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『ヘルボーイ』例えるならデル・トロ版が水木しげる、リブート版は永井豪だ‼ R指定の血肉飛び散るメチャ怖ダークヒーロー映画

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ライター:#杉山すぴ豊
『ヘルボーイ』例えるならデル・トロ版が水木しげる、リブート版は永井豪だ‼ R指定の血肉飛び散るメチャ怖ダークヒーロー映画
『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

約10年の時を経て新体制で蘇った『ヘルボーイ』!

映画『ヘルボーイ』は、人間に育てられた悪魔の子が魔物から人間たちを守るため、超常現象調査防衛局(B.R.P.D)のエージェントとなって活躍するという、同名のヒーロー・コミックを原作としています。

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そう、いわゆるアメコミ・ヒーローものですが、アベンジャーズ系のマーベル、バットマン系のDCではなく、ダークホースというコミック出版社の人気キャラです。ぶちゃっけ、ちょっとありがちな設定と思われるかもしれませんが、原作者のマイク・ミニョーラの味わい深いアートやユニークなキャラ・デザインで、たちまち人気コミックとなりました。

2004年に(後に『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞作品賞を受賞)ギレルモ・デル・トロ監督によって映画化、2008年には続編の『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(デル・トロ監督続投)が製作されます。このデル・トロ版『ヘルボーイ』2作もファンに愛され、また2作目がいかにも続編を匂わせる展開だったため3作目を期待していたのですがなかなか実現せず、事実上この映画シリーズは打ち切りとなりました。

それから10年近くたった2019年、新キャスト、新スタッフによって作られた新たな『ヘルボーイ』映画が本作です。

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

今度の『ヘルボーイ』は容赦なし! 血肉が飛び散る超バイオレンスな殺戮描写

『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』が封切られた2008年(全米公開/日本公開は2019年1月)は、『アイアンマン』1作目が公開され、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が始まった年。つまり、『ヘルボーイ』の10年近いブランクの間にMCUが大躍進を遂げるわけです。アメコミ・ヒーロー映画に対する世間の見方が大きく変わった今の時代に、どのような形で『ヘルボーイ』は帰ってくるのか? 大いに期待されていたのですが、実はアメリカでの評判は興行・批評とも成功とは言い難い結果に終わってしまいました。

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

というわけで、僕はあまり期待しないで本作を観たのですが……結論から言うと、十分楽しめました。素直に面白かった。もちろん、大傑作! というわけではありませんが(笑)、決してアメリカでの酷評ほど悪い映画ではない。アーサー王伝説の新解釈や、第二次世界大戦時にナチス・ドイツがオカルトに傾倒していたという都市伝説を絡めた設定、本作のヴィランである“血の女王(ブラッドクイーン)”を演じるミラ・ジョヴォヴィッチの妖艶さ、『ハウルの動く城』みたいなものも出てくるし、人食い巨人たちとヘルボーイの戦いはなかなかの見せ場!

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

今回、新たにヘルボーイを演じるデヴィッド・ハーバー(Netflix『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のホッパー警部!)も結構ハマっています。では、なぜ支持されなかったのか? 恐らくデル・トロ版『ヘルボーイ』が好きだった人は、本作を受け入れ難いでしょう。というのも、この2019年版『ヘルボーイ』はバリバリのR指定で、かなりアクションが過激です。血肉が飛び散ったりするバイオレンス描写など、とにかく魔物たちが容赦なく人間を殺しまくります。

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

例えるならば、デル・トロ版は水木しげる、新『ヘルボーイ』は永井豪?

デル・トロ版ヘルボーイにも確かに怖いシーンはありましたが、デル・トロはどちらかというと魔物たちのことも愛しているから、単なる血まみれモンスターではなく、魔物たちもファンタジーの世界の住人として描きます。それに対し今度の映画では、魔物たちは人間にとって恐怖の対象でしかありません。すごく大雑把に言うと、デル・トロ版『ヘルボーイ』は水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」的な味わいですが、今度の『ヘルボーイ』は永井豪先生の「デビルマン」的です。

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

特に、クライマックスに現れる巨大な魔物たちは、TVアニメ版「デビルマン」(1972年~)に登場した妖獣的な怖さ! 残酷極まりないモンスターたちです。このテイストの違いが、本作に対して逆風になったのかもしれません。

しかし、せっかくリメイクするのならデル・トロ路線をなぞる必要はない。過激な妖怪アクションとして、ヘルボーイの冒険を楽しむというのもアリだと思うのです。

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

それにバイオレンス色は高まったとはいえ、ヘルボーイ自体の愛らしさはデル・トロ版と通じており、キャラの魅力は変わらない。これはやはり、原作者のマイク・ミニョーラがしっかりとしたキャラ像を作り上げたからこそ、ブレないのかもしれませんね。新『ヘルボーイ』、僕は気に入りました!

『ヘルボーイ』 ©2019 HB PRODUCTIONS, INC.

文:杉山すぴ豊

『ヘルボーイ』は2019年9月27日(金)より公開

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『ヘルボーイ』

超常現象調査防衛局<B.P.R.D.>のエージェント・ヘルボーイに、イギリスを荒らしまわっている巨人を退治せよとのミッションが下る。やがてヘルボーイは暗黒時代に封印されたブラッドクイーンが1500年の眠りから覚めたことを知り、霊媒能力を持つ少女アリス、ベン・ダイミョウ少佐らとともにブラッドクイーンに近づいてく。しかし、ヘルボーイを王として迎え入れようと企てる彼女の甘言と魔力により、世界を滅亡させるほどのパワーを手にしてしまう。ロンドンの街を破壊し尽くすバトルは、やがて天変地異へとエスカレートする…。

制作年: 2019
監督:
出演: