オリジナル版から40年後を描いた『ハロウィン』(2018年)や、『ターミネーター2』(1991年)の正統な続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019年)しかり、昨今のハリウッドは前作からかなりの時間が経った続編ブーム。そんな中、10年前に公開され、いまだに「史上もっともゴキゲンなゾンビ映画」として君臨する『ゾンビランド』(2009年)の続編が、スタッフもキャストもほぼそのままで製作された!
お馴染みの世界観とメインキャスト! に、素敵な異物が混入!!
前作『ゾンビランド』は、ゾンビだらけとなった世界で偶然出会った人間たちが、ゾンビのいない安息の地を求めながら、やがて家族のように結束していく物語。神経質な性格ゆえに生き残る術を心得ている若者コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)と、対照的にガサツなワイルドおやじタラハシー(ウディ・ハレルソン)が出会うところからはじまり、のちにウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)の妙にしっかりした詐欺師姉妹も合流。終末世界なのに悲壮感はほぼなく、まるでオープンワールド系ゲームのように自由を満喫する彼らに嫉妬さえ覚えるほど、スカッと爽やか気持ちの良い映画だった。
そして本作『ゾンビランド:ダブルタップ』でも、4人の猛者はあいからわらずたくましく生き残っていて、無人のホワイトハウスを新たな根城にして終末世界を謳歌中。しかし、思春期真っ盛りとなったリトルロックが、思春期らしく彼氏を求めていなくなってしまったことから、生死を共にした擬似家族にちょっとした溝が生じてしまう……。
そんな本作なのだが、続編らしく新キャラが投入される。……心配ですよね! だって、この手のチームが描かれる映画では新キャラ投入は失敗するのが常。でもご安心を。本作の新キャラ、とくにマディソン(ゾーイ・ドゥイッチ)は新キャラとして完璧すぎた……。
本作の見どころはズバリ、ゾーイ・ドゥイッチ演じる新キャラ“マディソン”!!
マディソンは、ショッピングモールの冷蔵庫の中で生活することによって生き残ったギャル。ギャル中のギャル。全身ピンクのコーディネートで、ゾンビだらけの世界だろうがネイルも巻髪もバッチリ。落ち着きと貞操観念はゼロで、その言動はノーテンキを通り越してどうかしてるほどのパー。というか、ほぼほぼ林家パー。そんな超危険人物が擬似家族の間に土足で乱入することによって、信じられないほど厄介な出来事と笑いを巻き起こしてくれる!
ちなみに、マディソンを演じるゾーイ・ドゥイッチは1994年生まれで現在25歳。父親が『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(1986年)、『恋しくて』(1987年)などの青春映画や、『トゥルーブラッド』(2008年~)『アウトキャスト』(2016年~)などのTVシリーズで知られる監督のハワード・ドゥイッチ、母親は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985年~)でマーティの母親役を演じたリー・トンプソンというサラブレッド。
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(2016年)でのヒロインや、人生最後の日をループしまくる女子高生を演じた主演作『ビフォア・アイ・フォール』(2017年)などでその演技力は評価されていたものの、まさかここまでパッパラパーな役を演じきれる芸達者だったとは!
というわけで、すっかりマディソン=ゾーイ・ドゥイッチの魅力に参ってしまったのですが、4人の主人公たちの磨きのかかったアンサンブルは延々観ていられるほど楽しいし、細部にわたって前作ファンへのサービスはたっぷり。観た人は誰しもが、10年後の3作目もしくはマディソンのスピンオフ製作を願ってしまうような続編になっておりますので、自信をもってオススメできる1本になっております。
文:市川力夫
『ゾンビランド:ダブルタップ』は2019年11月22日(金)より全国ロードショー
『ゾンビランド:ダブルタップ』
2009年、地球は爆発的なウィルス感染により人類はゾンビと化し、数少ない生き残りの1人であるアメリカ・テキサス州の生存者、コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は「生き残るための32のルール」を作り、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)、リトルロック(アビゲイル・ブレスリン)ら仲間と共に、お互いを支え合ったり、裏切ってみたり、恋したり、親の気持ちになったりしながら、明るくゾンビ社会を生き抜いていた。
――あれから10年。2019年の地球はさらに激しくゾンビ化し、ヤツらはさらに進化を遂げていた! なんだかんだで“ファミリー”の4人は、さらにパワーアップさせた73!?のルールで、生き残りをかける!!
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2019年11月22日(金)より全国ロードショー