祝スパイディMCU復帰！最新作に備えて『スパイダーマン：ホームカミング』を振り返る

映画

2019.10.18

ライター：#杉山すぴ豊

祝スパイディMCU復帰！最新作に備えて『スパイダーマン：ホームカミング』を振り返る — 『スパイダーマン：ホームカミング』© 2017 Columbia Pictures Industries, Inc. and LSC Film Corporation. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2017 MARVEL.

全10枚

トムホ起用の理由はロバート・ダウニー・Jrとの相性の良さ!?

『スパイダーマン：ホームカミング』（2017年）は、トム・ホランドが出演する『スパイダーマン』シリーズ1作目にして、彼が演じた2回目のスパイダーマン役です。複雑な言い方をしましたが、『ホームカミング』の前年に公開された『シビル・ウォー／キャプテン・アメリカ』（2016年）で、トム・ホランド演じるスパイダーマン／ピーター・パーカーがデビューしています。

事情を説明すると、スパイダーマンはマーベル・コミックのヒーローで、コミックの中ではアベンジャーズ等と共演しています。しかし、マーベルがいわゆるアベンジャーズ系の映画＜マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）＞を立ち上げる前に、スパイダーマンの映画化権をソニー・ピクチャーズに渡していたため、スパイダーマンはソニー映画、MCUはディズニー映画（2009年にマーベルがディズニーに買収されたので）という状況が続いていました。

こういう事情もあって、2002年から始まったトビー・マグワイアの『スパイダーマン』3部作はMCU始動以前の話だし、2012年、2014年に製作されたアンドリュー・ガーフィールド主演の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズはMCUと合流しなかった。しかし、やはり映画の中でもスパイダーマンとアベンジャーズの共演が観たい！というファンの声も多く、ソニーとディズニーが協議して、スパイダーマンはソニー映画でありながらMCU映画にも出られるようになったのです。

https://www.youtube.com/watch?v=i0U9youABDg

こうした新体制に伴い、スパイダーマン役もアンドリュー・ガーフィールドからトム・ホランドになります。アンドリュー・ガーフィールドのスパイダーマンも新しいピーター像を提示してくれて僕は好きなのですが、トム・ホランドにリキャストした理由は、“MCUの中でスパイダーマンを若僧ヒーローとして描きたい”という意図があったようです。特に、アイアンマンことトニー・スタークとピーターの師弟関係、疑似父子関係がポイントになっています。実際トム・ホランドの起用は、オーディションでのロバート・ダウニー・Jrとの演技の相性で判断したそうです。

ピーターを取り巻く人々との絆が描かれた重要な単独作1作目

『スパイダーマン：ホームカミング』Blue-ray＆DVDセット
発売中
価格：￥4,743+税
発売・販売元：（株）ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

さて『ホームカミング』に登場するヴィランはバルチャーという、人工翼をもつ鳥の怪人です。原作コミックでも人気があり、もしトビー・マグワイアで4作目の『スパイダーマン』が作られていたら登場しただろう、と言われているヴィランです。本作でそのキャラを演じるのが、『バットマン』（1989年）にして『バードマンあるいは（無知がもたらす予期せぬ奇跡）』（2014年）のマイケル・キートンという、マニアックなキャスティングが嬉しい。

本作のバルチャーはトニー・スタークを憎んでいるという設定で、“ヴィランがトニーとの間に確執がある。その因果かトニーのかわいがっているピーターに牙をむく”というパターンは『スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム』（2019年）にも踏襲されています。一方、トニーの親友ハッピー・ホーガンとピーターの絆も、『ホームカミング』がきっかけで生まれました。そういう意味でも『ファー・フロム・ホーム』へとつながる重要な要素が、本作には散りばめられています。

タイトルの“ホームカミング”とは、アメリカの高校で行われる同窓会的なパーティ行事のことらしいのですが、“帰郷”という意味があります。おそらく「スパイダーマンがMCUに登場する」ことと、「スパイダーマンがマーベルという故郷に帰ってきた」という意味をかけているのかもしれません。

スパイディMCU復帰！ 2021年公開予定の3作目に備えよう

『ファー・フロム・ホーム』の公開後に、スパイダーマンがMCUを離脱するかも!? というショッキングなニュースが流れたのですが、ソニーとディズニーが改めて話をして、それは回避できたようです（トム・ホランドの『スパイダーマン』3作目は2021年7月16日公開予定）。その原点となる『スパイダーマン：ホームカミング』を改めてお楽しみください。

最後にトリビアを。劇中、スパイダーマンが尋問するアーロン（ドナルド・グローヴァー）という男は、原作コミックではプロウラーというヴィランとなり、別世界で黒人初のスパイダーマンとなるマイルス・モラレスの叔父（このシーンの中でも甥っ子のことを心配しています）。このアーロンとマイルスはアカデミー賞長編アニメ賞を獲った映画『スパイダーマン：スパイダーバース』（2018年）に登場しています。

文：杉山すぴ豊

『スパイダーマン：ホームカミング』はCS映画専門チャンネルムービープラスにて2019年10月放送

ギャラリー

全10枚

Share On

『スパイダーマン：ホームカミング』

ベルリンでのアベンジャーズの戦いに参加し、キャプテン・アメリカからシールドを奪って大興奮していたスパイダーマン＝ピーター・パーカー。昼間は15歳の普通の高校生としてスクールライフをエンジョイし、放課後は憧れのトニー・スターク＝アイアンマンから貰った特製スーツに身を包み、NYの街を救うべく、ご近所パトロールの日々。そんなピーターの目標はアベンジャーズの仲間入りをし、1人前の＜ヒーロー＞として認められること。

ある日、スタークに恨みを抱く宿敵“バルチャー”が、巨大な翼を装着しNYを危機に陥れる。アベンジャーズに任せておけと言うスタークの忠告も聞かずに、ピーターはたった一人、戦いに挑むが―。

制作年：	2017
監督：	ジョン・ワッツ
出演：	トム・ホランドマイケル・キートンジョン・ファヴローゼンデイヤドナルド・グローヴァータイン・デイリージェイコブ・バタロンローラ・ハリアーマリサ・トメイロバート・ダウニー・Ｊｒグウィネス・パルトロークリス・エヴァンストニー・レヴォロリガーセル・ボヴェイスタン・リー

CS映画専門チャンネルムービープラスにて2019年10月放送

放送日

祝スパイディMCU復帰！最新作に備えて『スパイダーマン：ホームカミング』を振り返る