台風への恐怖にリアリティのある今こそ観るべきストレートな動物パニック
ここ最近は日本でも、昔に比べると台風の危険性を警戒するようになってきましたよね。僕も2018年9月頃、台風で家が2~3日くらい停電するという大変な目に遭ってから、とても怖くて警戒しています。
で、唐突なんですが“ワニ”ってどう思いますか? 怖い生き物ではあるけど、僕らが動物園で見るワニは身動きもせずボーっと水面に顔を出しているだけで、存在としての“怖い”にそこまでリアリティーがないですよね。そんな感覚の僕でもヤバかったのが、映画『クロール ―凶暴領域―』! 鑑賞後、恐怖で全身が縮み上がって首が痛くなったほど激ヤバです!!
監督は、僕が大好きな『ハイテンション』(2003年)や『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006年)のアレクサンドル・アジャ。前作『ルイの9番目の人生』(2015年)が大人しい印象だっただけに、あのサム・ライミと組んだ今作は良質なサバイバルスリラーになっていて嬉しい!
本作の舞台となるフロリダ州は爬虫類が好む熱帯気候で、巨大なワニがノラネコ感覚で玄関や庭を歩いてることがあるんだとか。しかも、ニュースなどでもよく報じられているように、フロリダ州はハリケーンにさらされることも多いんです。
ハラハラ度MAX! いっさい容赦なしのストレートな捕食&激痛描写に思わずガッツポーズ!!
大学の競泳選手である主人公のへイリーは大型のハリケーンが近づく中、連絡が取れなくなった父を探しにフロリダの生家へ向かう。しかし、地下で重傷を負って気絶しているお父さんを発見し助けようとした矢先、巨大なワニがヘイリーに牙を剥く! 足元はハリケーンの豪雨によって浸水! ここから逃げるには長期戦は無理……どうするヘイリー!?
しかもそのワニ、近くのワニ園から逃げ出した個体で、外にはさらに沢山のワニが。1頭、2頭、いやいや、いったい何頭出てくるんだよ! という絶望的な状況!! そしてなんといっても、ワニが獲物に豪快にかぶりつく様子がとてもイイ。個人的にはもっと尻尾で破壊するシーンも見たかったけど、デスロール(ワニ特有の獲物を咥えたまま回転する必殺技)が冴えてたから、いっか!!
この系統の映画にありがちな”チラ見せ”が全くないと監督自身も語るほど、何でもかんでもガン見せ! ワニ集団に捕食される際のエグい描写は、さすがアジャ監督といったところで、もうたまらん!! 終盤はこれでもかと災難を畳みかけてくるから、観ていてハラハラ度がMAX急上昇。一難去ってまた一難、どころか十難くらい一気に降りかかってる!
もちろん“痛い”シーンも満載で、負傷した部位をしっかり見せるところも◎。アジャ監督が過去作『ピラニア3D』(2010年)で見せた見世物的な「これでも喰らえ!」感こそ控えめだが、大型爬虫類をとてもスマートに大暴れさせているところなど、これまで培ったキャリアとアジャ監督“らしさ”がしっかり出ていて好感度大、でした。
天災による極限状況下で、ワニ本来の怖さをストレートに映し出した快作!『クロール ―凶暴領域―』を観たら、動物園にいるワニを見ても恐怖で震え上がってしまいそう……。
文:ゾニー(KING BROTHERS)
『クロール ―凶暴領域―』は2019年10月11日(金)より公開
『クロール ―凶暴領域―』
大学競泳選手のヘイリーは、疎遠になっていた父が、巨大ハリケーンに襲われた故郷フロリダで連絡が取れなくなっていることを知り、実家へ探しに戻る。地下で重傷を負い気絶している父を見つけるが、彼女もまた、何ものかによって地下室奥に引き摺り込まれ、右足に重傷を負ってしまう―――
制作年: | 2019 |
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監督: | |
出演: |
2019年10月11日(金)より公開