましたか?
まず、ジェニファー・ハドソンさんは15年来の大ファンなんです。18歳の時に『ドリームガールズ』(2006年)で彼女の存在を知って、ガツンと頭を打たれて、この人みたいにソウルフルに歌えるようになりたいと思いました。それから、ずっと彼女の歌を研究しています。今回、彼女が演じたグリザベラ役の吹き替えをしたので、これまで研究してきたことが発揮できる最高の機会でした。何度も彼女の「メモリー」を聴いて、感情的で壮大な曲の中の、どこが優しくて切なくて、どこから力強く歌っているのか、どうすれば感動を届けられるのかノートに書き留めていきました。その歌を英語ではなく日本語で表現するので、違和感のない綺麗な日本語で、なおかつ彼女のようにソウルフルで、感情的に歌えるよう研究しました。
https://www.youtube.com/watch?v=soLYreeI6aQ
―日本語吹替をしたグリザベラの魅力を教えて下さい。
グリザベラは、『キャッツ』に登場する猫たちの中でも、特に苦しんでいて、とても孤独を感じています。仲間に認められたいけど、追いやられて、でも常に希望を求めています。グリザベラの生き方にはとても共感できて、私自分の人生経験も踏まえて、気持ちを込めて歌いました。
「字幕版と吹替版を聴き比べしてもらえると面白い」
―映画版『キャッツ』を観た感想は?
とても感動しました。映画版は自分が猫の目線で『キャッツ』の世界を見ることができて、猫の表情やダンスを間近に見ることができます。舞台にはない、新しい視点を提供してくれています。映画版はダンスも歌も現代風にアレンジして、新しいことに挑戦している作品だと思います。
吹替版は、映画館で自分の歌声が聴こえてくるのがとても不思議でした(笑)。はじめて観たときは「次、私歌うシーンだ。大丈夫かな…」と不安で、とてもドキドキしていました。でも、何回も聴くほど、自分の全力を出せたと思えるようになってきました。家族や友達はとても喜んでくれていますし、「鳥肌が立った」「涙した」「感動した」と嬉しいメッセージを貰っています。
―映画版『キャッツ』の「メモリー」以外のお気に入りの曲を教えてください。
映画のために作られたオリジナル曲の「ビューティフル・ゴースト」ですね。この曲が「メモリー」の存在を引き立ててくれるし、グリザベラが救われますね。「ビューティフル・ゴースト」と「メモリー」の関係は素晴らしいですし、聴く人の心に届くメロディです。
―好きなミュージカル映画、または映画音楽が好きな曲があれば教えて下さい。
歌を好きになるキッカケが子供のころに観た『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)、『天使にラブソングを』(1992年)や『ムーランルージュ』(2001年)でした。ミュージカルではないですが、セリーヌ・ディオンの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」が印象的に使われた『タイタニック』(1997年)もそうですし、歌が物語のキーになる作品が好きです。
私の人生に影響を与えた曲を挙げるとしたら『ドリームガールズ』でジェニファー・ハドソンさんが歌った「And I Am Telling You I’m Not Going」と『天使にラブソングを2』(1993年)のゴスペルソングでローリン・ヒルが歌っている「Joyful, Joyful」と「His Eye Is On The Sparrow」です。
―最後に『キャッツ』をこれから観に行こうと思っている皆さんにメッセージをお願いします。
『キャッツ』の美しい映像を大きなスクリーンと大音量で観ると、素敵な歌やダンスを自分の体でダイレクトに感じられます。鳥肌が立つ瞬間や心がワクワクする瞬間が人それぞれ訪れると思うので、映画館でその瞬間を楽しんでもらえるといいですね。吹替は字幕がない分、画面に集中できて、何度も観るほどに新しい発見がありますし、物語を理解し易いと思います。字幕版は、もともとのキャストの素晴らしい歌を堪能して欲しいですね。ぜひ、聴き比べしてもらえると面白いと思います。
『キャッツ』
満月が輝く夜。若く臆病な白猫ヴィクトリアが迷い込んだのは、ロンドンの片隅のゴミ捨て場。そこで出会ったのは個性豊かな“ジェリクルキャッツ”たち。
ぐうたらな猫、ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫………様々な出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。
一生に一度、一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く―。
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2020年1月24日(金)より全国ロードショー