世界中で長年愛され続けているミュージカル『キャッツ』が、ついに実写映画化! テイラー・スウィフトやジェームズ・コーデン、イドリス・エルバなど豪華キャストでも話題の映画版『キャッツ』で主人公・ヴィクトリアの日本語吹替を務めた女優・葵わかなさんが、吹替初挑戦の手ごたえや猫好きならではの映画の見どころを語ってくれた。
「吹替はお芝居の“濃さ”を深めていく作業が必要」
―『キャッツ』日本語吹替版のオーディションに臨んだ際の心境は?
最近はミュージカル映画が人気で、とても注目されているので、ぜひ自分も参加してみたいと思いました。チャンスが回ってきただけでも嬉しかったです。オーディション段階では台本もないですし、舞台版の「キャッツ」では私が演じることになるヴィクトリアは、あまりスポットライトを浴びているわけではないので、どんなキャラクターで、どんなストーリーが繰り広げられていくかわかりませんでした。唯一、知っていたのが挿入歌となるヴィクトリアが歌う「Beautiful Ghosts」という曲でした。あまり情報がないぶん気負うことなく、この曲を本番で歌ってみたいという想いでオーディションに臨みました。
―そして実際に『キャッツ』で吹替に挑戦されましたが、いかがでしたか?
いつものお芝居とはまったく違いました。とても難しかったです。ヴィクトリアというキャラクターを演じるのではなく、ヴィクトリアを演じているフランチェスカ・ヘイワードさんの気持ちを考えながら、お芝居をしないといけないんです。ヘイワードさんに直接お会いしてお話を聞くことができないから、表情や声から、どういう感情なのかを考えて吹替えることがとても大変でした。吹替は、お芝居の“濃さ”を深めていく作業が必要で、呼吸の間合いや語尾の切り方一つ一つを、いつも以上に細かい部分まで考えて演じました。吹替をやりながら、細かい部分を変えていくことで印象が変わっていくことを学びました。
―今回は固定マイクではなく、ヘッドマイクを付けて動きながら吹替収録をされたそうですね。
そうなんです。どこを向いてもいいし、走ってもいいし、動きが制限されないので実際にお芝居しているのと変わらない形で演じることができました。例えば、通常の収録ではジャンプするシーンを演じるのは難しいと思いますが、猫がベッドにダイブしながら歌うシーンでは、声の弾み具合、息の出具合を再現するために、実際にジャンプしながら演じることができました。
「映画版では、猫らしい細かな仕草をより間近に見ることができます」
―ヴィクトリアをどう演じてみようと思いましたか?
若くて、まだ何も知らない真っ白な猫なので、純粋さを失わないように演じたいと思いました。『キャッツ』に登場する猫たちは、個性豊かで突飛な濃いキャラクターが多いのですが、ヴィクトリアはそんな世界に観客の皆さんを誘えるフラットで純粋な存在です。
―ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードさんの演技はいかがでしたか?
普段はバレリーナとして踊られている方なので、ダンスも凄いですが、ものすごく声が綺麗です。「Beautiful Ghost」は真っ白な猫にぴったりな、透き通ったピュアさが混じった声や歌い方が素敵でした。ヘイワードさんが持っていらっしゃる雰囲気を損なわずに、伝えられたらいいなと思って演じました。
―そのヴィクトリアが歌う「Beautiful Ghost」はどんな歌でしょうか?
今回の物語を通じて、ヴィクトリアが成長していく姿や、決意をして、勇気を出すことを表現した曲になっています。寂しいメロディラインが臆病なヴィクトリアを表していますし、言葉一つ一つにか弱さも表れていると思います。
―ヴィクトリア以外に気になったキャラクターはいますか?
ジェームズ・コーデンさん演じるバストファージョーンズです。いつもタキシードを着て美味しいものが大好きな猫で、「遊んで暮らそう! ハハハ!!」という、とても陽気でユニークなキャラクターが気に入りました。それと、「メモリー」を歌うグリザベラ役のジェニファー・ハドソンさんのパフォーマンスは感動しました。吹替でも観て欲しいのですが、字幕版でもご本人の歌声を聴いてもらいたいです。
―ミュージカル版と映画版の『キャッツ』には、どんな違いがあると思いますか?
全体の雰囲気は似ていますが、ミュージカル版はステージで観るものなので、エンターテインメント性が高くて見応えがあります。映画版はカメラで近寄っていけるぶん、それぞれの猫の表情、喜怒哀楽や、耳が動くなどネコらしい表現が細かく見えます。
「前世で猫と強い関わりがあったのかもしれません(笑)」
―猫の気持ちを想像しながら演じることはありましたか?
私は猫が好きで、「捨て猫の気持ちはどうなんだろう?」とか、これまで猫について考えてきたことを思い浮かべながら演じました。ずっと猫について考えてきたことが無駄にならなくて良かったです(笑)。私自身、人生で猫を演じるのは2回目で、前回が『陽だまりの彼女』(2013年)でした。人生で二度も猫作品に関わるなんて、猫とは切っても切れない縁があるんだと思いました。
私自身、実家で猫を飼っていて、これからも猫と一生暮らしていきたいです。実は『陽だまりの彼女』の撮影をしていたときに一代目の猫が来て、もう亡くなってしまいましたが三毛猫でした。今年に入って、グレーの猫が来ました。前世で猫と強い関わりがあったのかもしれません(笑)。
https://www.instagram.com/p/B64hhgCgNdk/
―猫好きの葵さんから見て、映画版『キャッツ』では実際の猫の仕草などが上手く描かれていましたか?
そうですね、耳がすごく動いたりするところが猫らしかったです。とても可愛かったです。ジェームズ・コーデンさんが耳を触る仕草をするんですが、「猫ってこういうことするよね!」って。役者さんたちも、かなり猫について研究して演じたんじゃないかと思いました。とても面白かったです。
―今年は音楽にまつわるお仕事が増えていますね。
日本語吹替を務める『キャッツ』、ミュージカルの『アナスタシア』、『ロミオ&ジュリエット』と、ありがたいことにこの1年で音楽にまつわる仕事が繋がっていって、とても嬉しかったです。それに『ロミオ&ジュリエット』を乗り越えたと思ったら、次の壁が現れて、自分を奮い立たせる出来事が続いています。昨年、初めてミュージカルに出演して本当に良かったなと思います。
―これから映画版『キャッツ』をご覧になる方々にメッセージをお願いします。
長年愛されてきた名作ミュージカルです。映像技術の発展や色んなめぐり合わせによって、ついに実写映画になりました。ミュージカル版とも異なる素敵なお話になっているので、ミュージカルと同様に長年愛される作品になるといいなと思っています。
https://www.instagram.com/p/B7sJin2AgpS/
『キャッツ』は2020年1月24日(金)より全国ロードショー
『キャッツ』
満月が輝く夜。若く臆病な白猫ヴィクトリアが迷い込んだのは、ロンドンの片隅のゴミ捨て場。そこで出会ったのは個性豊かな“ジェリクルキャッツ”たち。
ぐうたらな猫、ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫………様々な出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。
一生に一度、一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く―。
制作年: | 2019 |
---|---|
監督: | |
出演: |
2020年1月24日(金)より全国ロードショー