アメコミ映画好きは思わず「ニヤリ」なディテールの数々
アメコミ的な設定はまだまだあります。カラムが戦いの最中、体のサイズを変えて相手を翻弄したり、ミニカーを巨大化させて車として使うのはアントマンっぽい。また、ピンチを切り抜けるジャックの動きは、演じるのがエヴァンスだけにキャプテン・アメリカな感じ。MORAの長官ゾーイは、まさにブラックウィドウです。
さらにサンタクロースのハイテクなソリは、まるで赤いバットモービルのよう。そのサンタクロースたちの住む街は見えないバリアでカモフラージュされていて、外世界から隠されているというのは『ブラックパンサー』(2018年)で描かれる神秘の国ワカンダを彷彿させます。あ、思わぬところでワンダーウーマンの名前も出てきますよ。
悪のボスが持つ「恐怖のおしおきプレゼント」とは……
ストーリーも凝っていて、本作のラスボス的キャラはこの世界を平和にするために、クリスマスの日に世界中の“悪い子”を連れ去ろうと企んでいます。いわば『アベンジャーズ』映画に出てくるサノスっぽいキャラなのです。“世界の安定”という大義のため、多くの人間を“間引き”しようとしているわけですね。
なお、このボスキャラは「悪い子リスト」というものを持っていて、それに従って“恐怖のおしおきプレゼント”を該当者――リストに載っている“悪い子”認定された子どもたち――に配るのです。ふと自分も、悪い子リストに名前が載っているんじゃないか……? なんて思ってしまいました(笑)。
ファンタジーの楽しさとアメコミ・ヒーロー映画のノリ、なによりも「サンタが誘拐されてクリスマスができない!」というぶっ飛んだ設定がうまく噛み合って、とても楽しい作品に仕上がっています。
最初は衝突しまくるカラムとジャックだけれど、ミッションを通じて絆が生まれていく――という王道のバディ映画展開も嬉しい。ぜひ大きなスクリーンで観たい、クリスマス映画の怪作にして快作です。
文:杉山すぴ豊
『レッド・ワン』は2024年11月8日(金)より全国公開
『レッド・ワン』
クリスマス・イブの前夜、コードネーム"レッド・ワン”のサンタクロースが誘拐された!
クリスマスを取り戻すため、子供たちの笑顔のためなら何でもする心優しいサンタクロース護衛隊長・カラム(ドウェイン・ジョンソン)は、世界一の追跡者にして賞金稼ぎのジャック(クリス・エヴァンス)と手を組み、サンタ救出に向けて世界中を飛び回ることに。しかし、彼らの前に立ちはだかる誘拐犯は、サンタの力を利用してある恐ろしい計画を企てていた―。
果たして、二人はクリスマスまでにサンタクロースを救出できるのか!?
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監督:ジェイク・カスダン(「ジュマンジ」シリーズ)
出演:ドウェイン・ジョンソン(「ワイルド・スピード」シリーズ、『ブラックアダム』)
クリス・エヴァンス(「アベンジャーズ」シリーズ)、ルーシー・リュー(「チャーリーズ・エンジェル」シリーズ)、J・K・シモンズ(『セッション』)
キアナン・シプカ、ボニー・ハント、クリストファー・ヒヴュ、ニック・クロール、ウェスリー・キンメル
制作年: | 2024 |
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2024年11月8日(金)より全国公開