ニコラス・ケイジ主演最新作『THE SURFER』に期待大!
カンヌ国際映画祭はシリアスな映画ばかりやっているように誤解されがちだが、もちろんそんなことはない。特に近年はジャンル映画にも力を入れていて、今年(第77回)のパルムドールを受賞したショーン・ベイカーの『ANORA(原題)』はコメディだったし、公式部門であるミッドナイト・スクリーニング部門ではアクション映画やホラーなど、深夜上映にふさわしいキレッキレの作品が、カンヌ最大の劇場ルミエール・シアターの大スクリーンで上映される。
中でも今年、一番盛り上がったのがニコラス・ケイジ主演の『THE SURFER(ザ・サーファー/原題)』、我らがニコケイにふさわしいキレッキレのサイコスリラーだ。
Surf, waves and #Photocall 🏄♂️ Surf, vagues et #Photocall
THE SURFER – LORCAN FINNEGAN🔎 Thomas Martin, Justin Rosniak, Alexander Bertrand, Lorcan Finnegan, Nicolas Cage #Cannes2024 #SéanceDeMinuit #MidnightScreening #SélectionOfficielle #OfficialSelection @lorcanfinnegan pic.twitter.com/5FJoVnvQsF
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) May 17, 2024
舞台はオーストラリア。少年時代をこの地で過ごしたサーファーであるであるニコケイは、息子と一緒に思い出のビーチにやってくる。ところがそこは“地元民以外お断り”の恐怖のサーフスポットと化していた。地元サーファーの頭である幼馴染(ジュリアン・マクマホン)や警察からとんでもない嫌がらせを受けるニコケイが追い詰められ、耐えに耐えたあげくドッカーン! と爆発するのだが、その時の決め台詞が「EAT THE RAT!!(ネズミを喰らえ!)」。これにはもうルミエール・シアター、大喝采! どんな状況でこのセリフを言うかは、映画を観てのお楽しみにしておこう。
ニコケイ、カンヌの大声援に感激しきり!
そして本作の上映後には、スタンディング・オベーションと共に「ニコラス! ニコラス!」の大合唱となった。マイクを渡されたニコケイは感激して目を潤ませながら、「30年前、ここに来た時はパルムドールを獲ったけど、今日も最高です!」と挨拶(※1990年の『ワイルド・アット・ハート』のこと)。そして「フランス語で”ネズミを喰らえ”は何て言うの?」と周囲に聞いて、今度は「Mangez le rat!」と叫ぶと、会場の興奮は最高潮に達した。「ネズミを喰らえ!」は是非とも日本でも流行らせたい。
監督は『ビバリウム』(2019年)で知られるアイルランド出身のロルカン・フィネガン。オーストラリアのサーファーに怒られるんじゃないか? と心配になるくらい、マクマホンたちが演じる地元サーファーの外国人排斥ぶりが恐ろしいのだが、これは今さまざまな場所で起きている問題の映し絵とも言える。それにしても、ニコラス・ケイジは愛されているなあ。