1941年にコミックでデビュー! フェミニストの心理学者が生んだスーパーヒーロー
ワンダーウーマンは、バットマンやスーパーマンと同じくDCコミックに属するスーパーヒーローであり、『ワンダーウーマン』(2017年)は、いま人気のアメコミ原作映画です。アメコミの場合、女性のこともヒロインと言わず、スーパーヒーロー/スーパーヒーロー・ウーマンと言います。
ワンダーウーマンは、1941年にコミックでデビューしました。アメコミのスーパーヒーローものは1938年の「スーパーマン」から始まるわけですが、一番最初に最強・最高のヒーローを作ってしまいました。だから、その後に続くヒーローはいかにスーパーマンと差別化するかがポイントだったのです。
宇宙人のスーパーマンに対し普通の人間であるバットマン、スーパーマンが空を飛ぶなら海のアクアマン。そして男性のスーパーマンに対し、女性のヒーローを作ろうということで生まれたのがワンダーウーマンです。
僕は当初、このキャラクターのことを男性目線の、露出の多い女性ヒーローを目指して作られたのかな? と思っていたのですが、逆でした。男(男の子)が主流だった当時のコミックに女性読者を取り込もうとして企画され、原作者の一人であるウィリアム・モールトン・マーストンは心理学者であり、とてもフェミニストだったようです。したがって、女性をリスペクトしたヒーローとしてワンダーウーマンは生まれたわけですね。
70年代に実写ドラマ版が大ヒット! 待望の映画版は多様なテーマを盛り込んだ骨太なドラマに
ワンダーウーマンはDCコミックにおいて、スーパーマン、バットマンと並ぶアイコンとなりました。象徴的なのは、1950年代にスーパーマンのTVドラマが、1960年代にはバットマンのTVシリーズが人気を博しますが、1970年代はワンダーウーマンのTVドラマ・シリーズが大人気に。このドラマは日本でも放送され、シーズン2・3は由美かおるさんが吹き替えを担当されていたので、本作でワンダーウーマンのことを知ったという方も多いかと思います。
しかしながら、スーパーマンやバットマンが続々と映画化されるのに、ワンダーウーマンはなかなか映画化されなかった。ですが、満を持して2017年、ついにスクリーン・デビュー。それが『ワンダーウーマン』です。
実は、2016年の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で一度“デビュー”させ、あの素敵な女性ヒーローは誰!? と皆に思わせて、本作へ。この作品は、ワンダーウーマンのオリジン(誕生秘話)をじっくり描くので、『~ジャスティスの誕生』を観ていなくても問題ありません。
原作コミックでは第二次世界大戦からですが、映画版では設定を変えて、第一次世界大戦を舞台にワンダーウーマンが活躍します。豪快アクションのエンタテインメントでありながら、「愛とは? 正義とは? 戦争とは?」というテーマが盛り込まれ、見ごたえのある作品になっています。そして、一人のピュアな女性が、あらゆる経験を通して強い女性になっていくドラマでもあります。
2020年に続編公開! ワンダーウーマンはDCコミック映画を盛り上げた立役者
興行、批評面でも大成功を納めた本作は、マーベル映画に押されていたDC映画に力を与える作品となりました。アメコミ史上初の女性ヒーローであるワンダーウーマンは、アメコミ映画においてもパイオニアとなったのです。2020年夏には続編『ワンダーウーマン 1984(原題)』も公開されるので、その予習もかねて、ぜひご覧ください。
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最後にトリビアを。ワンダーウーマンのゴールドの投げ縄は、縛った相手に真実を告白させる、つまり“嘘を見抜く”という力があります。原作者のマーストンはウソ発見器の発明に貢献した人物らしく、このアイデアはそこから出たのかもしれませんね。
文:杉山すぴ豊
『ワンダーウーマン』はCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2019年11月放送
『ワンダーウーマン』
ワンダーウーマンが生まれたのは、女性だけが暮らすパラダイス島。ダイアナ(ワンダーウーマン)は、その島のプリンセスだった。ある日、不時着したアメリカ人パイロットを助けたことから、外の世界で戦争が起きていることを知る。彼女は自身の力で「世界を救いたい」と強く願い、二度と戻れないと知りながら故郷を後にする……。そんな彼女は、初めての外の世界で何を見て、何のために戦い、なぜ戦士となったのか!?
制作年: | 2017 |
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監督: | |
出演: |
CS映画専門チャンネル ムービープラスにて2019年11月放送