ティム・バートン最新作『ビートルジュース ビートルジュース』
ティム・バートン監督の5年ぶりとなる新作『ビートルジュース ビートルジュース』は、彼がブレイクするきっかけとなった1988年の映画『ビートルジュース』をベースにしたダークホラーコメディです。
本作は“続編”ではありますが前作からかなり時間が経っているので、今の時代にビートルジュースを復活させたかった、ということでしょうか。物語の設定は人間界と隣り合わせ(?)に“死後の世界”があり、ビートルジュースはそこに住む推定年齢600歳の、つまり600年前に死後の世界に行ったハチャメチャな男で、<人間怖がらせ屋>を自称しています。
人間怖がらせ屋とは、気の弱い幽霊に変わって人間たちをおどかす仕掛け人のこと。人間側が悪魔や悪霊を追い払う時に<エクソシスト(悪魔祓い師)>を使うように、幽霊が人間たちを遠ざけたい時に頼るわけですが、ビートルジュースは超トラブルメイカー。そんな彼が、死後の世界や人間界を巻き込んで繰り広げるドタバタが描かれます。
「ビートルジュース」って何者? 映画界屈指のキテレツ愛されキャラ
誰かが名前を3回呼ぶと人間界に現れるというビートルジュース。本名は<Betelgeuse>ですが英語読みの発音が<びーとる じゅーす>に近く、前作ではカブトムシの「ビートル=BEETLE」と飲料の「ジュース=JUICE」を相手に見せて、「この通りに発音しろ」と相手を誘導したので、「BEETLEJUICE=ビートルジュース」として知られるようになりました。
彼は一見するとダミ声の迷惑おじさんですが、ある種のスーパーパワーというか妖術の使い手で、前作では人面大蛇に変身したり、すごく恐ろしい顔に変形したり(一体どんな顔なのかを観客には見せず、相手役のリアクションだけで“とんでもない顔”になったことがわかる演出)と、とにかく人を怖がらせる(ないし不快にさせる)ことのエキスパート。そして女好きでもあるのです。「ゲゲゲの鬼太郎」のねずみ男的な姑息さと、「バットマン」のジョーカーのようなパワフルさを持った怪人、といった感じでしょうか?
ちなみに僕は前作『ビートルジュース』公開時、同作のティム・バートン監督とマイケル・キートン主演のコンビで『バットマン』を手掛けると聞いて、その予習のために劇場で鑑賞しました。ですが結果的に、キートン演じるビートルジュースの大ファンになりました。ただ、あの当時はキートンがバットマン役と聞いてちょっとビックリ。ビートルジュースは白塗りの怪人だから、むしろジョーカーの方が向いてるんじゃないか? と思った次第です。ただ、『バットマン』のジョーカー像にはビートルジュース的な要素が入っている気がしますね。基本はヴィラン、けれどどこか憎めない。それゆえに多くの人に愛されてきたキャラなのです。
ビートルジュースは、アニメシリーズやブロードウェイの舞台ミュージカルになったこともあります。この舞台劇の日本版では、SixTONESのジェシーさんがビートルジュースを演じました。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの人気ミュージカル・アトラクション<ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー>では、彼はモンスターたちと一緒に歌っています。だからこそ彼には、ずっと映画での再登場を望む声があがっていました。今回、満を持してのスクリーン復活です。
『ビートルジュース ビートルジュース』
ビートルジュースは、名前を3回呼ぶと死後の世界から現れる、お調子者の【人間怖がらせ屋】。彼の野望は、死後の世界から、楽しい人間界へ移住すること。そのためには、人間リディアと結婚しなくてはならない。ある日、この無謀すぎる婚活計画にチャンス到来―リディアの娘アストリッドが死後の世界にさらわれたのだ! 結婚するから娘を助けてと頼まれたビートルジュース。アストリッドを救出してリディアと結婚できるのか!? そこへ彼の元妻ドロレスも登場し、人間界も巻き込んで、メッチャメチャの大騒動に…! ハロウィンの夜に訪れる結末とはー?
監督:ティム・バートン
出演:マイケル・キートン、ウィノナ・ライダー、キャサリン・オハラ、ジャスティン・セロー、モニカ・ベルッチ、ジェナ・オルテガ、ウィレム・デフォー
制作年: | 2024 |
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2024年9月27日(金)より全国公開