映画『ジョーカー』公開、新単独映画製作決定……いまバットマン周辺がアツい!
「バットマン」80周年のイベントが始まったり、ロバート・パティンソンが新しいバットマン映画『ザ・バットマン(原題)』(2021年公開予定)の主役に選ばれたり、バットマンの宿敵ジョーカーを主人公にした映画『ジョーカー』(2019年10月4日公開)がベネチア国際映画祭で金獅子(最高賞)を獲ったりと、バットマン関連のニュースが相次いでいます。
そうした盛り上がりの中、『バットマン』(1989年)と『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)がCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2019年9月に放送されるということで、いま改めてこの2作を振り返ってみたいと思います。
そのためには、まずバットマン実写映画化の歴史を振り返ってみたいのですが、大きくわけて6つの節目がありました。
①1943年、1949年に連続活劇というスタイルでバットマンは映画化。
②1966年のTVドラマ・シリーズの劇場版として「バットマン」が公開。
③1989年にティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の『バットマン』が、1992年に同コンビで『バットマン・リターンズ』が公開。
④ティム・バートン監督に代わり、ジョエル・シューマカー監督、ヴァル・キルマー主演の『バットマン フォーエヴァー』(1995年)、主演をジョージ・クルーニーに変えての『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』(1997年)
⑤2005年のクリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演の『バットマン ビギンズ』から始まり、『ダークナイト』(2008年)『ダークナイト ライジング』(2012年)へと続く、いわゆるダークナイト3部作。
⑥『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)『スーサイド・スクワッド』(2016年)『ジャスティス・リーグ』(2017年)に繋がるベン・アフレック版バットマンです。
このうち①は連続活劇という、現代から見れば特殊な興行形態の作品であり、②はTVドラマのスペシャル版としての劇場映画でしたから、本格的なバットマンの劇場映画は③から、つまりティム・バートン版『バットマン』から始まったと言えるでしょう。物語・世界観的には③と④はつながっているので一つの区切りとしてもいいのですが、バートンとシューマカーのテイストがあまりに違うので、ここでは2つのくくりに分けました。
ポップ→ダークのループがセオリーに! 作品毎に趣を変えてきたバットマン映画
こうして見ると、興味深い事実があります。バットマンを“明るく描くか、暗く描くか”の繰り返しなのです。
60年代のバットマンのTVドラマ・シリーズは、大人気作となりました(僕もこのシリーズは大好きです)。しかし、あまりにポップなテイストだったため、バットマン=コミカルなヒーローというイメージもついてしまって、これに納得しないファンも多かったんです。そこで、80年代ごろからコミックでバットマンをダークに描く試みが始まり、そうした流れを受けて1989年の『バットマン』はダーク路線でした。TVドラマ版に登場するジョーカーは、あえて言うなら志村けんさんの“バカ殿”的な白い道化師でしたが、この映画に登場するジョーカー(演じているのはジャック・ニコルソン)は、当時大人気だった『エルム街の悪夢』シリーズ(1984年~)のフレディ並みに怖い怪人として描かれています。
加えて、ティム・バートンらしいブラック・ユーモア趣向も盛り込まれ、ゴッサムという箱庭的な魔都を舞台にした怪人たちのダーク・ファンタジーとして仕上がりました。しかし、ティム・バートンの『バットマン』はあまりに暗すぎるということで、かつてのTVドラマ的なノリと明るさのヒーローものをもう一度、ということでシューマカー版が始まります。これがまた、あまりにチープでバカバカしいという批判を受け、ここで一度バットマン映画は打ち切られます。
少し間をおいて、もう一度バットマンをダークかつシリアスに描こうということで、クリストファー・ノーラン版が始まるわけです。ノーランはティム・バートンと同じくダーク路線を任されたわけですが、両監督が徹底的に違うのは、バートンはファンタジーなのに対し、ノーランはリアリティを重視したことです。例えば、バートン版のキャットウーマン(ミシェル・ファイファー)は猫の精気を受けて蘇った的な、文字通り“猫女”な描き方をしていますが、ノーランのキャットウーマン(アン・ハサウェイ)は泥棒であり、装着しているゴーグルが猫の耳に見えることからマスコミに“キャット”と呼ばれているという設定でした。
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ノーランの『ダークナイト』3部作は興行的にも批評面でも大成功を納めますが、ノーランのこうしたリアル路線が縛りとなって、当時台頭してきたマーベル映画のヒーローのようなカタルシスを犠牲にしてしまいました。一番顕著だったのは、ノーランは「自分の作る『ダークナイト』の世界には他のヒーローはいない」としたことで、マーベルのように“ヒーロー同士が共演する”ということが出来なかったわけです。
バートン版~ノーラン版を経てDCユニバース作品となったバットマン映画
そんな『ダークナイト』3部作を経てノーラン版が終結すると、DCは「他にもヒーローがいる世界でのバットマン」という試みにチャレンジします。それはマーベルが『アベンジャーズ』(2012年)で成功したように、DCヒーローがチームを組む『ジャスティス・リーグ』を目指すということ。こうして生まれたのが、ベン・アフレックのバットマンが登場する『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』です。
ご覧になると分かるのですが、実はこの作品はバットマン映画ではありません。2013年に作られた新スーパーマン映画『マン・オブ・スティール』の事実上の続編であり、スーパーマンの世界の中にバットマンが現れるという構図をとっています。そしてバットマンを数あるヒーローの中でもリーダー的、ベテラン的な存在として描くため、マイケル・キートンやクリスチャン・ベールが30代でバットマンことブルース・ウェイン役に起用されたのに対し、ベン・アフレックは40代でバットマンになったのです。
バットマンは“ダークヒーロー”と称されますが、ダークなイメージを追求した『バットマン』、ヒーローものとしての可能性を追求した『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と、それぞれ異なるアプローチでバットマンを描こうとしています。両者を比較することで、あなたの好きなバットマンが見えてくるかもしれませんね。
文:杉山すぴ豊
『バットマン』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:バットマン誕生80周年」にて2019年9月放送。
祝80周年! 2019年9月21(土)「バットマンの日」は世界中で関連イベント開催!!
2019年は「バットマン」生誕80周年ということで、世界中で“バットシグナル”が点灯されるイベントが予定されています。もちろん東京でも、渋谷「MAGNET by SHIBUYA109」からバットシグナルを点灯(20:00頃を予定)!
/#バットマンの日🦇まであと3⃣日!
— DC公式 (@dc_jp) September 18, 2019
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「犯罪者の心に恐怖を植え付ける」
ブルース・ウェインは、自らが恐怖の
シンボルになるため、闇に潜むコウモリの姿
に扮して活動を始めた❗️
特設サイトはこちら⇨https://t.co/mCt3Yv6vhe #バットマン80周年#バットマンよ永久に#正義を力に pic.twitter.com/NL8cl9nIAs
さらに「MAGNET by SHIBUYA109」との大型コラボをはじめ、ファッションブランドとのコラボ商品や謎解きデジタルスタンプラリーなど、バットマンにちなんだ参加型企画が多数行われるのでお楽しみに。詳細は「バットマン」80周年公式サイトおよびDC公式 ツイッターをチェックしよう。