伝説の殺し屋“ザ・ファブル”、どんな相手も6秒で殺れる!!
そもそも『ザ・ファブル』ってなに? という原作未読の方に、ざっくり説明しよう。
『ザ・ファブル』といえば、とにかくその設定が秀逸。主人公である“ファブル”と呼ばれる男は、とある組織に属する伝説の殺し屋さん。どんな相手でも6秒以内に殺すことができる最強っぷりで、それもそのはず幼少の頃から山の中でナイフ1本生活をしてきたという真のサバイバー。プロの殺し屋としての自覚もたっぷりで、つねに「プロとして」と自問自答しながら的確に行動する高性能っぷり。
そんなファブルにある日、父親代わりのボスから「1年間一般人として過ごせ。人は殺しちゃダメだ。もし殺したら俺がお前を殺す」というミッションが課される。そんなこと簡単でしょ! と思いきや、ファブルは人生を「殺す」ということにのみ心血を注いできたヤバイ人。これまでまともな日常生活を送ってきたことはないし、他人の気持ちを察することや常識的な礼儀作法などは皆無。
これはどう考えても難易度が高過ぎるミッションだが、ファブルは佐藤明という偽名で「プロとして」フツーの生活を頑張ることに。とはいえ、新生活の面倒を見てくれるのは、大阪を拠点とする真黒組(映画では真黒カンパニー)という裏社会組織。当然、平穏なはずもなく……。
原作ファンも納得! 岡田准一師範による超本格アクション
このたびの映画化は、原作の単行本1巻から7巻あたりの内容をキュキュッと2時間にまとめたもの。ファブルが送る「フツーの生活」の悪戦苦闘具合、そして勃発する真黒カンパニー内部抗争と、そこに巻き込まれたファブルのバイト先の先輩ミサキ(山本美月)に訪れる危機を描いていく。
って、原作ファンからすると、結構長い話だけどうまくまとまってるの? と心配になるところ。しかし観るとこれが違和感なし!
そして、肝心のファブルを演じるのは岡田准一師範。なぜいま「師範」とつけたかというと、岡田准一師範といえば、ブルース・リーのジークンドー、USA修斗、カリのインストラクターの資格を持っていらっしゃることで有名。まごうことなき今現在日本最高峰のアクション俳優ですので、これはもう「師範」と呼ばずにどう呼ぶんですか! というわけで、敬意を込めて師範と呼ばせていただきます。
岡田師範に加え、『ボーン』シリーズのアクション振り付け師まで参戦!
そんなわけで、岡田師範演じるファブルですが、いやはや最強の殺し屋としての説得力が半端ない……。まず、ファブルは家にいるときは基本裸族スタイルなのですが、そこは映画でもしっかり踏襲。ということは岡田准一師範の、ほぼ生まれたままのお姿が拝めてしまうという由々しき事態が発生しているわけです。しかも、ジムワークやウェイト・トレーニングで作られたわけではない、もはや格闘家の体つき……。
もちろんアクション・シーンになると、手足をうまくつかってひょいひょい壁をよじ登ったりするのも朝メシ前。敵がワラワラと突っ込んでくるラストの多人数戦では、無駄のない動きでひとりひとり的確に再起不能(殺しちゃダメだから)にしていく。その姿には、映画におけるアクションの平均値をめちゃめちゃに上げたマット・デイモン主演の『ボーン』シリーズ(2002年~)を彷彿させます。
それもそのはずで、本作には『ボーン』シリーズでファイト・コレオグラファー(アクションの振り付け)を務めたアラン・フィグラルツが参加。さらにいうと、岡田准一師範自身もファイト・コレオグラファーを務めていて、日本のアクション映画史に爪痕を残す気マンマンの気合の入った布陣! 普段アクション映画を嗜む人にこそ、ぜひ観ていただきたい1本となっております。
文:市川力夫
『ザ・ファブル』は2019年6月21日(金)より公開
https://www.youtube.com/watch?v=eBMDylBqJMU