不謹慎SF映画の金字塔『アイアン・スカイ』の衝撃ふたたび!
第二次世界大戦で敗戦したナチス・ドイツの残党がロケットで月面に逃げ隠れ、力を蓄えて地球に逆襲を仕掛けてきた……! という、中学生が歴史の教科書に落書きしたようなストーリーを映画化してみせた『アイアン・スカイ』(2012年)から7年。フィンランド出身のティモ・ヴオレンソラ監督が、よりスケールアップした人類vsヒトラー(秘密結社ヴリル協会)の戦いを描く『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』が2019年7月12日(金)より公開される。
2006年に企画がスタートした『アイアン・スカイ』は、まずティーザー映像を公開しクラウドファンディングで制作費を補填。完成までに6年を要したが、多くの映画ファンが「そういえばあの企画、どうなったんだっけ?」と思い出した絶好のタイミングで公開され、世界中で大絶賛(と少々のブーイング)を浴びたのだった。
https://www.youtube.com/watch?v=29D0fHIttX4
ブッ飛んだストーリーに現実世界の諸問題を盛り込んだ社会派作品!
そんな衝撃作の続編『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』も公開までかなり待たされたが、そもそも続編があるなんて考えてもいなかったので、ある意味サプライズ的な嬉しさである。しかも、予想外のヒットに便乗したごっつぁん的な続編ではなく、制作に7年も費やしただけあって本気の仕上がり。安定の悪フザケに加えて、宗教やネット社会へのアンチテーゼなども盛り込んだ志の高い内容だ。
まず本作の主人公は、前作のドタバタの結果がっつり核汚染されてしまった地球を逃げ出し、わずかな資源をやりくりしながら月面で生活している極貧人類のひとり。もはや人種や性差別がどうこう言ってる場合じゃない気がするディストピアぶりだが、しっかりと現代社会が抱えているまんまの諸問題を随所に散りばめている。
とはいえ物語の動力源は、ボケッとしてたら置いていかれそうなほど強引なSF設定。オカルト系のネタが好きな人ならばピンときたかと思うが、『Iron Sky: The Coming Race』という原題は、100年以上前に出版されたエドワード・ブルワー=リットンの著書「来るべき種族」からの引用である。同著からは超パワー理論“ヴリル”の他にも多くのブッ飛び設定を拝借しているので、少し調べておくとすんなり物語に入れるかもしれない。
歴史上のヤバい人たち大集合!? しかも恐竜にまたがり人類を襲う!
生き残りを懸けて地球に戻った人類を狙うヴリル協会のメンバーは、アドルフ・ヒトラーを筆頭に、スティーブ・ジョブズ、サッチャー、チンギス・ハーン、ビン・ラディン、スターリン、ローマ法王、食人大統領アミン、ケッコネン(元フィンランド首相)などなど、色んな意味で歴史的な人物たち。
彼らが恐竜に乗ってヒャッハーしている姿はバカかつブラックすぎて苦笑いするしかないのだが、ここにも監督の“宗教”や“指導者”へのアンチ的な姿勢が込められている。この面々がレオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」まんまの構図で座る絵ヅラは必見だ。
全体的に彩度が低かった前作とは打って変わって、今回はまるで『ジュラシック』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズのようにカラフルになり、アドベンチャー要素も大幅にアップ。
映画ファンへのサービス(注:ストーリーのB級感やツッコミどころ)精神が旺盛で、スティーヴン・スピルバーグやJ・J・エイブラムスと同クラスのSF大作を期待して観に行っても(たぶん)裏切られないのでご安心を!
『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』は2019年7月12日(金)より全国公開
『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』
月面ナチスの侵略から30年後、ナチスが恐竜に乗って攻めて来たっ!!
1.5億円のカンパで超大作が完成!空前絶後のSFアクション・エンターテインメント!
制作年: | 2018 |
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監督: | |
出演: |