すっかり映画ファンの間にも浸透したトム・ホランド版スパイディの新たな活躍を描く『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』と合わせて、サム・ライミ監督が手がけた『スパイダーマン』シリーズ3作品(2002年~)も復習しておこう!!
最新シリーズに連なるスパイダーマンを確立した、アメコミ映画の金字塔
世界を救うスーパーヒーローにして我らが親愛なる隣人、スパイダーマンは過去何度も映像化されてきた。いま観ると微笑ましいものも多々あるが、それぞれ時代性やお国柄が伝わってくる、良くも悪くもコクのある作品ばかりだ。
しかし、マーベル・シネマティック・ユニバース以降のトムホ版スパイディに至る礎を築いたのは、間違いなくサム・ライミ監督による『スパイダーマン』シリーズ3作(2002~2007年)だ。主人公ピーター・パーカー/スパイダーマン役のトビー・マグワイアは『サイダーハウス・ルール』(1999年)などで演じた繊細な青年のイメージで成功したが、逆にスパイダーマン俳優のイメージから抜け出せなくなった感もある。それほどピーター役がハマっていたという証拠であり、同シリーズがいまだに多くのファンから支持される理由だろう。
『スパイダーマン』あの有名な“逆さまキス”シーンだけでも観る価値アリ!
シリーズ第1作目『スパイダーマン』(2002年)は特殊なクモに噛まれて人間離れした能力を得た青年が、ヒーローとしての使命を受け入れるまでを描いている。
登場する主なヴィランはウィレム・デフォー演じるノーマン・オズボーン/グリーンゴブリンなのだが、仮面と素顔が同じすぎるというか、もはや素顔のほうが怖いレベル。さすがのデフォーもこのあと数十年間にわたって「あ、グリーンゴブリンだ!」と子どもたちに指さされるようになるとは思わなかっただろう。
また、ピーターとイイ感じになるメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)役はキルステン・ダンスト。MCUでのリブートが決定したときには「私たちの『スパイダーマン』が一番」みたいな発言で株を下げたが、それも同シリーズへの愛ゆえだろう。当初は6部作になる計画もあったのだから、頓挫してしまった悔しさは理解できる。他にもジェームズ・フランコやJ・K・シモンズなど、パンチの効いた共演陣も豪華だ。
ちなみに同シリーズではクモの糸が直接ピーターの手首から発射される映画オリジナル設定ため、後のシリーズよりもかなりミュータント感が強いのも特徴。そして「スパイダーマンといえば」の“宙吊り逆さまキス”が炸裂したのも本作で、あのシーンのためだけにでも観る価値ありだ。
『スパイダーマン2』心が弱い! シリーズ2作目にして早くもスパイディ引退を表明
続く『スパイダーマン2』(2004年)は、大学生になっても相変わらずモジモジした童貞モードのピーターがスパイディの正体に気づいてしまったハリー・オズボーン(フランコ)とギスギスしたり、新たな敵オットー・オクタビアス/ドクター・オクトパス(アルフレッド・モリナ)に苦戦したりするお話。
中でも糸を張って電車を止めるシーンは有名で、アニメ『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)はがっつりオマージュを捧げているし、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)でもフェリーに置き換えたインスパイアシーンがある。
MJは女優として着実にキャリアを積んでいたが、持ち前の卑屈さと間の悪さで恋愛につなげることができないダメダメなピーターは特殊能力まで失ってしまい、落ち込むあまりスーツをゴミ箱にポイ。思わず「しっかりせんかい!」とケツを叩きたくなるウジウジぶりだが、引退したくてもヴィランが放っておいてくれないのがスーパーヒーローのツラいところ。しかし、MJがドクター・オクトパスに連れ去られたことで再びスイッチが入り、スパイダーマンとして戦うことを決意するのだった。
『スパイダーマン3』あのヴェノムが映画初登場! ピーターのクズ化も加速
シリーズ完結編となる『スパイダーマン3』(2007年)は、スパイダーマン活動もMJとの恋愛も順調というイケイケな状況から始まる。
調子に乗りまくりの非童貞ピーターは正直めちゃくちゃウザいのだが、仕事が不調なMJにキレられたり謎の敵サンドマンに翻弄されたりと、相変わらず周囲の状況によってお話のバランスが保たれるので安心して観ていられる。そして何より重要なポイントは、大ヒットを記録した『ヴェノム』(2018年)の“シンビオート”の登場だ。
シンビオートに寄生されたスーツを着たピーターはさらにイケイケのクズ男になってしまうが、MJへの愛情によってギリギリ正気を保ち、自らシンビオートから離脱。しかしMJを寝取った男エディ・ブロックに寄生し、ヴェノムとなってしまうのだ。……という展開はかなり安っぽいものの、後の単独作への布石と思って改めて観直すのもおすすめだ。
アメコミファンから絶大な人気を誇るヴェノムだけに当時はクソミソに言われたようだが、今ではサム・ライミも制作陣も反省しているらしいので、文字通り黒歴史としてヴェノムの初登場を楽しもう。
そんなサム・ライミ版『スパイダーマン』が2019年7月、ムービープラスにて「イッキ観!スパイダーマン3作品」として、超美麗な4Kレストア版(放送は2Kダウンコンバート)で一挙放送! さらに同放送を記念して、2019年7月8日(月)~7月13日(土)11:00~17:00まで、東京スカイツリー5F<J:COM Wonder Studio>にて「スパイダーマン特別イベント」開催! スパイダーマンのスタチューとの写真撮影や映画関連グッズが貰えるクイズラリーも行われるとのことなので、7月は思う存分スパイダーマンに浸ろう!!
CS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:イッキ観!スパイダーマン3作品」は2019年7月放送