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ドロリと流れる鮮血も、這い回るウジ虫さえも美しい……恍惚の4Kで『サスペリア』を観る日が来た!!

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ライター:#市川夕太郎
ドロリと流れる鮮血も、這い回るウジ虫さえも美しい……恍惚の4Kで『サスペリア』を観る日が来た!!
『サスペリア』©VIDEA S.P.A.

 

イタリアが生んだ変態、もといホラー界の巨匠ダリオ・アルジェント監督作『サスペリア』(1977年)が2019年、4Kレストア版で劇場公開される! ルカ・グァダニーノ監督によるぶっとびリメイクも記憶に新しい不朽の名作ホラーを、ギンギラギンの4Kバージョンで体感するチャンスだ!!

「決して、ひとりでは見ないでください」再び! 4K は観る者の目を殺しに来る

昨今、過去の映画が最新のデジタル技術によって再度マスタリングされ、驚くほど美麗な映像となって蘇っている。といっても、何が何でも綺麗になったらいいというわけでもないのが映画ファンのややこしいところ。

『サスペリア』©VIDEA S.P.A.

例えば、私が『悪魔のいけにえ』(1974年)を観返すときはいまだにVHSだ。もちろん4KスキャニングされたBlu-rayは持っているし、今のところ海外でのみ発売された4K UHD版も持っている。それはそれで最高なのだけれど、どうしてもVHSの、あの薄い膜が被ったようなモヤっとした質感が『悪魔のいけにえ』には最適! な気がしてる。ソフトの高画質化が進む度に施されるリマスタリングの最中で、フィルムに着いていたゴミを取る作業と同時に大事な何かもレストアされちゃったような……。

とはいえ、リマスタリングのたびにグングン魅力が増す映画というのも存在する。それこそがダリオ・アルジェント監督作『サスペリア』(1977年)だ。

ギンギラギンでさりげなくない! 強烈なビジュアル体験を4Kで

アメリカからドイツのバレエ学校に単身留学してきたスージー(ジェシカ・ハーパー)の身の回りで起こる怪異。言ってしまえばそれだけの映画なのだけれど、ホラー映画という枠に限らず、ここまで美しい映画もそうそうない。バレエ学校の幾何学模様の壁も、黄色いステンドグラスも、天井からぶら下がる死体も、小さな体で怯えまくるジェシカ・ハーパーも、這い回る蛆虫も、秘密の扉に誘う青いアイリスも、流れる血も、ゴブリンの音楽も、散りばめられた謎さえも、すべてが美しい。

『サスペリア』©VIDEA S.P.A.

そんな『サスペリア』だが、実は2017年に製作40周年を迎え、4Kレストア版が製作されていた。監修を務めたのは、同作の撮影監督であるルチアーノ・トヴォリ。メーカーなどが勝手にレストアしたものではないので、より本物(のフィルム)に近い『サスペリア』が日本でもようやく拝めることになった。

2016年に発売されたHDリマスターBlu-rayも全編に渡り強調された色、色、色で、あまりのギンギラギンさに観るたびに視力が落ちるんじゃないか? と思うほどだったが、今回は現在最高峰の高解像度を誇る4K。奥行きを感じさせるほどの立体感は映画館をすぐにバレエ学校という謎めいた迷宮にしてしまうだろうし、4Kの持つ厚みのある発色はきっと観る者の目を殺しにくるはず。

『サスペリア』©VIDEA S.P.A.

というわけで、またしてもオリジナル版公開時のキャッチコピー「決して、ひとりでは見ないでください」が通用してしまう嬉しい状況となった。映画史に残る極彩色の悪夢は、決して色褪せることはないのだ。

文:市川力夫

『サスペリア』4Kレストア版は2019年6月29日(土)より立川シネマシティほか全国順次公開

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『サスペリア』

バレリーナ志望のスージーは、ドイツにあるバレエの名門校に入学するためにニューヨークからやって来た。入学直後から厳しいレッスンが始まる中、スージーは体調に異変が起きて倒れたり、友人になったサラとともに怪しいうめき声や足音を聞くなど、異常な事態に巻き込まれるようになる・・・。

制作年: 1977
監督:
出演: