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『おとなの恋は、まわり道』の作曲家ウィリアム・ロス、実は映画音楽界を支える重要人物!?

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ライター:#森本康治
『おとなの恋は、まわり道』の作曲家ウィリアム・ロス、実は映画音楽界を支える重要人物!?
オリジナル・サウンドトラック『おとなの恋は、まわり道』価格:¥2,400+税 発売元:ランブリング・レコーズ © 2017 LAKESHORE RECORDS LLC.
運命の出会いを信じない男と運命の人を見つけたい女。現代にも通じる“男女のあるある”をふんだんに盛り込んだ『おとなの恋は、まわり道』。こじらせ男女のやりとりをより一層引き立てる、作曲家ウィリアム・ロスによるサウンド・トラックを、映画音楽ライターの森本康治氏が語る。

“おひとり様”男女の珍道中に彩りを添える、ウィリアム・ロスのハートウォーミングな音楽

キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーの4度目の共演が実現した話題作『おとなの恋は、まわり道』(2018)。撮影日数は約9日間、セリフがあるのはキアヌとウィノナの二人だけ、交わされる会話の大半はヘンクツ男とヘリクツ女の毒舌トークという、ロマンティック・コメディと呼ぶにはちょっと異色な内容の“人生と恋愛につまずいた大人のためのラブストーリー”である。ありがた迷惑なリゾート・ウエディングに招待された“おひとり様”男女の珍道中に彩りを添えているのが、ウィリアム・ロスによるハートウォーミングな音楽である。

1948年生まれのロスは、長年ハリウッドの映画音楽界で活躍しているベテラン作曲家/オーケストレーター/指揮者。ジョン・ウィリアムズやハンス・ジマーなどに比べるとあまり知られていないものの、音楽業界での仕事は多岐にわたる。彼の実績の一部をざっとご紹介すると、アカデミー賞®授賞式の4度の音楽監督就任を筆頭に、スーパーボウルのオープニングセレモニーや、カルガリー、アトランタ、ソルトレークシティ、トリノ、バンクーバー、ソチオリンピック開・閉会式の音楽の編曲を担当するなど、式典イベントでの仕事に定評がある。そしてポップミュージックの分野では、バーブラ・ストライサンドのコンサートツアーの音楽監督を務めており、2006年のコンサートの模様を放送した『Streisand: Live in Concert』(2009)でエミー賞の音楽賞・演出部門を受賞。映画音楽では『ティン・カップ』(1996)や『炎のメモリアル』(2004)などの作曲を手掛けているが、どちらかというとロスはオーケストレーター/指揮者としての需要が多く、故マイケル・ケイメンの『リーサル・ウェポン』(1987)や『ダイ・ハード2』(1990)、アラン・シルヴェストリの『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)、『ポーラー・エクスプレス』(2004)、『レディ・プレイヤー1』(2018)、マイケル・ジアッキノの『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)と『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)、ジョン・ウィリアムズの『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)と『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)など多くの作品のレコーディングに携わっている。いずれも大作・話題作ゆえ、映画ファンは無意識のうちに彼の優れた仕事を聴いているということになるだろう。この機会に是非ウィリアム・ロスの名前を覚えて頂きたい。

このようにアメリカ音楽界の重鎮と言ってもよいロスが作曲家として参加した本作では、上記のような壮大なオーケストラ音楽のイメージから一転、アコーディオンとギター、ベースを用いたテハノミュージック(テックスメックス)風のスコアを作曲している。大規模なオーケストラではない、少人数編成のシンプルな演奏だからこそ、「セリフがあるのは二人だけ」というシチュエーションと会話のテンポの良さが活きてくる。そして生楽器の柔らかな音色で奏でられる耳馴染みのよいメロディは、「毒舌トークを続けるうちに、なぜかお互い強く惹かれ合うようになる」というラブコメ漫画のような展開に自然な説得力を持たせている。適度にロマンティックで、洗練されたユーモアも感じさせる、リラックスして楽しめる音楽と言えるだろう。

ちなみにランブリング・レコーズから発売中のサウンドトラック・アルバムのライナーノーツの中で、筆者がロスにインタビューを行っているので、是非こちらもご覧頂きたい。ロスが本作に参加した経緯や音楽に込めた思いなど、貴重な話がいろいろ載ってます。

文:森本康治

 

『おとなの恋は、まわり道』公式サイト

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