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ロック界の伝説、そして世紀の酔いどれ詩人。レミー・キルミスターの最後の雄姿を収めた必見ライヴ映画『モーターヘッド/クリーン・ユア・クロック』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
ロック界の伝説、そして世紀の酔いどれ詩人。レミー・キルミスターの最後の雄姿を収めた必見ライヴ映画『モーターヘッド/クリーン・ユア・クロック』
『モーターヘッド/クリーン・ユア・クロック』© UGR GmbH.
メタルやハードコア・パンクと呼ばれるジャンルが隆盛する以前から、その全てを呑み込んだ独自のバンドサウンドを追求してきたイギリスのロックバンド、モーターヘッド。2015年、フロントマンであるレミー・キルミスターの死によってその活動に幕が下ろされたが、彼の最晩年の姿を収めたラスト・ライヴがついに劇場で期間限定公開される。死の1か月前に行われた、レミーの鬼気迫るライヴ・パフォーマンスは必見!

「モーターヘッド」ってどんなバンド?

『モーターヘッド/クリーン・ユア・クロック』© UGR GmbH.

忘れもしない2007年の夏。5年ぶりに来日したモーターヘッドのステージにはマーシャル(スピーカー)がずらっと並び、ツーバス仕様のドラムセットは無数のシンバルやタムに覆われていた。

いよいよライヴが始まると、予想通り超絶技巧の重厚メタルサウンドが背後でズンズン鳴って心地よいが、特にシャウトするわけでもなく淡々と歌い上げてゆくレミー。長い間奏に入ると、咥えタバコで落ちる灰も気にせず延々とベースを弾き続ける。極上のハードロック・サウンドに体を揺らしているうち、次第に狂っていくステージ上のレミーから目が離せなくなってしまった。

そして終盤、ドラムのミッキーによる連続スティック投げの妙技といったら……! モーターヘッドには勝手に怖いイメージを持っていたのだが、それが“愛すべきライヴ・バンド”に変わった瞬間だった。

そんなモーターヘッド、結成はなんと1975年。40年ものキャリアを誇る息の長いバンドで、サウンドは一応ヘヴィメタルやハードロックに分類されるが、レミー本人は「ロックンロールだ」と言って、ジャンルに括られることを好まなかったという。

レミー・キルミスターが最後まで歌い続けた理由

衝撃的なニュースが飛び込んできたのは、2015年12月28日のこと。かねてから体調が悪かったレミーは12月26日に末期がんと宣告され、その2日後に逝ってしまったのだ。

体調不良でライヴをキャンセルしたり早めに切り上げたりということは時々あったものの、ファンの誰一人として、こんなにあっさりとレミーが亡くなるとは思ってもみなかっただろう。唯一無二のフロントマンの死を受けて翌年、残されたメンバーはバンド活動の終了を発表する。

このたび劇場公開される『モーターヘッド/クリーン・ユア・クロック』は、なんと彼の死去1か月前に収録されたドイツ・ミュンヘンでのライヴ・パフォーマンスだ。改めて観ると、さすがに2007年のレミーよりもだいぶ老け込んでいる。目は落ち窪み、体も痩せてしまって、体調があまりよくないのを自覚してかステージドリンクもミネラルウォーターだ。もうタバコも吸っていない。

それでも目は鋭い光を放ち、観客の若者を射抜くカリスマオーラが全身からあふれている。そしていつも通り淡々と歌い上げ、ギターのフィル・キャンベルと時々体を寄せ合う以外はマイペースで演奏してゆく。若いころから変わらないパフォーマンスは、死の間際まで健在だったのだ。

とはいえ末期がんで亡くなる1か月前である。おそらく病による激痛に耐え、心身の衰えを実感しながら、いつライヴができなくなるか分からない不安と戦っていたことだろう。それにもかかわらず、そんな不安を一切ステージ上では見せず、あくまでいつものモーターヘッドでいることを選んだレミー。この映画を観れば、彼が最後までライヴを止めなかった理由が分かるだろう。

“クリーン・ユア・クロック”とは、“打ち負かす”とか“顔をぶん殴る”といった意味のスラングである。御年69歳のレミーが観客たちと直接対決し、音塊でぶん殴りにかかる驚異のパフォーマンスは必見だ。70年代~80年代当時、ハードロックやメタルの洗礼を受けたアラフィフ~アラフォー世代のファンは迷わず劇場に足を運ぶべし。もちろん、レミーを知らない現役ヘッズもレジェンドの魂の叫びを見逃すな!

『モーターヘッド/ クリーン・ユア・クロック』は12月15日(土)より公開。

『モーターヘッド/クリーン・ユア・クロック』公式サイト

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