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【韓国暗黒史】大統領暗殺とクーデター事件 演じる苦悩をファン・ジョンミンが語る『ソウルの春』インタビュー

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ライター:#橋本宗洋
【韓国暗黒史】大統領暗殺とクーデター事件 演じる苦悩をファン・ジョンミンが語る『ソウルの春』インタビュー
『ソウルの春』© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.
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ファン・ジョンミンが語る『ソウルの春』制作秘話

映画『ソウルの春』のポスターに映る横顔を見て、それがファン・ジョンミンだと気づかなかった人もいるのではないか。前頭部が禿げ上がった風貌は毎回4時間かけた特殊メイク。実在の軍人をモデルにしたチョン・ドゥグァンを演じている。

『ソウルの春』© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.

『アシュラ』(2016年)のキム・ソンス監督、チョン・ウソンと再びチームを組んだ『ソウルの春』は、冒頭から緊張感が途切れないポリティカル・スリラー。1979年、独裁者と批判された韓国大統領が暗殺され、民主化への期待の高まりから<ソウルの春>と呼ばれた。

しかし、暗殺の捜査を担当するチョン・ドゥグァンは、陸軍内の秘密組織<ハナ会>を率いて軍事クーデターを画策していく。

『ソウルの春』© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.

「この内容で本当に大丈夫なのだろうかと思いました」

ビジュアルからモデルに寄せていったファン・ジョンミン。

あのメイクをして軍服を着ると、キャラクターに完璧に集中することができました。

しかし、脚本を読んだ時には葛藤もあったそうだ。

映画として、この内容で本当に大丈夫なのだろうかと思いました。描かれるのは韓国の現代史に汚点を残すような事件なのに、果たして観客に受け入れてもらえるだろうかと考えたんです。実在の人物を扱った作品なので、主人公を偶像化しないようにという悩みもありました。

メイキングカット
『ソウルの春』© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.

本作で描かれるクーデターの結果生まれた政権は、民主化運動を武力で制圧。多数の死傷者を出すことになる。『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(2017年)などで描かれた<光州事件>だ。

そんな“汚点”の中心人物をどう演じるか。たとえばファン・ジョンミンが『アシュラ』で演じた悪徳市長のようなエキセントリックな“悪の魅力”は抑えるしかない。

結局、立ち戻ったのは普段と同じスタンスだった。それは「脚本の内容に基づいて忠実に演じる」こと。

『ソウルの春』© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.

キム・ソンス監督はシナリオを受け取った後、一度はオファーを断ったという。「韓国現代史の運命を変えたあの日を、果たして描き切ることができるのか」という思いからだ。

それでもメガホンを取ったキム・ソンス監督は「極限の緊迫感」を観客に体験させることをテーマとした。史実の中にフィクションを織り交ぜ、クーデターを先導した「貪欲なる王」と、彼に最後まで立ち向かった「真の兵士」の闘いを映画の軸とする。そのことで、クーデターの再現というだけではないドラマ性が生まれることになった。

次ページ:ファン・ジョンミンが語る「俳優の役割」とは?
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『ソウルの春』

1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。

監督:キム・ソンス
脚本:ホン・ウォンチャン、イ・ヨンジュン、キム・ソンス

出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ソンギュン、チョン・マンシク、チョン・ヘイン、イ・ジュニョク

制作年: 2023