筋肉! 乗り物! 母ちゃんありがとう!! 男子の大事なもの全部盛り映画
みなさん、筋トレしてますか? とにかく体を鍛えないと、この酷暑を乗り切れませんよ! え、涼しい映画館で痛快な映画を観るほうが良いって? ……そんな皆さんにオススメしたいのが、観るだけで筋トレになると言われているアクション映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』です!!!
本作の主人公は、超人気シリーズ『ワイルド・スピード』に途中参戦し記録的なヒットに貢献したルーク・ホブス(ドウェイン・ジョンソン)とデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)。シリーズ最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』では敵同士だった彼らがひょんなことから共闘することになったが、あまりにも盛り上がってしまったため制作されたスピンオフが『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』というわけだ。
例えるなら、部活にあまりにもレベルの違う運動部員がいたので専用の運動場が与えられた、みたいな感じだろうか。まあ観るだけで筋トレになるというのは完全にウソなのだが、少なくとも心のインナーマッスルは鍛えられるはず。なぜなら本作はスピンオフながら、『ワイスピ』シリーズ最大のテーマである“家族愛”を大フィーチャーしたファミリー・アクション映画だから! ……こうやって書くとウソくさいが、鑑賞後は本当に「ひさしぶりに母ちゃんに電話しようかな……」みたいな気持ちになる“マッスル&エモ”映画なのだ。
ドウェインとステイサムだけじゃない! イドリス&カービーも超魅力的
今回つるピカ筋肉おじさん2名が立ち向かうのは、全人類の半分を滅ぼすという新型ウイルス兵器を奪ったテロ組織。正しくは、その兵器を組織から守るために自らの体内に取り込んだ英MI6のエージェント、ハッティ(ヴァネッサ・カービー)を保護することだ。
しかし、テロ組織を率いるのは超人血清でも射ったんじゃないかという反則レベルの強さを誇るブリクストン(イドリス・エルバ)だった。ショウの妹でもあるハッティをブリクストンから守っていたホブス&ショウだったが、ブリクストンのスーパーパワーと情報操作能力によって徹底的に追い詰められ、ついにホブスの“縁の地”を最後の戦いの場に選ぶことになる……。
ストーリーはざっくりそんな感じだが、スクリーン全体を使って脈打ち盛り上がる筋肉を堪能しているうちに、2時間ちょっとがあっという間に過ぎてしまう。シンプルなバトルアクションにこれでもかと予算をブチ込むことで、まるでシルクかベルベットのように高級な映像美の中で筋肉と鉄塊がガツンガツンぶつかり合うという、世にも不思議なアクション映画に仕上がった。
なお、こんな筋肉の塊3名とガチンコでぶつかり合うハッティはさぞかし大変だろうと思いきや、基本的に単独バトルが中心でびっくり。野郎共がいなくたって自力でなんとかしてしまいそうな、逞しさと美しさと心強さと的なキャラ設定にメロメロ必至だ。それもそのはず、兄妹の母マグダレーンを演じるのはあのヘレン・ミレンである。つい「養子にしてほしい!」なんて想いが脳裏をよぎったものの、おそらく超厳しいであろうショウ家の訓練を想像し秒で我に返った。
ドウェイン麺&ステイサム丼……最強のコンボメニューは摂取カロリーゼロ!!
ショウは母と妹のために、ホブスは一人娘と遠く離れた家族たちのために、それぞれ覚悟を決めてテロ組織との戦いに挑む。それが結果的に世界を救うことになるという『ワイスピ』シリーズの根っこは守りつつ、1作まるまる使って2人の背景を深堀りしたことで、続くシリーズ次作もますますさらに濃厚になるはずだ。
これ以上濃くしてどうするんだと思わなくもないが、人間誰しも「ラーメン二郎とすた丼を一緒に食べたい」みたいなヤバい衝動に駆られる瞬間がある。まさに本作は、そんな欲求を摂取カロリーゼロで叶えてくれる夢のような映画と言えるだろう。
オマージュや、ちょい役の大物俳優にも胸アツ!
ちなみに、ショウが自慢の愛車コレクションの中にあるミニクーパーを指して「仕事で使った」と言うシーンがあるのだが、あれは『ミニミニ大作戦』(2003年)へのオマージュだったりするのだろうか? またチョイ役陣も謎に豪華で、ホブスに司令を出すCIA捜査官役でライアン・レイノルズがサプライズ出演している。しかも、もう一人の捜査官を演じているロブ・デラニーはレイノルズ主演の『デッドプール2』(2018年)でXフォースのオーディションを受ける超一般人ピーターを演じていた人だ。
他にもアンドレイコ博士を演じるエディ・マーサンなど『デップー2』組が多いのはデヴィッド・リーチ監督ならではのキャスティングだが、人気コメディアン/俳優のケヴィン・ハートも地味に重要な役柄で登場しているので要注目。彼らのセリフの中にシリーズ続編への布石が隠されているのかも? なんてことを少しだけ期待してしまったが、たぶん考えても無駄なのでスルーしておこう。
1+1は2でも、ホブス+ショウは無限大……そんなファンの潜在的願望をこれ以上ないほど豪華に映像化してくれたリーチ監督には感謝しかない。あまりのマッスルぶりに“Brainless”みたいな表現で揶揄している海外メディアも少なくないが、そんな意識高い系の連中なんかワンパンで黙らせてくれる『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のほうが、エンタメ的には間違いなく正義である。
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』は2019年8月2日(金)より全国超拡大ロードショー
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』
ワイルドなスタイルで超重量級のクルマを操る元FBI特別捜査官ルーク・ホブスと、クールなスタイルで超高級なクルマを駆る元MI6のデッカード・ショウ。「こんな奴と誰が組むか!」と協力を拒否するが、全人類の半分を滅ぼす新型ウイルス兵器をテロ組織から奪うため、仕方なく手を組むことに……。
制作年: | 2019 |
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監督: | |
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