映画ファンに根強い人気を誇る長寿シリーズ『山猫は眠らない』最新作放送!
本格的なミリタリー描写とドラマチックな展開を両立させた長寿戦争アクション『山猫は眠らない』シリーズ。日本でも<午後ロー>などで幾度となくテレビ放送されてきたが、残念ながら最新作は(というか4作目からずっと)国内DVDスルーという状況だ。そんな人気シリーズの最新作『山猫は眠らない』シリーズが、CS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送される!
1993年に公開された1作目『山猫は眠らない』はいまだに根強いファンが多いが、基本的にはアラフォー以上の世代になるだろう。ちなみに同年に日本公開されたのは、『ジュラシック・パーク』『アラジン』『クリフハンガー』『パーフェクト・ワールド』『ラスト・オブ・モヒカン』『ロボコップ3』『レザボア・ドッグス』『沈黙の戦艦』『ゴジラvsメカゴジラ』などなど、錚々たる作品ばかり。当時小学生だった世代に馴染みが薄いのも当然である。
地味系戦争アクションの金字塔『山猫は眠らない』第1作目を超ざっくり解説
さて最新作『山猫は眠らない7 狙撃手の血統』だが、同シリーズを全く知らない映画ファンのために過去作の展開をざっくり説明しておこう。まず記念すべき1作目の主人公は、ベテラン狙撃兵のトーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)と、元SWATの新人リチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)。過去に何人もの相棒を失ってきたベケットが、上昇志向でプライドの高いミラーに任務を通して“スナイパーの心得”を身をもって伝授する……というのが基本ストーリーだ。
同時代の大予算映画と比べると大規模な戦闘シーンやド派手な爆破シーンなどはなく、ひたすら2人の狙撃兵の踏んだり蹴ったりが繰り広げられる。しかし、ベレンジャーの顔面力と相まってベケットの挙動の一つ一つに妙な説得力があり、本当にこんな感じで任務を遂行していたのかな~と思わせる描写にシビれた映画ファンは少なくない。ちなみに原題はシンプルに「スナイパー」なのだが、どこから引用したのか分からない“山猫”というフレーズが妙にカッコよくて、そのあたりも一定のファンがいる理由のひとつだろう。
観はじめたら止まらない! 工夫をこらした2~6作目
正直、1作目以降はすべて蛇足という低予算シリーズを踏襲しているのだが、なぜか観はじめると止まらなくなる不思議な魅力がある。11年の時を経て公開された続編『山猫は眠らない2 狙撃手の掟』(2002年)では相棒ミラーが退場し、新たに元死刑囚ジェイクが参戦。最近では『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)のショッカー役で知られるボキーム・ウッドバイン演じるジェイクはアツい漢で、一時引退し腕が衰えているかもしれないベケットに代わって今後は彼がシリーズを盛り上げてくれるのか!?……と思いきや、悲しい結末を迎えて即退場するのだった。
続く『山猫は眠らない3 決別の照準』(2004年)では、職場復帰したもののやさぐれていた老兵ベケットに、かつて共に戦った友であり、ベトナムで戦死したはずのポールの抹殺依頼が舞い込んでくる。実はポールはベトナムで生き延び、なぜかイスラム過激派と結託して麻薬や武器を密輸しているというのだ。なんだか『地獄の黙示録』(1979年)のカーツ大佐みたいな状況だが、ベケットはテロリストと化した戦友を手にかけることができるのか……? といったあたりが見どころだ。
その後、『山猫は眠らない4 復活の銃弾』(2011年)から突然登場したベケットの息子ブランドン(チャド・マイケル・コリンズ)が主人公となり、ゼイン演じるミラーが復帰し彼を訓練するという『クリード』シリーズ的なアツい展開に。
かと思いきや、『山猫は眠らない5 反逆の銃痕』(2014年)ではミラーは登場せず父ベケット(ベレンジャー)がサプライズ的に復帰。しかも『山猫は眠らない6 裏切りの銃撃』(2016年)では再びミラーIN、父ベケットOUTという、なんだかリレー形式のような状態になるのだった。
25年ぶりにオリジナルキャスト復活! 旬のテーマにエログロも満載
そして約25年ぶりにオリジナルキャストの2人が同時に戻ってきたのが、最新作『山猫は眠らない7 狙撃手の血統』である。仰々しいオペラ曲をバックに、上映開始から5分弱でエロシーンとグロシーン×2を見せるというサービスぶりに期待が高まる。ミラーから打診された任務を受けた息子ベケットがコロンビアの首都ボゴダに出向くと、そこには指揮官として父ベケット(口髭Ver.)が待っていた……というのが物語の導入部だ。
作戦のターゲットが麻薬組織のボスというのも旬を押さえているし、コンピューター制御の銃火器など最新テクノロジーを散りばめつつ狙撃ネタを無理なく盛り込んでいる点も高ポイント。息子ベケットと現地の女性捜査官エストラーダのバディものとしても楽しめるし、ちょいちょい過激なエロ&グロを挟むことによって(色んな意味で)緊張感をキープするテクニックも、低予算アクションならではといった感じで好印象だ。
近年の麻薬もの映画/ドラマで見かける俳優陣がちらほら出てくるのが楽しいし、場所が場所だけに主要キャラがサクッと殺されるんじゃないかというスリルも満点。終始視点低めのカメラワークは予算の都合かもしれないが、ピリピリした現場の息子と作戦本部の父、麻薬組織の姿をサクサク交互に描く演出が小気味よく飽きさせない。
シリーズものはしつこく続けていると再び面白くなってくるとはよく言ったもので、この『山猫は眠らない』も7作目にして本領発揮というか、低予算アクション映画の中では最高水準に達している。どこかで観たことあるようなシーンが多くマッシュアップ感はいなめないものの、良い作品の良いところはどんどん拝借して、今後も舞台を広げつつシリーズを継続してほしいものだ。
『山猫は眠らない』シリーズ7作品はCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2020年8月放送
『山猫は眠らない7 狙撃手の血統』
米海兵隊前哨狙撃兵のブランドンは、コロンビア最大の麻薬カルテルのボスを捕らえる任務のため、ボゴタへと向かう。到着すると、そこには狙撃手を引退したはずの父トーマスの姿もあった。彼らはコロンビアDEAと協力して行動を開始するが、その作戦は敵に筒抜けとなっていた…。
制作年: | 2017 |
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監督: | |
出演: |