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「日本に行きます。もう一度あの愛を体験したい」来日結願!NTR Jr.が超大作『デーヴァラ』と日本愛を語る

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ライター:#安宅直子
「日本に行きます。もう一度あの愛を体験したい」来日結願!NTR Jr.が超大作『デーヴァラ』と日本愛を語る
© 2024 NTR Arts. All rights reserved.
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主演最新作『デーヴァラ』日本公開と、それに先駆けてのジャパンプレミアとして日本での舞台挨拶を3月24日(月)・25日(火)に控えたNTR Jr.。別作品の撮影のために滞在していたムンバイから、多忙なスケジュールの中で時間を捻出し、『デーヴァラ』について、そして日本への思いについて饒舌に語ってくれた。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

「『RRR』の熱が欧米に伝わったのは、日本の観客のおかげ」

――本作は2021年、まだ『RRR』の撮影中(※日本公開:2022年10月)に、『デーヴァラ』のコラターラ・シヴァ監督によってあなたに対する最初のナレーションが行われたと読みました。このストーリーのどんなところにあなたは惹かれたのでしょう?

『RRR』の大成功のずっと前から、次に何をやろうか考えていました。2018年の『アラヴィンダとヴィーラ』以来、6年ぶりのソロ主演になるからです。劇場に来てくれる観客を興奮させたいという思いが強くありました。『RRR』の後に来るのは、驚異のビジュアルを持つ作品でなければなりません。『RRR』の熱が欧米に伝わったのは、日本の素晴らしい観客のおかげです。『RRR』の波は東(日本)から始まったんです。日本の素晴らしく目の高い観客が自信を与えてくれたおかげで、我々は西(欧米)に進出して、「ナートゥ・ナートゥ」でオスカーを獲得するに至ったんです。

だから私は、次の作品はビジュアルでも、ストーリーでも、観客を興奮の渦に巻き込むようなものが必要だと思いました。そして、親友であるコラターラ・シヴァ――彼は大ヒットした『ジャナタ・ガレージ』(2016年)の監督であり、また旧作『ブリンダーヴァナム 恋の輪舞』(2010年)の脚本家でもあるんですが――彼と再びコラボすることになり、彼もまた半端なところでの妥協を求めませんでした。彼は監督として、映画にメッセージを込めることに巧みな人です。インドは物語の宝庫です。『RRR』のS・S・ラージャマウリ監督も常々言っているように、インドには世界に通用する物語がたくさんあります。『デーヴァラ』もそのひとつなんです。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

インド沿岸地域の忘れられた一角を舞台にした物語にポテンシャルを感じました。そこに込められたメッセージは、「人は一定の怖れを持つべきだ」というものです。怖れを失うと、自分を過信しがちになり、良いことはありません。どんな人も、一定の怖れを持ちルールや規則に従うべきです。たとえば、(物理的な強制力をもたない)赤信号を考えてみましょう。赤信号なのに渡ると、法律やルールを破ることになり、事故に遭い、人生が終わってしまうかもしれない。

ルールとは、人が善良な市民としてより良い人生を送れるようにするためのものです。コラターラ・シヴァ監督の「人は誰でも一定の怖れを持つべき」という美しいメッセージに、俳優として興奮しました。大いなる海、水中のビジュアル、岸辺の情景、恐れ知らずの部族出身の人々……全てが一体となった『デーヴァラ』にワクワクしました。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

「実人生での変化が、『デーヴァラ』で父親を演じる上で役立った」

――父と子を一人二役で演じるのは2011年の『Sakthi(シャクティ/原題)』(2011年/未)以来かと思いますが、2つのキャラクターを演じるにあたって特に工夫した点があれば教えてください。

父子の2役を演じるのは、それほど手ごわいことではありませんでした。むしろ楽しんだと言ってもいいくらいです。以前『Andhrawala(アーンドラーワーラー/原題)』(2004年/未)という作品で父子2役を演じたんですが、その時点では私自身が子供のようなものでした。本当はやりたくなかったんですが、監督は私が演じ分けられると確信していたんです。でも観客は、おそらく「お前が父親になるのはまだ早い」と思ったのでしょう。あまり評価されませんでした。

そして『Sakthi』で再び父と息子を演じました。またしても観客は「まだ早い」と感じたのだと思います。そして『デーヴァラ』で満を持して父親と息子を演じることになりました。今の私には10歳と6歳の2人の子供がいます。『Andhrawala』から『デーヴァラ』までの間に、私は男として、人間として、息子から夫へ、そして父親へと成長しました。実人生での変化が、『デーヴァラ』で父親を演じる上で役立ったと思います。

自然、あるいは神は、物事を精妙に動かすものだと感じます。インドの観客は本作を受け入れ、大ヒットしました。家庭生活というレイヤー、父性というものが私を完成させたのです。だから、父親を演じるために必死に準備する必要はありませんでした。もちろん、デーヴァラというキャラクターの役作りのための準備は必要でしたが、父親を演じることには、あまり苦労しませんでした。私はすでに父親で、可愛い子供たちの存在が役を演じる手助けをしてくれたからです。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

「本作のアクション・シーンは、どれをとっても見事に構成されている」

――最初のダンス「武器祭礼」(アーユダ・プージャ)は独創的な振り付けで素晴らしいです。大勢の人が熱狂して体を揺らしているダンスですが、途中にはかなり高度で難易度の高いステップも含まれていますね。振付を担当されたのはどなたですか?

「アーユダ・プージャ」は、ガネーシュ・アーチャーリヤというベテラン振付師によるものです。誰もが彼をマスター・ジー(先生様)と呼んでいます。私が映画界に入り、映画でダンスを踊り始めた頃から、彼とコラボレーションしたいと思い続けてきましたが、実現しませんでした。でも、ついにこの『デーヴァラ』で、私も気に入っているソングで実現しました。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

あのソング・シークエンスはただの歌ではありません。ご存知のように、この作品世界の中では「アーユダ・プージャ」は武器に対して祈ることを意味します(注:現代のインドで一般的に行われる、仕事道具を供養するアーユダ・プージャとは意味が異なっている)。主人公たちが属する部族は、普通のインド人がするように神像に礼拝しません。武器を拝むんです。彼らは尚武(※武勇や武道を尊ぶこと)を重んじる部族で、武器は彼らの神であったからです。

武器は、侵略者や邪悪な者を侵入させないために使われてきました。それを崇拝する以上に偉大なことがあるでしょうか? そうした世界観の中で、彼らが入り込むトランス状態、激しい踊り、酩酊の様子を見せたかったのです。ガネーシュ・アーチャーリヤ以外には、誰も創造しえなかったでしょう。あのソングは『デーヴァラ』の中で特別な位置を占めているのです。

――インターミッション(※インドの劇場での上映で通常組み込まれる途中休憩。映画作品自体もそれを前提として、休憩前にセミ・クライマックスを置くことが多い)前のアクション・シーンは、悪夢のようでありながらスタイリッシュでした。スタント振付をしたのはどなたですか。

ピーター・ハインです。彼があの美しいシーンのスタント振付をしました。インドで劇場公開された時、主人公が両手に持った刃物で戦い、三日月の弧を血飛沫で満たして円を完成させた時、観客は熱狂しました。これはコラターラ・シヴァ監督のアイデアでしたが、ピーター・ハインがプロの技で実現させました。封切り初日のインターミッション中に、人々がどんなに興奮していたかを今でも覚えています。

それだけでなく、本作のアクション・シーンはどれをとっても見事に構成されていると思います。水中の格闘シーンを担当したのはソロモン(キング・ソロモン)、コンテナ船上での沿岸警備隊との対決シーンを担当したのはスタント・シヴァでした。そしてピーター・ハインは、武器祭礼で行われる決闘のシーン、デーヴァラとヴァラのそれぞれの立ち回りの振付も担当しています。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

――ここだけではなく、本作全体として夜のシーンが非常に多いですが、実際に夜に撮影したのですか? それともスタジオで夜の闇を再現したのでしょうか?

確かに本作の多くの場面が夜です。人間というものは昼日中の明るい場所ではなく、夜陰に乗じて悪事を働く傾向があるからです。この作品にはふさわしいでしょう。美的な観点からも、美しいライティングとともに夜を描くことは、作品の魅力を増します。だからこそ、武器祭礼も夜に設定され、無数の篝火や松明によって極上の映画体験を生み出しました。

撮影は天候に左右されるものですが、全てをコントロール下に置くために、大規模な屋内撮影を行いました。撮影時はモンスーンのピークだったので、天候に邪魔されたくなかったんです。ベテラン撮影監督のR・ラトナヴェールは完全にコントロールされた照明で、屋内に作り出された夜の情景を見事にフィルムに収めました。

『デーヴァラ』© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

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『デーヴァラ』

1996年、クリケットのワールドカップを控えたインドに衝撃が走る。

巨大犯罪組織による破壊工作の情報を得た警察本部は、それを阻止すべく作戦を開始。
犯罪組織のリーダーを追って、特別捜査班が凶悪な密輸団の巣窟として恐れられていた“赤海”と呼ばれる村へと向かった。

困難を極めた捜索の末、捜査班は十数年にわたって凄惨な抗争が続くその土地で、
愛と正義を貫いたデーヴァラという英雄と、その息子の血塗られた伝説を知ることになる……。

監督:コラターラ・シヴァ(『ジャナタ・ガレージ』)
出演:NTR Jr.(『RRR』ほか)、ジャーンヴィー・カプール(『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて-』)、サイフ・アリー・カーン(『ヴィクラムとヴェーダ』)

制作年: 2024