プレデター=エイリアンの種族の名前
『ザ・プレデター』は1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー出演で製作された『プレデター』シリーズから始まるSFアクション映画の最新作です。プレデターとは劇中に登場するエイリアンを意味するわけですが、“プレデター星人”というわけではありません。
プレデターとは“捕食者”という意味であり、このエイリアンの脅威をこう表現してタイトルにうたったわけです。劇中でも人間側がこのエイリアンのことを“プレデターだ”と呼称するシーンはありません。また『13日の金曜日』の殺人鬼ジェイソンのように毎回“同じプレデター”が登場するわけではなく、どのプレデターも登場する作品で死ぬので、プレデターとはそのエイリアンの種族につけられた名前です。
プレデターの造形はスーパー戦隊シリーズの悪役が元ネタ?
プレデターの登場する映画は何作か存在しますが、本作は87年のシュワルツェネガー版およびその続編の『プレデター2(米公開90年、日本公開は91年)』のストレートな続編となっていますが、事実上“プレデターのリメイク作品”と考えてもいいぐらい、本作から(本作だけを)観ても楽しめます。
そもそもプレデターとはどういうキャラかと言うと、とても好戦的な宇宙の種族で武人なのです。それで彼らは“狩り”をする民族であり、どうやらこの宇宙の危険な生物と戦いを挑んで、それを倒すことを目的としてるのです。そして地球では武器を持って戦っている兵士やギャング、警察が、プレデターの目から見れば“狩りがいのある”獲物なわけで、87年版ではジャングルで活躍中のシュワちゃん率いるエリート特殊部隊、90年版では犯罪都市ロサンゼルスでギャング団と戦うダニー・グローヴァー演じるスゴ腕刑事と戦います。
シュワちゃんは当時『ターミネーター』『コマンドー』等の大人気アクション映画スターだし、ダニー・グローヴァーは大人気刑事アクション映画『リーサル・ウェポン』シリーズの主役でした。つまりプレデター・シリーズというのは80年代後半から90年代にかけて人気を博していたアクション映画にSF映画というジャンルを絡ませているのです。
実際、プレデターのプロデューサーは『リーサル・ウェポン』『ダイ・ハード』『マトリックス』を手掛けたジョエル・シルヴァーです。プレデターはウルトラ・シリーズやスーパー戦隊に出てくる怪人に通じるものがあり(スーパー戦隊に出てくる悪役をモチーフにしたという説あり)、ちょっと親近感を感じます。
また、光学カモフラージュ迷彩(要は透明人間みたいになる)、三点の赤い光で狙いを定める、肩に装備されたキャノン砲、さらにサーモグラフィで相手を見るヘルメット等ギミック満載のコスチュームで、これも人気です。
シェーン・ブラック監督、実は1作目の『プレデター』で最初に殺されるメガネの兵士役の人!
キャラとして人気が出て、後にアメコミ化されアメコミ史の中にも足跡を残しました。バットマンと戦う話もあり、ゴッサム・シティに現れたプレデターをバットマンが撃退! プレデターたちの中で「バットマンはすげー」と話題になるのです(笑)
さて、今回の『ザ・プレデター』は、ある理由でプレデターと問題ありありの退役軍人たち、そして女性科学者が戦います。ここにプレデターを軍事利用とする政府の秘密組織が加わり、さらにプレデター間にもいろいろ内輪もめがあって(笑)、大バトルとなります。
今までのプレデター映画と比べると若干話がとっちらかっていますが、プレデターの暴れっぷりと退役軍人たちのチームがすごく魅力的で、とても楽しめる映画となってます(但し、わりとスプラッターなのでお子様の鑑賞は気をつけてください)。
またこの映画で初めて人間側が、この種族を“プレデター”と呼称していることがわかります。監督のシェーン・ブラックは、なんと1作目の『プレデター』で最初にプレデターに殺される隊員役を演じていた人(!)です。『アイアンマン3』の監督としても有名ですが、「なるほど、ここアイアンマンっぽい!」と思うシーンもあります。
また、アメコミ・ヒーロー映画に出ているキャストが多く登場しています。初期プレデターは、当時流行のアクション映画ブームに乗る形で公開されましたが、今回の『ザ・プレデター』では一連のアメコミ・ヒーロー映画ブームに挑戦状を叩きつけるためにプレデターが帰ってきたのですね。アメコミ映画好きも必見です。
文:杉山すぴ豊
https://www.youtube.com/watch?v=E1b8TBR5MC8