世界中でサプライズ大ヒット中、タイ発の青春クライムサスペンス『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』。ここ日本でも絶賛が相次いでいる超話題作から、“バズ”ことナタウット・プーンピリヤ監督と、主人公リンを演じる“オークベープ”ことチュティモン・ジョンジャルーンスックジンがインタビューに応えてくれた。
大好きな日本で公開されることが驚きで、とても嬉しい
―『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は日本を含む世界中で大ヒットしていますが、率直な実感を聞かせてください。
オークベープ:もちろん世界中でヒットしていることは嬉しいし、特に日本は個人的に好きで何度も来ている国なので、そこで公開されることが驚きで、すごく嬉しかったです。
バズ:それに付け加えると、やはりタイ人にとって日本はすごく親しい国、懐かしい国でもあるし、日本の文化や人、言葉や食事が大好きです。おそらく(上映が)最後の国になるんですが、日本の皆さんに観てもらえるのがとても嬉しいし、光栄に思っています。
―オークベープさんは本作が初演技(初映画出演)ということで、とても驚きました。演技に挑戦した感想と、監督がオークベープさんを抜擢した理由を聞かせてください。
オークベープ:まず初めての映画がバズ監督の作品で、しかもプロのスタッフに囲まれて一緒に仕事ができたことが、とても嬉しかったです。監督はすごく情熱的な方なので、その情熱に触れることができたし、良きリーダーについていったような気持ちです。
バズ:オークベープを選んだのは、彼女はもともとモデルだったんですが、もうこのルックスが私が頭の中に描いていたリン像にピッタリ一致していたから。予想外だったのは、すごく熱心に演技を頑張ってくれましたし、また色々な宿題もこなしてくれました。確かに初めての演技でしたが、プロの役者としての責務を十分果たしてくれたと思います。あとは、この背の高さにチームリーダーとしてのオーラをすごく感じました。
―本作の一番の魅力として、カンニングのシーンがあると思います。何か過去の作品で、参考にしたものはあるのでしょうか?
バズ:映画のディレクション・方向性としては、みんながよくやっているカンニングという普通のことを映画にしたときに、どういう形にしたら最高にワクワクする出来になるか? ということでした。参考にしたのは、ハリウッドの様々な映画。特にスパイ映画や、ハイスピードな映画です。例えばハリウッド映画には、よくお金を盗んだり宝石を盗んだりといったシーンがありますが、すごく挑戦的でエキサイティングなシーンが多い。そこに演出やカメラの位置、編集、音楽といったものをプラスして、この作品ができあがりました。ハリウッド映画の要素を色々と取り入れたので、本当に感謝したいです。
『カメラを止めるな!』は映画の醍醐味を思い出させてくれた
―今年ご覧になった映画の中で、特に良かった作品はありますか?
オークベープ:『いま、会いにゆきます』の韓国版『Be With You ~いま、会いにゆきます』です。以前に日本版を観たことがあるんですが、韓国版はまた違った良さがあって面白かったです。日本版も涙が止まりませんでした。
バズ:好きな作品は色々あるんですが、せっかくなので日本映画を。『カメラを止めるな!』です。すごく大好きな映画ですね。タイでもポスターなどは目にしていて、興行収入がすごいというニュースも聞いたんですが、公開されたときは内容をよく知らずに観にいったんです。すごいサプライズでした。映画製作者として本当に、監督の炎というかパワーをものすごく感じて、とても感動しました。
―急で申し訳ないのですが、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督に、なにかメッセージはございますか?
バズ:タイ語でいいですか?(笑)。『カメラを止めるな!』の監督には感謝しかないです。タイの映画製作者と話をして、私の他に何人も「この映画が大好きだ」という監督に会いました。私たちはもう10年以上も映画監督をやっていますが、様々な問題に直面して、映画を撮るパワーが尽きそうになっています。ですが『カメラを止めるな!』の監督は、映画を撮り始めた頃の“魅力”だとか、監督をすることの“醍醐味”といったことを思い出させてくれました。それはすごく価値のあることなので、本当に心からお礼を言いたいです。
―そんな『カメラを止めるな!』や、もちろん『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』、そしてハリウッド製作された『クレイジー・リッチ!』が大ヒットし、2018年は今まで以上にアジア系映画が盛り上がりを見せたように感じます。そういったアジア映画といったくくりでの熱量を感じたり、意識することはありますでしょうか?
バズ:それはすごく感じますね。『クレイジー・リッチ!』もそうなんですが、アジアだけじゃなくハリウッド、世界に対しても影響を及ぼしています。『search/サーチ』という映画は、ハリウッドでアジア系の俳優(ジョン・チョー)が主演した初めてのスリラー映画です。100年以上の映画の歴史の中で、アジア人が能力を発揮した最初の1歩になったと思っています。ストーリーとしては“父親が娘を捜す”という普通の話なんですが、人種や文化を超えた、とてもいい映画だと思いました。
―それでは最後に『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の見どころを教えてください。
バズ:日本の皆さんに観ていただきたいのは、すごく身近なことをテーマにした青春映画であり、楽しめながらも考えさせるところがある、という点ですね。
オークベープ:この映画は年齢や性別を問わず、小さな子どもから大人まで観られる映画です。様々な出来事が映画の中で起こるんですが、それがどんなものなのかは、ぜひ映画でご覧になってください。
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年6~7月放送
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
一人の天才少女をリーダーに、高校生の犯罪チームが頭脳と度胸だけを武器に世界を股にかけたカンニング・プロジェクトを仕掛ける第一級のクライム・エンタテインメント。
制作年: | 2017 |
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監督: | |
脚本: | |
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