英雄と讃えられたシークレット・サービスが大統領暗殺の容疑者に!?
ジェラルド・バトラーがスゴ腕のシークレット・サービスを演じる人気シリーズ最新作『エンド・オブ・ステイツ』。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年)、『エンド・オブ・キングダム』(2016年)ときて、『エンド・オブ・ステイツ』だ。原題で言うと『OLYMPUS HAS FALLEN』『LONDON HAS FALLEN』からの『ANGEL HAS FALLEN』。つまり今回は、大統領の“守護天使”であった主人公マイク・バニングその人が墜ちる。それによって、邦題の如く“国そのもの”も危機を迎えることになる。
過去2作はテロの渦中で大統領を守る(救う)ストーリーだったが、今回は方向性を転換。“逃亡者”となったバニングの苦闘が描かれていく。しかもバニング、心身ともにボロボロで鎮痛薬が欠かせず、かといって現場からも離れたくないという、悩みの真っ只中にある。
が、しかし、である。ここが本シリーズの良いところなのだが、主人公を追い詰めながらも、追い詰めすぎて観客のストレスになることがない。もちろん映画にとって“緊張と緩和”は重要な要素だが、“緊張”が強すぎて流れを止めてしまう作品もある。マイク・バニングものに関して言うと、要するに流れや勢い重視なわけだ。
名優ニック・ノルティも参戦! 容赦なし、遠慮なし、だからこそ気持ちがいい
さらに映画の勢い/シリーズそのものを加速させてくれる存在もある。それが、隠遁生活を送っていた主人公の父親、演じるはニック・ノルティだ。
バトラーの父親と言われても納得のイカツさを誇りつつ、アカデミー賞ノミネート経験もある演技派のノルティ。『エンド・オブ・ステイツ』では過去への後悔と豪快すぎるサバイバル術で、息子と観客のド肝を抜いてくる。いや実際の話、これだけ気持ちのいい爆破シーンもないなという素晴らしい見せ場がある、とだけ言っておきたい。
クライマックスでの爆破~銃撃戦も納得の仕上がり。新機軸で盛り上げつつ(若干スケールは小さくなったものの)シリーズの魅力は失われていない。何しろ、このシリーズでは“最悪の事態”以外は未然に防がれることがないというか、人はバンバン殺されるし、いろんな場所がぶっ壊される。1作目はホワイトハウス、2作目はロンドンの名所がことごとくやられた。主人公も倒れた敵の頭を撃ち抜いてトドメを刺し、拷問もお手のもの。容赦なし、遠慮なし、だからこそ気持ちがいい。
ちなみに1作目から登場しているモーガン・フリーマンは、下院議長から2作目で副大統領、そして今回は大統領に。その出世ぶりや、主人公バニングの立場の変遷もシリーズの味わいであり、未見の方にはぜひ過去作もオススメしておきたい。予習は大変? いや、そこはストレスフリーなので大丈夫です。
文・橋本宗洋
『エンド・オブ・ホワイトハウス』、『エンド・オブ・キングダム』『エンド・オブ・ステイツ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2021年8月放送
『エンド・オブ・ステイツ』
かつて世界を未曾有のテロ事件から救ったシークレット・サービス、マイク・バニング。英雄として名を馳せ、今もトランブル大統領から絶大な信頼を得ているが、歴戦の負傷は彼の体を蝕んでいた。引退が頭をよぎるようになっていたある日、休暇中のトランブル大統領に空から大量のドローン爆弾が襲いかかる。激しい攻撃の中意識を失い、目を覚ますとマイクは大統領暗殺を企てた容疑者として拘束され、FBIの執拗な尋問を受けていた。何者かが仕組んだ陰謀。なんとか隙を突いて逃げ出した彼は、真実を明らかにするため走り出す。傷だらけの英雄、最後の戦いが今始まる―
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
CS映画専門チャンネル ムービープラスにて2021年8月放送