日本に“サメ映画”という概念を広めた!? 記念碑的作品
お年寄りからお子様まで、幅広い層が食われたサメ映画『シャークネード』が、ついに2018年の6作目にして完結した。「竜巻に巻き込まれたサメが空から降ってくる」という一発ネタを6年も執拗に繰り返した結果、サメ映画の伝説に成り上がった作品である。
というわけで今回は、各作品の特徴を簡単に語った上で、シリーズとしてのシャークネードについて振り返っていこう。
記念すべき1作目、サメが空を飛んだ
2013年、世界で最初の『シャークネード』が誕生した。まだ“サメ映画”という概念が、日本においては広まり切っていなかった時代の出来事である。
1作目の『シャークネード』は、2作目以降の作品と比べると純粋なディザスター・パニックに近い内容だ。1作目で既にサメが空を飛んでいるのに、“純粋なディザスター・パニックに近い”というのも妙な話ではある。だが、迫り来る災害と逃げ惑う人類、そして“家族愛”のテーマは、パニック映画というジャンルの王道を一直線で行くものだ。
そのため、シリーズを最後まで完走してから本作を見直すと、堅実な構成が逆に新鮮に映るかもしれない。少なくとも1作目では、“サメが空を飛ぶだけで済んだ”のだ。
スタイルを確立した、評価の高い2作目
2014年には、2作目の『シャークネード カテゴリー2』が公開。シリーズの中でも特に評価の高い、シャークネードの方向性を決めた作品だ。
前作ではあくまで“父親”に過ぎなかった主人公、フィン・シェパードを“英雄”として描いた物語や、“チェーンソー”というシンボルの過激なプッシュは本作から始まっている。個人的には“分かり易くて面白い英雄譚”であり、1作目以上に手に取りやすいエンターテイメント作品だと思うので、今後「初めてシャークネードを観る」という皆様は、2作目に該当する本作からシリーズに入るのも選択肢としては良いだろう。
3作目、サメは宇宙へ……
続けて2015年に現れたのが、『シャークネード エクストリーム・ミッション』である。シャークネードという物語の舞台を、空から地球外まで広げた末に、まさかのSFアクション路線へと繋げた作品だ。
また、今作から“パロディ要素”および“カメオ出演”の比率が過去作以上に増えていく点や、“次作が前提のラスト”が続いていく点も見逃せない。それと、“意味は分からないが普通に宇宙を泳いでいるサメ”も独自の見所だ。
バリエーションを増やしてきた4作目
2016年の4作目、『シャークネード4(フォース)』(原題:SHARKNADO 4: THE 4TH AWAKENS)は、副題が露骨にスター・ウォーズだ。過去作と違って、本作では通常のシャークネードに岩石を追加した“ボルダーネード”や、マグマを付与した“ラヴァネード”等、シャークネードのバリエーションを増やしているのが特徴である。
さらに本作では、主要人物の一人が壮絶なパワーアップを遂げているが、詳細はぜひとも実際に本編を観て確かめて欲しい。
歌舞伎町や東京タワーでも撮影された5作目
5作目に位置するのは、2017年の『シャークネード ワールド・タイフーン』。世界中を回って“ご当地シャークネード”と戦う本作は、序盤から中盤に限って言うなら、前作とそこまで大差ない作風である。
だが同時に、クライマックスにおいてシリーズの最終作と密接に関わる“シリアスな展開”を含んでいる。よって5作目は、6作目とセットで観ることを勧めておきたい。ちなみに、本作に登場するチェーンソーは過去最高の破壊能力を持つので必見だ。
ついに時空を超えた6作目
そして、2018年に完結を迎えた6作目、名実共に最終作が『シャークネード ラスト・チェーンソー』だ。“世界を救うために、タイムスリップを繰り返してシャークネードを防ぐ”という奇想天外な展開が本来の目玉だが、それはそれとしてストレートに感動する出来である。
シャークネードという“思ったより壮大な物語”を畳み切った本作は、1作目からフィン・シェパードの活躍を追ってきた皆様に、最高の体験を与えることだろう。
シャークネードは我々を裏切らない! テーマの根幹は“家族愛”だ!!
振り返ってみると、シャークネードというシリーズの根幹を常に担っているテーマは“家族愛”だと分かる。ゆえに、シャークネードはパパやママとリビングで一緒に楽しむべき作品である。
また、回を追う度に変な方向へと進化していくサメや、合わせて多彩な機能を増やしていくチェーンソーも、「次は一体何をやらかすんだろう?」という期待感を視聴者に与えてくれる。そして少なくとも、その“やらかす”という点において、シャークネードは私たちを裏切らない。
何故ならシャークネードは、私たちが望んだサメ映画だからだ。センパ・パラタス!
文:知的風ハット
『シャークネード 完全震撼ブルブルBlu-ray BOX』2020年7月3日発売