1 2
ジェニロペの存在感がスゴい伝記映画
幼いころから「大観衆の前で歌を歌いたい」と夢見ていたセレナ。挫折を繰り返しながらも夢を信じ続けた彼女は、トップ・シンガーへの夢を実現し、1995年にはグラミー賞を獲得する。そして愛する人と結婚。すべてが順風満帆と思われたが、そんな矢先、セレナを悲劇が襲う――。
当時28歳で映画デビューしたてのジェニロペはセレーナ役を文字通り熱演し、そのハマりっぷりでゴールデングローブ賞にノミネートされるなどブレイクのきっかけとなった。ジェニロペ自身がセレーナにクリソツというわけではないのだが、劇中でのなりきりぶりは本人と見紛うほどで、世界的な評価もうなずける。
本作は冒頭のコンサートシーンから迫力満点だが、ジェニロペは当時まだ歌手活動をスタートする前だった。演技の世界でもほとんど無名ゆえの抜擢でもあったのだろうと思うが、ステージ上の彼女は現在の大成功も納得の存在感で、歌唱力は言わずもがなだ。
クライマックス=彼女の“最期”は露悪的に描くのを避けている。実際、当人たち以外には知り得ないことだし、憶測でサスペンスフルに描ことをしなかったことは伝記映画としての誠意も感じる。Netflixドラマではシーズン2以降で後の顛末も描かれるのか気になるところだが、共通しているのはステージパパたる父親との確執で、本作ではエドワード・ジェームズ・オルモスが凄まじい顔圧で好演している。
『セレナ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年12月放送
1 2