民の声を汲み取るバラーラデーヴァ王
進行を務める杉山すぴ豊氏の「今日はこの会場をマヒシュマティにしたいと思います!」という挨拶で始まった、このステージ。続いて、絶叫上映企画で知られる<V8 Japan>チームによる過剰に滑舌の良い完璧な解説から、いよいよ“天使の姿をした徳高き戦士、偉大なるバラーラデーヴァ王”ことラーナーさんが「ジャイホー!」の掛け声とともにステージに呼び込まれた!
開口一番「コンニチハ!」と在日マヒシュマティアンのハートをがっちり掴むと、「心の底から皆さんにありがとうと伝えたい。インドからその想いをもって参りました」と丁寧に感謝の意を述べたラーナーさん。
まず「日本でこれだけの『バーフバリ』ファンがいるということをご存知でしたか?」という質問に、「皆さんがこの作品を見つけてくれた、ずっとサポートしてくれたということ。そして、とても愛情をもって作品を育ててくれたことは知っています」と再び謝意を示すと、「というのも、皆さんのツイートも読んでいますし、SNSで色々とフォローしているんです」とのことで、民の声はしっかり届いているようだ。
そんなラーナーさんは、すぴさんが繰り出す全ての質問にしっかり答えてくれた。せっかくなので、前後編に分けてノーカットでご紹介しよう。
―日本を含む世界中で大ヒットしている『バーフバリ』の魅力をラーナーさんご自身はどうお考えですか?
「やはりストーリーの魅力に尽きると思います。同時に、私たちはある意味で小さい世界に生きているのだ、ということを実感できます。というのも、感情というのは誰もが共有できるものだと思うんです。母や兄弟、家族間、そういったものは世界共通なんだなということを認識させられますね。この、ハイデラバードで撮影されたテルグ語の作品が、こんなにも多くの人たちに届いたことを嬉しく、そして誇らしく思うとともに、これからももっとこういった形で多くの人たちとつながりたいなと考えています」
―ヒットした理由は、ラーナーさんたちがこの神話の主人公たちに命を吹き込んだからでは? 僕は、ラーナーさんなくして『バーフバリ』の成功はなかったと思うんです。
「そう言って頂けると、とても嬉しいです。ただ、映画というのは決して一人では作れない、チームワークのなせる技ですから、本当にひとりひとり関わった人たちの努力だと思うんです。もちろんS・S・ラージャマウリ監督が私たちを率いてくれたこと、今日も会場に来ているプロデューサーのショーブ・ヤーララガッダ、そしてバーフバリを演じたプラバースやアヌシュカ、他にも本当に大勢の、作品に関わったひとりひとりの尽力だと思います」
―ファンからの質問です。ラーナーさんが演じるバラーラデーヴァの好きなところ/魅力は?
「大好きなキャラクターで、もう全ての側面が好きです。まずとてもパワフルで強いし、何よりもブレないところ」
―あえて聞きますが、そんなバラーラデーヴァの嫌なところ、ここはいただけないな……と思うところは?
「大好きなんですよね、彼のことが……。嫌いなところなんてないですよ(笑)」
―神話の世界、アクションアドベンチャー作品には味のあるヴィランの存在が必要だと思います。演じるにあたって役作りの参考にした“悪役”はいらっしゃいますか?
「特に悪役で“この人”というのはないのですが、やはり私が小さいころから見てきたアンチ・ヒーロー、『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダーですね」
―『アベンジャーズ』のインド公開時には悪役サノスのテルグ語吹き替えを担当されていますよね。どんな感じで演じられたのですか?
「すごくエキサイティングな経験でしたね。というのも吹き替えに備えるために、いち早く作品を観ることができたんです。いちファンとして、そこは特権でした。サノスはとても力強くて、自分のルールを確立しているキャラクターですよね。『アベンジャーズ』のあらゆる強いヒーローたちが彼に立ち向かってくる、というところが魅力だと思います。次回作も楽しみですね」
―実はラーナーさんは、すごいアメコミ好きなんですよね。お部屋にもアメコミグッズがたくさん飾ってありましたが、好きなアメコミのヒーローは?
「本当に、アメコミに育てられた世代なんです。一番好きな作品は『ザ・ファントム (The Phantom)』で、1996年にビリー・ゼイン主演で映画化されましたね(日本では劇場未公開)。あとは、やはり『スター・ウォーズ』に育てられた世代と言えると思います。生みの親であるジョージ・ルーカスは夢のような存在でした。DCコミックスやマーベル・コミックのヒーローたちも大好きです」
<後編に続く!>