ユペール&モレッツW主演! パワフルなスリラー映画が誕生
2016年制作の映画『エル ELLE』でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、60代を迎えてもなお第一線で活躍し続けるイザベル・ユペールが、この秋サイコなフレンチ女を熱演! そんな、ユペールファンには堪らない胸熱ムービー『グレタ GRETA』が、2019年11月8日(金)より公開された。
共演には、子役時代から変わらぬキュートなルックスと確かな演技力で、ハリウッドの若手スターとして不動の地位を築いているクロエ・グレース・モレッツ。映画界が熱視線を注ぐ女優2人の初共演となった本作は、人間の心の中に潜む“狂気”をサスペンスフルに描く衝撃作だ。
大学卒業後、ニューヨークの高級レストランでウェイトレスとして働くフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は、地下鉄で誰かが置き忘れたバッグを見つけ思わず手にとる。中には身分証が入っており、持ち主はグレタ(イザベル・ユペール)という女性だと判明。親切心で彼女の家までバッグを届けたフランシスは、互いの身の上話をしていくうちに、パリで暮らす娘や亡き夫に想いを馳せる心優しいグレタに亡き母の姿を重ね、信頼し惹かれていく。
次第に親子のように親密な関係になる2人だったが、あるときフランシスは、グレタがわざとバッグを地下鉄に置き、届けに来る人を待っているサイコ女であることに気づく。恐ろしくなり関係を断とうとするフランシスだったが、グレタの行動はエスカレートし、やがてストーカー行為に発展。そして、予想もできない恐怖の事件が発生するのだった……。
新旧の名女優が魅せる白熱の演技バトル
本作では、最初は優しい年配女性に思えたグレタが、次第に不気味な裏の顔を見せ、フランシスを精神的に追い詰めていく手に汗握るストーリーが展開される。映像のコントラストを強めて陰鬱さを前面に出した視覚演出や、緊張感みなぎる音響効果、そして過激さを増していくユペールの怪演が、作品によりスリルを添えている。
グレタが劇中で不気味にピアノを弾く姿は、ユペールにカンヌ映画祭・女優賞をもたらした『ピアニスト』(2001年)で演じたサイコなピアノ教師役を彷彿させるし、やはり心に闇を抱えたエキセントリックな役こそ彼女の真骨頂だと実感するはず。モレッツは大先輩であるユペールの演技について、「彼女は女優として優雅だし、計算の上で適量の恐怖を表現している」と賞賛している。この言葉の通り、無表情を保ちながら怒りの感情を表現する演技や、狂ったように感情を爆発させる演技など、表情や声色に緩急をつけてグレタの狂気性を見事にモノにしてみせた卓越した演技力は圧巻だ。
そんなユペールの気迫に応えるかのように、堂々とした演技を披露するモレッツの役者魂もさすが。スリラー映画のヒロインにありがちな、無防備で隙だらけの女の子をリアリティたっぷりに熱演しており、クロエのあどけなさの残るピュアな雰囲気が、いかにもサイコパスの餌食になりそうな純真なキャラクター像のフランシスにマッチしている。「いやいや、何で今その行動とる!?」と突っ込みどころ満載な役柄なので、観客はだいぶイライラしながらフランシスの動向を見守ることになるかと思うが、ユペールの演技にも物怖じせず対峙する姿からは、幼い頃から幅広い作品で場数を踏んできたクロエの女優としての実力を感じ取ることができるだろう。
怖いけど笑える? B級テイストも散りばめた遊び心のある演出
素晴らしいキャスティングとスリリングな脚本で、次世代スリラー映画を代表する傑作となった本作だが、グロ描写が突如登場したり、グレタの謎のダンスシーン(しかもユペールのアドリブ)を差し込んできたりと、ちょいちょいB級映画チックな演出を取り入れているのも面白い。背筋が凍る怖いシーンと、「もうこれ笑わせにきてますよね?」的なシーンが共存しているので、ホラーやスリラー映画は苦手……という人でも楽しめるはずだ。
また、NYを舞台にしているだけに、グレタの上品なマダムファッションや、フランシスと彼女の友人エリカのスタイリッシュなコーディネートなど、次々に登場するおしゃれな衣装も楽しみにして頂きたい。
複雑で歪んだ愛情によってフランシスを恐怖に陥れるグレタの過激なキャラクターに加え、最後まで先の読めないストーリー展開で観客を震え上がらせる本作は、多くの人を魅了し、興奮の渦に巻き込んでくれることだろう。この極上の恐怖体験を、ぜひ劇場の大きなスクリーンで堪能して欲しい。
『グレタ GRETA』
ニューヨークの高級レストランでウェイトレスとして働くフランシスは、帰宅中の地下鉄の座席に誰かが置き忘れたバッグを見つける。持ち主は、都会の片隅にひっそりと孤独に暮らす未亡人グレタ。彼女の家までバッグを届けたフランシスは、彼女に亡き母への愛情を重ね、年の離れた友人として親密に付き合うようになる。しかしその絆は、やがてストーカーのようなつきまといへと発展し、フランシスは友人のエリカとともに恐ろしい出来事に巻き込まれていく!
制作年: | 2018 |
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監督: | |
出演: |