高頻度で世界が滅びかけるお馴染みアサイラム製ディザスター・パニック
かつて私は、『カリフォルニア・ディストラクション』(2015年)及び、『ジオディザスター』(2017年)という、アサイラム製ディザスター・パニック映画を2本、この場をお借りして紹介させて頂いた。私の記憶が正しければ、2作品ともに「とりあえずテーマは家族愛」だとか、「ロサンゼルスがひどい目にあう」という点についての話をした覚えがある。
なぜ、のっけからそんな話を始めたのかというと、今回紹介する作品が、「とりあえずテーマが“家族愛”で、また“ロサンゼルスがひどい目にあう”、アサイラム製ディザスター・パニック映画」の3本目になるからだ。
その名は『エンド・オブ・アース 地球最期の日』(2018年)。原題は『END OF THE WORLD』と、いつにも増して緊迫した終末感の漂うタイトルが特徴だが、アサイラム世界の地球はそこそこのペースでよく滅びかけているので、アサイラム映画好きの皆さんならば今さら動じることはないだろう。なお、本作でヒロインを務めるジェイ・キャッスルズは、上述の『カリフォルニア・ディストラクション』にもメインキャストとして出演している。ただでさえ内容が似通っているのに、これが輪をかけて混乱を招く元となっているので、鑑賞の際は気をつけよう。
というわけで今回もさっそく、『エンド・オブ・アース 地球最期の日』について紹介していこう。
未曾有の天変地異の原因は「太陽の異変」というざっくり設定!
太陽の異常によって、地球に未曽有の天変地異が発生。地震、津波、マグマ、落雷と、様々な災害が同時多発的に人々を襲い始める。この事態を予測していた女性科学者のメレディスと息子のカービーは、離れ離れになってしまった夫や娘の行方を追いつつ、この災害にも耐えるという天然の避難所・“洞窟(CAVE)”を目指す。果たして一家は、安全地帯までたどり着くことができるのだろうか……? というのが本作の概要である。
先に述べた『ジオディザスター』も、地震・津波・溶岩に代表されるアサイラム式お手軽災害セット全部乗せのパニック映画であった。その『ジオディザスター』における災害の発生原因は「暗黒物質(ダークマター)の影響」だったが、それをそのまま「太陽の影響」にすげ変えて作り直したような内容のパニック映画が本作、という認識で大体差し支えない。
いつものことだが、要はとにかくディザスター映画のテンプレートに沿った内容で、これといったオリジナリティーに乏しすぎるのだ。様々な種類の災害が迫る……という題材さえ『ジオディザスター』でやったばかりということもあって、余計に「またいつもと同じようなやつ」という印象が強い。
ただし、一応『カリフォルニア・ディストラクション』や『ジオディザスター』と違って本作では、なんと「主人公たち一家の家族仲が、最初から良い」という差異はある。そのため親子関係に関するストレスフルな口論は少なく、登場人物のいがみ合いで尺を稼ごうとする類いのB級映画よりは断然見やすい、という点は個人的に評価したい。
インパクトのあるツカミや巧みな伏線回収など見どころは意外と多い!
ストーリー面についてはかなり力技というか、すさまじく場当たり的かつご都合主義的に話を進めている箇所が多いが、それはそれとしてヒロインの息子がヘリを動かす終盤のシーンの伏線は、あからさまながら序盤に張っていたりと、なんだかんだ作品として最低限の体裁は整っているのも特徴だ。
少なくとも、今回名を挙げた3作品の中では、本作がもっとも楽しめるのではないかと私は考えている。オープニングでの「頭の悪そうな若者たちが、突如発生した地震によってスポーンと地面の底まで落ちていく」シーンはツカミとしてはなかなかのインパクトがあるし、CGの質にさえ目をつぶれば案外マトモといえばマトモだ。興味があるなら、試しに一度観てみるのもいいだろう。
文:知的風ハット
『エンド・オブ・アース 地球最期の日』はCS専門映画チャンネル ムービプラスで2020年1月放送
『エンド・オブ・アース 地球最期の日』
「太陽活動の異常が、未曽有の災害を引き起こす」。女性科学者メレディスが警告していた危機が現実になろうとしていた。猛烈な太陽嵐のエネルギー波が地球の自然バランスを崩壊させ、ありとあらゆる災害が同時多発。マグマに呑まれて壊滅状態となった街で、メレディスは家族を捜すが……。
制作年: | 2018 |
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CS専門映画チャンネル ムービプラスで2020年1月放送