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“ゴジラサウルス”が人類を襲う! 恐竜の臓器を人体に移植だと⁉ トンでも設定のアサイラム作品『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』

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ライター:#知的風ハット
“ゴジラサウルス”が人類を襲う! 恐竜の臓器を人体に移植だと⁉ トンでも設定のアサイラム作品『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』
『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』©2018 TOOLVOX PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

 

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』(2018年)という作品をご存じだろうか。『ジュラシック・パーク』でも、ましてや『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でもない。便乗商法でおなじみの製作会社・アサイラムによる、例によって話題の大作にソックリの、モックバスターである。

二段構えの小細工が光る! 原題と邦題が別アプローチで某有名大作に便乗

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ちなみに、原題は『トライアシック・ワールド(Triassic World)』。邦題と原題がそれぞれ違ったアプローチで大作に便乗した、いわば二段構えの形であるが、その手のおもしろ小細工はタイトルじゃなくてマトモな映像制作の分野で発揮して欲しい。

また、『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』とは別に、『ジュラシック・ユニバース』という、タイトルからジャケットのデザインまで非常によく似た作品が存在する。……が、本作とも特に関係ない。それどころか、『ジュラシック・ユニバース』の製作会社はアサイラムとは別会社なうえに、原題も『ジュラシック・ゲームス(The Jurassic Games)』である。ややこしいが、以後間違えないように気を付けよう。

さておき早速、名作映画のDNAから生まれた『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』について紹介していこう。

凶暴な恐竜、危険な寄生虫、容赦ない自爆装置……楽しげな要素が盛りだくさん!

市の中心部に設立された秘密の研究所<トライアシック(三畳紀)・ワールド>。科学分野に投資を検討していた大富豪スティーブは、遺伝学者のマリサ博士や、生体工学の専門家ダイアナの案内で、最先端技術の結晶とも言える施設を見学する。

町の中央にありながら、厳重なセキュリティーによって外界から隔絶された研究所。そこには、遺伝子操作によって現代に蘇った太古の恐竜“ゴジラサウルス”が闊歩する、夢のような世界が広がっていた。

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』©2018 TOOLVOX PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

「恐竜の臓器を人体に移植して、人類の寿命を延ばす」という一大プロジェクトの成功まで、あとわずか……そんな矢先に、極めて深刻な問題が発生。なんとゴジラサウルスの一匹である“G32”が安楽死の処置中に逃走し、施設内の人間を次々に襲い始めたのだ。

加えて性質(タチ)の悪いことに、遺伝子操作で蘇ったゴジラサウルスは、人間にも感染する危険な寄生虫を保有していることが判明。トライアシック・ワールドは、現代に最悪の殺人兵器を生み出してしまったのである。

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』©2018 TOOLVOX PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

暴走するゴジラサウルスによって、完全封鎖された研究所に閉じ込められてしまったマリサやダイアナたち。一旦は施設内のセーフルームに避難した一同だが、実験で高い知能を得たゴジラサウルスの襲撃や、寄生虫の影響で正気を失った犠牲者の反乱、そして「研究所が封鎖されてから2時間以内に恐竜を檻に戻せなかった場合、ハロンガスが施設内全域に放出されて全員死ぬ」という大胆な自爆仕様が彼女たちを追い詰めていく。

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』©2018 TOOLVOX PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

弱肉強食の王国と化した研究所から、果たして無事に生還することができるのだろうか!? ……というのが本作の概要である。

上級アサイラム映画ファン向け? ちゃんと恐竜が出るだけで観る価値あり

そんな『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』だが、あらすじの時点でなかなかにジャンクな逸品であることが窺い知れるだろう。「人体に臓器を移植するために、遺伝子操作でドナー用の恐竜を作る」という、良い意味で回りくどいトンデモ最先端技術や、「ずさんな警備体制に対して、恐竜を檻に戻せなかったときのペナルティーが重すぎる」という、良い意味で適当なセキュリティー設定がその代表だ。

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』©2018 TOOLVOX PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

また、本作に登場するゴジラサウルスの強さも、場面によって非常にムラがある。基本的に本作の恐竜は、人類が太刀打ちできない相手として描かれており、武器を持った屈強な男たちが何人も、この手のB級映画のお約束通りにやられていくわけだが、その一方で、非戦闘員の科学者が電動ドリル一本で単身、雑にゴジラサウルスを撃破する場面もある。とはいえ、別に細かい整合性を求めて観るジャンルの作品でもないので、その辺りはいい加減でも構わないだろう。

ただし、モンスター・パニック系の映画として特別「コレ!」という見所が少ないのは、本作のやや困ったところだ。一応、本作はアサイラム作品にしては恐竜の出番が多く、鏡を使った構図など、演出面でもちらほら工夫してあるのだが、まともな作品としてもヘンテコ映画としても、目を引く派手さには欠けてしまっているので、いわゆるアサイラムのサメ映画に慣れている視聴者には、物足りなさを感じるかもしれない。

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』©2018 TOOLVOX PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

そのため“突出して駄目とは思わないまでも、ある程度B級映画に理解のある中級者~上級者向け”と評すが、「まあ、ちゃんと恐竜が出るだけ十分」という一面も否定できないので、もし興味があれば皆様も、ぜひ一度鑑賞してみて頂きたい。

余談だが、『ジュラシック・ユニバース』は個人的に意外と面白かった。

文:知的風ハット

『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「アサイラム・アワー」にて2019年8月放送

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『ジュラシック・ユニバース ダーク・キングダム』

大都会の地下で行われている、恐竜を現代に蘇らせる極秘研究。そこで生まれた、獰猛かつ知性を備えたゴジラサウルスが隔離室から脱走した。安全装置が起動し、施設は完全封鎖。2時間後には施設内の生物を死滅させる猛毒ガスが噴射されてしまう。科学者のダイアナたちは、決死の戦いを挑むが・・・。

制作年: 2018
監督:
出演: