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サメは年間どれくらい人を襲っているのか?「サメの怖さ」を真剣に描く『エア・ロック 海底緊急避難所』は“詰み系”スリラー最新作

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ライター:#BANGER!!! 編集部
サメは年間どれくらい人を襲っているのか?「サメの怖さ」を真剣に描く『エア・ロック 海底緊急避難所』は“詰み系”スリラー最新作
『エア・ロック 海底緊急避難所』© NWUP Limited 2023
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“詰み系”スリラーとは? ビタイチ助かる気がしない絶望展開

シャークケージ・ダイビングに興じる姉妹が海底に落下した檻から脱出する様を描いた『海底47m』(2017年)や、地上600mの超高層鉄塔に取り残された2人の若者の運命を描いた『FALL/フォール』(2023年)など、次から次に襲い来る危機的状況に主人公が追い込まれていく……。そんな作品群を“詰み系”スリラーと称する。

『エア・ロック 海底緊急避難所』© NWUP Limited 2023

本作『エア・ロック 海底緊急避難所』のメイン舞台となるのは海底に墜落した大型旅客機の<エア・ロック>、つまり気圧低下と空気の損失を最小限に抑えられる、生存者たちの唯一の<避難所>だ。コップを水中に入れた際の酸素溜まりをイメージする分かりやすいと思うが、もちろん酸素には限りがあるし、機体が沈むほど水圧も上がる。まさに“詰んでいる”としか例えようのない状況だ。

『エア・ロック 海底緊急避難所』© NWUP Limited 2023

誰がいつ死んでも/殺されてもおかしくない展開には、まるで横隔膜が上がりっぱなしになったような、息苦しい緊張感を強いられる。屈託のないローザの存在は数少ない癒やし要素だが、同時に非力な彼女の身を案じるストレスからも逃れられない。時間制限、サメの脅威、極限の絶体絶命シチュエーションは、安易な先読みも許してくれない。

『エア・ロック 海底緊急避難所』© NWUP Limited 2023

極限状態における不条理としての「サメ」の恐怖

本作のサメの存在に琴線を弾かれた愛好家の方も少なくないだろう。近年のぶっ飛びモンスター系サメ映画と違って、ここには文字通り息を殺してやり過ごすしかない、畏怖すべき海のハンターとしてのサメがいる。サメからしてみれば、なんか知らんけどジューシーな獲物がたくさん落ちてきてラッキー♪ くらいのものだが、人間目線では悲劇のダメ押し、なんで自分がこんな目に? である。

『エア・ロック 海底緊急避難所』© NWUP Limited 2023

本作のサメは珍しいくらい直球のサメであり、奇襲を仕掛けてきたり、弱者ばかり狙ったり、派手に飛び跳ねたり、ギャーと悲鳴をあげたりもしない。しかし映画として観れば、この極限シチュエーションに現れるサメは不条理そのもの。それでいて、“サメ映画”を謳う数多の低予算作品におけるサメ・モンスターの何倍も恐ろしく、本能に従順なその姿は神々しくすらある。

『エア・ロック 海底緊急避難所』© NWUP Limited 2023

現実世界では、野生のサメの脅威を目の前にしたら「反撃タイム!」なんて余裕は生まれない。ある重要キャラクターのあっけなさすぎる断末魔が、そのリアルを体現している。とはいえ現実世界では、サメの襲撃による死者数は多いとは言えない(年間4~6人程度)。かたやワニ、カバ、ゾウ、サソリ、そして蚊など、淡水~陸上で暮らす生き物は数百~数万人も殺害している。

では、なぜサメは映画の中でヒトを襲う脅威として描かれ続けるのか? 見た目の恐ろしさと生態の不思議、海そのものが持つ神秘性など、サメをとりまくあらゆる要素が、そのスター性の理由かもしれない。

『エア・ロック 海底緊急避難所』は2024年8月16日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

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『エア・ロック 海底緊急避難所』

州知事の娘・エヴァは、恋人と友人との卒業旅行のため、10歳になるローザは大好きな祖父母との旅行のために、CAのダニーロは彼氏との同性婚を夢見ながら大型旅客機に乗り、南国メキシコのリゾート地・カボへ向かっていた。だが飛行中、エンジンに鳥が激突して機体は高度2万フィートから遥か海底へとあえなく墜落…。
生き残ったのはエヴァとローザを含む僅か7名のみ。そして、生き延びられる場所は機内のエア・ロック、ただ一カ所だけ。生存者たちは身を隠すように救助を待つが、そこは、決して安全ではなかった。襲い来る水圧、失われていく酸素、そして遂には、海の捕食者が機内に忍び込んで来る。飛行機をたゆたう人喰いザメ。そこには違和感と恐怖しかないのだったが――。
底無しの深海で刻一刻と生還への背缶不能へのカウントダウンが刻まれる!

監督:クラウディオ・ファエ『インビジブル2』『山猫は眠らない4 復活の銃弾』
脚本:アンディ・メイソン(『海底47m』製作総指揮)

出演:ソフィー・マッキントッシュ、ウィル・アッテンボロー、ジェレミアス・アムーア、マヌエル・パシフィック、グレース・ネトル、ジェームズ・キャロル・ジョーダン、フィリス・ローガ、コルム・ミーニイ

制作年: 2023