2020年に90歳を迎えるクリント・イーストウッド監督が1996年に発生したアトランタ爆破事件を基に描く衝撃の実話サスベンス『リチャード・ジュエル』が2020年1月17日(金)より全国公開される。
1996年7月27日の夜、アトランタの公園では世界規模のイベントでフリーコンサートが行われ多くの人々で賑わっていた。そこで、警備員リチャード(ポール・ウォルター・ハウザー)は無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾を見つける。第一発見者として懸命に避難誘導した彼は翌朝には英雄として報道されるが、わずか3日後に「FBIが第一容疑者として捜査中」だと実名報道されてしまう。
孤立無援となったリチャードは、彼の無実を信じる無謀な弁護士ワトソン(サム・ロックウェル)と巨大権力への反撃を開始。だが、ふたりの前には、国家の威信をかけたFBIの強引な捜査が待ち受けていた。
リーク、ビデオのだまし録り、囮捜査、ボイスサンプル強要に盗聴! 手段を選ばないFBIの暴走が始まる
国際的なイベントで起こった事故は国家の名誉に関わる一大事、FBIにとって犯人逮捕は急務だ。しかし容疑者すら浮かびあがらないのが現実だった。
ジョン・ハム演じるFBI捜査官トム・ショウは、イーストウッド監督によると「複数の捜査官から作り上げた架空の人物」だ。
1997年に原作となる記事を書いたジャーナリストのマリー・ブレナーは「当時、法執行機関はプロファイリング論にこだわっていた。だから爆破事件後、大混乱していたであろうFBIでは、爆発物の発見者である“とても優しくてちょっとばかり変わっている男”を見て、ほら、孤独な爆弾犯のプロファイリングに合う! と考えた」と指摘する。
プロファイリング捜査に重点をおいていたFBIにとって、ガンマニアで警官に憧れる第一発見者のリチャードこそ、容疑者にうってつけの存在だったのだ。
リチャードを容疑者と断定したFBIは素早く動いた。地元メディアに対して捜査情報をリークし、翌日には各メディアが容疑者報道を開始する。報道が過熱するなか任意同行を求めたFBIは、権利の告知義務である<ミランダ警告(米法執行機関が被疑者の取り調べ前に、黙秘権があることや供述が不利な証拠になりうることなどを告知する義務)>を伝えず「記録映像を撮影する」と称して、あろうことか自白書にサインを強要する。弁護士ワトソンの機転でサインはせず即刻解放されことなきをえたが、それはリチャードにとって悪夢の始まりに過ぎなかった。
隠しマイク、ボイスサンプル強要、盗聴。24時間監視下におかれたリチャードの悪夢
ある日、警備員仲間がリチャードの家を訪れる。夕食後歓談するリチャードの声は、客のシャツの下にある隠しマイクによって録音されていた。つまり囮捜査だったのだ。
さらに容疑者の証拠品押収に押しかけたFBIは、日記や下着までをも持ち出して母ボビ(キャシー・ベイツ)の怒りを買う。
そして同席していたワトソンの隙を突き、唯一の証拠と照合すべくボイスサンプルを強要。リチャードに受話器を持たせ、犯行予告と同じ「公園に爆弾がある、爆発まで30分」と喋らせるなど、常軌を逸した捜査はワトソンを激怒させた。
さらに別の夜、ワトソンのアシスタントがリチャードの家を訪れる。黙ったままの彼女が差し出したメモには「事務所も、この家も盗聴されている」と記されていた……。
イーストウッド「この物語は、今、我々の周りで起きていることとすごく似ている」
本作の映画化を願い続けてきた原作者マリー・ブレナーは「あのときも今も、私たちの社会は変わらない。その人の外見とか、その一連の行動が客観的にどう見えるかに基づいて、その人物についてすぐに憶測を立ててしまう。人の心の中を見ようとせずにね。だからこそ、リチャードのために正義を求めることが私にとっての使命になった。才能ある監督に、彼らのストーリーを語ってもらいたかった」と語る。だからこそイーストウッドが映画化を決めたとき彼女の心は踊った。「とても驚いて、舞い上がったわ。想像を超越した夢のような話だった。爆破事件から23年後に、目立たない英雄の権利について深くこだわる伝説的な監督イーストウッドが、このストーリーを描くことに決めたなんて。ついに、こんなに長い時間がかかって、ボビとリチャードの母子に正義がもたらされる」と、誰よりも喜んだ。
事実が真実をねじ曲げてしまった実話を基にした本作の監督クリント・イーストウッドは「この物語は、今、我々の周りで起きていることとすごく似ている」と言い、SNSが定着した現代社会で、他人ごとではないテーマを観客に突きつける。
オスカー俳優サム・ロックウェル、母ボビを演じゴールデン・グローブ賞にノミネートされたキャシー・ベイツ、個性派俳優ポール・ウォルター・ハウザー、FBI捜査官に扮したジョン・ハム、オリヴィア・ワイルドら演技派俳優が生み出す、カタルシス溢れるドラマの傑作が誕生した。
『リチャード・ジュエル』は2020年1月17日(金)より全国ロードショー
『リチャード・ジュエル 』
1996年、警備員のリチャード・ジュエルは米アトランタのセンテニアル公園で不審なリュックを発見。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。
事件を未然に防ぎ一時は英雄視された彼だが、現地の新聞社とテレビ局がリチャードを容疑者であるかのように書き立て、実名報道したことで状況は一変。さらに、FBIの徹底的な捜査、メディアによる連日の過熱報道により、リチャードの人格は全国民の目前でおとしめられていった。そこへ異を唱えるため弁護士のワトソンが立ち上がる。無実を信じ続けるワトソンだが、そこへ立ちはだかるのは、FBIとマスコミ、そしておよそ3億人の人口をかかえるアメリカ全国民だった……。
制作年: | 2019 |
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監督: | |
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2020年1月17日(金)より全国ロードショー